自称被害者さん達が良く使う言葉に「電磁波過敏症」がある。
電磁波過敏症に付いては、WHOは「医学的診断基準はなく、その症状が電磁界曝露と関連するような科学的根拠はない」とし、電磁波以外の環境要因、あるいは電磁波を心配することによる精神的なストレスとの関係を示唆している。
私もこの見解を支持しており、電磁波過敏症には否定的な考えを持っている。
否定する理由は、WHOの見解を鵜呑みに信じている訳でもなく、私なりの疑問や数名の電磁波過敏症を訴える人への実験とWHOの見解が一致しているので、WHOの見解を支持し否定的な考えを持っている。
当初、電磁波過敏症は、高圧送電線の近隣の人が電磁波の被爆の影響が主流だった。
そして、携帯電話の普及に伴い携帯電話に使われる電磁波の影響も騒がれ始め、その影響は家電製品にまで波及して行った。
しかし、送電線から出る電磁波と携帯電話の電波は同じ電磁波でも、まるで別物であり同列に扱える物でもない。
送電線から出る電磁波は「低周波電磁波」や「極低周波電磁波」であり携帯電話の電磁波は「マイクロ波」である。
マイクロ波は電子レンジに見られるように加熱に使われ、これを「熱作用」と言い、熱作用の他に「刺激作用」もある。
熱作用は熱エネルギーを与えるわけではなく、水分子を高速で振動させて、その摩擦熱で熱を発生させる。
その為、電子レンジで水を温める事は出来ても氷を溶かす事は出来ない。
それは液体である水は、分子同士が自由な状態で、水分子を振動させればこすれて摩擦熱が発生するが、固体である氷は分子同士が密接に固まった状態で、分子を振動させても摩擦熱が発生しない為溶けない。
刺激作用は、電波とは元々空中電力であり高出力であれば電気と同じ様な弱い刺激は受ける。
しかし、マイクロ波は障害物に弱く、水に吸収される性質も持っている。
その為、遠くへ届き難い。
遠くへ届き難い一番の理由が、空気中の水蒸気に吸収されて減衰してしまうからである。
その為、家の中ではその影響は極めて低くなる。
また結構誤解されているのは、携帯電話の電波は壁を通り抜けて飛んで来ている訳ではなく、電波が通り抜けられる窓から入り室内で反射させて部屋の奥まで届いている。
こうしたマイクロ波とは別に、高圧送電線から出る電磁波は「低周波電磁波」や「極低周波電磁波」であり、一般家電もこの部類に属する。
こうした低周波電磁波は磁界の性質が強く、障害物を突き抜ける性質を持ち、コンクリートの壁も姦通してしまうが、磁界の性質が強い為、熱作用も刺激作用も伴わない。
さて、ここまでの事を踏まえて、実際の電磁波過敏症を訴える人と照らし合わせてみる。
まず、面白い事に、送電線による電磁は過敏症を訴える人は、私が知る限り「送電線の鉄塔や電柱が見える所」に住んでいる人に限られる。
しかし、送電線は鉄塔だけで送られている訳ではない。
埋設線で送られている所もある。
しかし、埋設線で送られている所に住んでいる人で、電磁波過敏症を訴える人は私の知る限りいない。
また、電磁波過敏症を訴える人に、ある実験を行ってもいる。
盗聴妨害器を盗聴器の電波も遮断する強い電波を発信する機械と称し、スイッチを入れる振りをしてスイッチを入れず「電波を感じますか?」と尋ねる。
すると半数以上(被験者は50人程度)の人は「ビリビリ来ます」と答える。
逆にビリビリ来ると言っていた人に「スイッチを切りました」と言い、スイッチを入れて「どうですか?」と聞くと、「止まりました」と答える。
つまり「プラシーボ効果」である。
そうした事と、WHOの見解が一致しているから、WHOの見解を支持している。
そして、心の問題を調べて行くと、高圧線の電磁波過敏症の原因も推測できる。
まあ、実証するには実験が必要なのだが、この実験はチョット無理。
その推測とは、原因は高圧線ではなく、高圧線の鉄塔の威圧感による心理的影響や、高圧線は危険であると言う心理的影響によるプラシーボ効果と考えられる。
これを証明するには、送電線の近くで電磁波過敏症を訴えている人を把握し、その人に知らせずに送電を止めて反応を見たり、更に強い電圧で送られると偽情報を与えて変化を見たりしなければならないので、この実験はさすがに出来ない。
こうしたプラシーボ効果という面から見ると、家で電磁波を感じている人がホテルや友人の家に行くと電磁波を感じなくなったりする理由が分かる。
しかし、プラシーボ効果を考慮せず、その事実関係だけを見ると、その事実関係が電磁波過敏症の存在の証明にも見える。
しかし、そうした電磁波を感じない所でも「電磁波」を連想させる物を見つけてしまうと、そこでも電磁波を感じるようになり「狙われている」と思えてしまう。
こうした事をもう少し掘り下ると、私が見て来た電磁波過敏症を主張し、電磁波を感じていると言う人は実際には「家」や「家族」にストレスを感じていたと思われる。
そうした家で調査をしながら感じる事は、家族に相手をされていなかったり、家族とのコミュニケーションが無かったり、旦那が単身赴任だったり、伴侶に先立たれていたり、威圧的な親だったりした。
そして、全ての人に鬱の兆候が見られた。
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