過去10年で、1000人以上の心に病を持つ人を見て来たが、病名はともかく共通している事は、自己愛が異常に強い事だ。
モンスターペアレントなどのモンスター市民から、連続殺傷事件を起こす犯人に至るまで例外無く自己愛が異常に強い。
自己愛は無くても困るが、強すぎる自己愛は狂気の時限爆弾になる。
それを実証する実験 も行なわれている。
選択式の問題をさせて自己愛の強い者を選び、論文を書かせる。
その論文は第三者によって採点されると告げて採点を行なう。
しかし第三者は存在せず、採点はコイントスで表なら合格のA、裏なら不合格のFとされ、Fには「今まで読んだ中で最低の論文だ」と書き加えられる。
そして不合格の採点を受けた者には、採点者へ騒音を与える攻撃の機会が与えられる。
騒音のレベルと時間は自由に決められるのだが、Fの判定を受けた者は、一様に高いレベルを選ぶ。
これは、攻撃できる相手が分かっている場合なのだが、相手が不明確な場合は「したい」が「されている」に変る。
しかし、この強い自己愛という物には2種類ある。
一つは、母親の過保護により、母親から愛情を注がれ過ぎて起きるタイプ。
このタイプは自己中心的で、自己顕示欲が強くなる。
もう一つは、親からの愛情が少なく、誉められずに育ったタイプ。
このタイプは、本当の自分はもっと凄いと空想し、傷付いた自尊心を取り戻そうとする。
その為、傷付きやすく過敏性が有る事が特徴。
「独特で」「完璧な」「才能がある」と自分を表現し、「普通の人には理解できない」と感じている。
そして、どちらのタイプも「自分は特別」、「自分は優遇されるのは当たり前」と思っている。
エリート意識も同類。
この強い自己愛は実に厄介な代物で、親から子へ伝播してしまう。
親が強い自己愛を持っていた場合、生活環境に不満が無ければ子供を溺愛し、生活環境に不満を持てば虐待してしまう。
溺愛も虐待も強い自己愛を形成する要因になり、子供も強い自己愛を持つようになってしまう。
例えば、実験映像でも語られていた様に、自己愛の強い人は称賛される事を好む。
会社でバリバリに働いていた母親が、育児に入ると仕事での称賛は無くなる。
家庭の中での育児は誰も称賛してくれない。
称賛の無い生活は、自分の否定に感じられ、攻撃性が出始め、その攻撃性は常に一緒にいる子供に向けられると虐待が始まる。
そうして行なわれる虐待は、衝動的に行われる為、母親が我に帰った時に自己嫌悪に陥る。
ここから鬱が始まる。
対策は、育児が始まった時から旦那が奥さんの話を聞いてやるだけでよい。
そこで旦那が下手に意見などを言ったら逆効果。
口出しするなら、育児の分担をする事。
子供の叱り方や誉め方も結構大切。
感情的に怒る親が結構多いが、怒るのではなく叱るが基本。
叱る時に大切な事。
何か悪い事をして、反省していない時や、言い訳をしている時には、しっかり叱り、本人が本気で反省している時にはあまり叱らない。
叱るのは、反省させる為に叱るのであって、すでに反省している子供には叱る必要は無い。
すでに反省している子供には、「叱る」より、「諭す」方が効果的だ。
そして、叱った後には仲直りも重要。
子供を叱った(怒った)ままでは、心に不安が残る。
不安は思考を一定方向に向けさせ、不安が収まるまで、傷付いた自尊心を取り戻す空想や妄想したりする。