わが心のベストバウト、3・21アジアタッグ選手権 | 生きているだけで十分 宍倉清則のいまのキモチ

わが心のベストバウト、3・21アジアタッグ選手権

全日本3・21両国。この日は本誌の最終校了日。でも、午後4時には第1段階が終わる。試合は4時から。第2段階はその日の特急入稿。つまり、この両国とNOAH・福岡を入れて、その校正を見るのが私の役目。当然、試合が終わらなければ、入稿はできないし、それまでは空き時間となる。最後までは見れないが、両国へ。とにかく、いままでにはあり得ない雰囲気を味わいたい。


印刷所は私ともう1人だけで、あとのスタッフは全員が両国か、福岡。1年でも1度あるかないか、の状況。でも、たとえば午前中に大きな地震が来て、興行じたいが中止になったら、どうなってしまうのだろう? そっくりページが白紙になってしまう。発売はできるのか。そんな状況で、あの本は作られたのだ。


4時半、両国に着くと、さすがにロビーは人がいない。すると、向こうから滑ってくる女の子が! 靴の底に車輪がついて滑れるやつ、あるでしょ。誰かと思えば、わが愛しの橋本真也さんちのひかるちゃんではないか! かわい~い。今日も大地グッズの売店がある。


場内に入ると、ベイダーの入場シーン。あとで聞いたところでは、このベイダーの入場シーンがいちばん盛り上がったという。ちょうどいいところに来たわけだ。こうして大会場でベイダーのテーマ曲を聴くのは何年ぶりか。ベイダー得意の言葉「ガンバッテー!」がこの日ほど生きたことはない。


大震災がなければ、もっと入ったのに…と思う人が多いだろう。でも、私はこの状況下でこんなにお客さん来てくれたんだ…という気持ちが強い。雨も降っていたし、もっともっと少ないかと思っていた。


こんなに来てくれて、うれしい。なんだかそれだけで、涙があふれてきた。まったく照明はないと思っていたら、横から照らす大田区体育館のようなライトがあったので、そんなに暗くない。でも、もしそのライトがなかったとしても、この日のお客さんの熱い声援がある限り、リング上の熱戦がある限り、そんなに暗い雰囲気はしなかったと思う。十分、試合は伝わったと思う。


アジアタッグは期待通り、よかった。人によっては後楽園や大阪のほうが内容はよかったというかもしれない。でも、私にとっては現時点で「わが心」の今年のベストバウトだ。こんなシチュエーションでおこなわれることはあり得ないのだから。「大きなどよめき」が30回ぐらいあって、私はずっと泣きながら見ていた。


それにしても、いまどき単純なブレーンバスターで大きなどよめきが起こることがうれしい。でも、いつまでも見ていられない。そろそろ編集部に戻る時間だ。次はジュニア。挑戦者の近藤選手が大変な思いをしたのは皆さん、ご承知の通り。せめてここまで見たい! なんとか見ることができて、ダッシュで会場をあとに。(続く)



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