ネットオタクがネットを鵜呑みにして信じてしまうように、マスコミも専門家の話を鵜呑みにしすぎ。

もっと自分で調べたらよいのにと思う。


例えばこれ「壁の向こうからパソコン画面を盗撮できる電磁波盗聴テンペスト

この報道を見た感想はいかがな物だろうか?


この報道を見たら、PCの情報が漏えいする危険を感じてしまう人も多いと思う。

しかし、この映像にも取材先のベクトルが入っている。


確かにテンペストと言う技術は存在し、実行可能な技術でもある。

この報道のように、実験も可能だ。

しかし、この実験映像には肝心な事が省かれている。


それは、テンペストを行なうには事前にPCの固有周波数を測定する必要がある事だ。

その部分は省かれている。


この部分が省かれると、侵入もされずに知らぬ間に情報を取られてしまう錯覚に陥る。

実際にやろうとすると、馬鹿でかいアンテナやかさばる機材が必要になり現実的では無い。


こうした取材は、テンペストと言う技術の歴史には触れられていない。

テンペストと言う技術その物にも錯覚がある。

テンペストと言う技術が知られたのは、急速にパソコンが普及し始めた西暦2000年の事だ。

その為、最新技術と思われているのだが、実際に開発されたのは1970年代とかなり古い。

1970年代といえばアポロ計画の時代で、アポロ111号に搭載されたコンピューターはファミコンより性能が低かった時代の技術だ。


当時はインターネットは無く、スーパーコンピューターと言えどオープンリールの磁気テープを使用していた時代だ。(当時のコンピューターを偲ばせる映像

昔のコンピューターは今のパソコンとは比較にならない電磁波を出していたので有効だった技術で、今のパソコンの電磁波レベルではかなり難しいのだ。


ネットワーク化された現在のコンピューター環境を考えれば、周波数を測定する為に侵入するのなら、ウイルスやスパイウエアを入れて来た方が手っ取り早い。


こうした事を隠していれば、不安を煽れる。

不安を煽れば商売になる。




盗聴特集も似たような物。

我々のような同業者であれば人目でヤラセと分かるが素人さんが気付く事は難しい。

例えばこれは、とある盗聴特集の一コマ。


探偵が見たいじめ問題-盗聴

我々は、この一コマだけで嘘と分かる。

一つに、受信するのにつまみを触る必要は無い事と、もう一つはつまみの上に貼ってあるテープ。

この二つで何をしているのか察しがつく。


この機種の写真がこれ。


探偵が見たいじめ問題-icom
この写真を拡大すると分かるが、受信の時に触っているつまみはGAIN、早い話が自分で電波を増幅して受信レベルを上げている。

そしてテープの貼ってある所は、変調スイッチ。


大多数の盗聴器はNFM(ナローエフエム)と言う変調を使う。

TVでおなじみのハウリングだが、NFMをWFMで受信するとハウリングはほとんど起さない。


つまり、自分で盗聴器を持っていてGAINを自分で調整して「近くに盗聴されている家がある」と言い、ハウリングしてしまうとまずいのでWFMで受信、それがばれないようにテープを貼っている。


そもそも、この番組は高速道路を走りながら受信していたのだが、電波をキャッチしてから数分受信しながら喋っていた。

盗聴器の電波はキロ(Km)は飛ばない。


民放はこうした事に何の疑問も持たずに報道する傾向がある。

盗聴器が年間15万個とか30万個販売されていると言われているが、私自身昔はそれを信じていたしHPにも書いていた。

しかしNHKの電話取材が入った時、その情報の根拠を聞かれて返答に困った。

そして自分で色々と調べてみたら、その数字には何の根拠も無かった。

早い話、盗聴発見の代理店募集の為の営業トークで、代理店になった人がそれを信じて通説になっていただけの話。


何事も自分で深く調べてもないと本当の事は分からない。

ネットだけで調べるなど愚の骨頂。




集団ストーカー―盗聴発見業者が見た真実 (晋遊舎ブラック新書 1)/古牧 和都