89.雨の日曜日~検査の結果 妊娠してることが解った | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
「宮」~Love in palace~のYouTube自動再生を止めたい方は
画面右側サイドバーに貼っています 停止して下さい

おはようございます 
お忙しい中 時間を割いて読んでくださってありがとうございます
初めての方は はじめまして から順に読み進めて下さい
前のお話→88.謁見Ⅱ~俺解っちゃった
今日のお話は 83.碧いベルベットのファイル~カメラどこっ!? に次ぐ久々のチェギョ目線でお送り致します


太皇太后様の前で 素っ頓狂な声を上げ とにかく 前向きに考えておくれと言われて帰ってくる途中 宮中で皇子にバッタリ鉢合わせた…
あたしは口から心臓が飛び出すかと思うほど驚いたのに 皇子は驚いた様子も無く あたしに向かってある仕草をした
人差し指を自分の唇の前に立てて 怖いくらいに綺麗に笑ってから 片方の目を細めた
「누구에게도 말하지마/ヌグイェゲドマラジマ」
唇の動きはそう言っていた…
ダレニモイウナヨ…どのこと?
彼女にプロポーズを断られたこと?
あたしに…キスしたあと打たれたこと?それなのに意地悪そうに笑ったこと?脅した事?


あれから 2週間程経って ソウルはだんだん雨が多くなってきた
雨の日曜日 スジさんと二人映画を観にいった帰りに
バスを待ってるときだった スジさんが倒れた
あたしはスジさんの手を握り 救急車に乗って病院へ付き添い
検査と処置を待ってる間 すごく怖かった
だけど スヒョンさんが来て 検査の結果を聞いて ひとまずホッとした
スジさんは検査の結果 妊娠してることが解ったんだけど 流産の危険性があるから当分絶対安静だって そのまま入院した

「驚かせて悪かったね お詫びにご馳走するよ」
そういって弱く笑うスヒョンさん 妊娠は嬉しいけど 心配で手放しに喜べないよね…

窓の外はすっかり夜の闇 私みたいな子どもは スヒョンさんとしか来ないような一流ホテルの三ツ星レストランの窓から 闇夜に降り続く雨を眺めながら 食後のコーヒーを啜るあたしに スヒョンさんがイキナリ言った
「チェギョンは学校で 妊娠したってうわさされたんだってね」
ぎょえっ?!なんでスヒョンさんがそんな事知ってんの!?
「失礼しちゃうよね~ キスも未だなのに…」
げっ!?ななな…なんで?何か知ってるの?!いや…知るわけないよね…
アノコト見てたのはイギサと呼ばれる皇室のSPくらいよ?
なんで?
あたしが目を白黒させていたら スヒョンさんが笑った
「チェギョンってほんと可愛いよね」
「からかわないでください!」
「義姉さんから聞いたんだよ 心配しないで 僕はちゃんと解ってるから
チェギョンはまだまだウブな17歳の女子高生だよね」
うっ!…いや…キスは…されちゃったんだけど…
「でもね…許嫁の話… 僕は いいんじゃないかなって 思うんだ」
「え?」
「皇太子殿下なんだろう?相手」
むうぅっ
「それもオンマから聞いたんですか?背中を押せと頼まれたとか?」
「ん~ それは~ 実は結構前から聞いてたんだ 義姉さんとスジからね…
ほら…僕 お義父さんの後継として王族会入りしなきゃならなかったから
そのときにね… 皇帝陛下とも お話する機会を頂いたし…」
そっか…知ってたんだ…そんなに前から…
あたしはなんにも知らずに 美術館で出会ったイ・シンくんに恋して それがみんなの憧れの皇子だと知って… その正体は王子病のムカつく皇太子で… なんとあたしの許嫁…
はぁ~ あたし どうしたらいいんだろう…
「黙っててごめんね 言うわけにはいかなかったからね…
落馬して骨折なさった腕は 完治されたかな?
報道こそされなかったけど… あの時実は 皇太子を引きずり下ろそうとする動きが有ったんだ
具体的に皇太子を辞めさせろとは言わないけどさ
議会の招集があってね… 義誠大君殿下と皇位継承権を同等にして どちらがより次期皇帝にふさわしいかって… すごい剣幕の王族も居て…大騒ぎだったんだ」
そうだったんだ… そんなことこれっぽっちも感じさせなかった…
そういう人なんだろうな…
「彼はとても孤独なんだよ…端から見ても 華やかなのに どこか寂しそうな瞳してると思わない?」
うん…知ってる…あたしも前はそう思ってた なんかすごく寂しそうだなって…だけど…
だけどあんなヤツ!
「だけどね 義誠大君殿下とはすごく仲がイイみたいで 案外気さくで可愛い普通の高校生と変わらない面もあるみたいだよ?」
ホッ…ユル先輩と不仲っていうのはただの噂なんだ…
「チェギョンだって本当は気になってるんだろう?彼のこと…
一緒に住んでた頃のことはもうすっかり忘れちゃったの?
すっごく仲が良かったって義姉さんから聞いたよ?」
うん…よくは覚えていないけど 確かに毎日一緒に遊んでいたはず…
「二人はいつも一緒で 小さいながらも恋人同士みたいだったって」
ええぇぇっっ!?
「だから即位が決まって 離れ離れにするのは可愛そうだった
…でもその反面 自ら王族の身分を捨てたのに 乳母なんて引き受けたために
君を皇室に取られてしまうのかと 怖かったって
だから 二人の意思を尊重できる年齢に達してから二人に判断を委ねると聞いて
許嫁の話を受け入れたんだって
家族と幸せな日々を過ごしてきた君なら 彼の救いになれるんじゃないかな…
この国の皇太子殿下だと意識せずに 幼馴染として
結婚のこと 前向きに考えなよ」
や…いやよ 冗談やめて スヒョンさん…
「あんなムカつくヤツ絶対お断りよっ!王子病!女の敵!最低!」
「あれ?チェギョン彼と面識あるの?」
うげっ!
「な…ナイナイ!全然ナイ!」
慌てて窓の外に視線を戻すあたしをスヒョンさんは怪しいモノを見る目つきで見る
窓にその顔が写ってる いや~んっ!ニヤリと笑ってる
「嘘だね じゃなきゃそんな言葉出てこないもん」
「いや…だから…ちょっと…バケツのお水がかかったくらいでキレられたから…」
スヒョンさんは黙って話の続きを待ってる
「靴をね…投げつけたの…そしたら…えっと…なんでかわかんないんだけど…」
あたしはドコまで話していいものか…しどろもどろになって…
殿下にキスされた事は絶対言いたくないのに あの瞬間が頭に浮かんできちゃって あ~も~ど~しよ~!
「なんか意地悪されたの?」
「されてナイナイ!」
「ちゃんと言いなよ!なんだったら僕が諫言してあげる 僕の可愛い姪っ子を苛めないで下さいって」
「い!?苛められてなんか無いってば ただちょっとキス…」
あ゛!!!あわわ…聞こえてないよね?
「キス?」
ぎゃ~っ!聞こえてるぅ~ うおぉ~ ど~じよ~ え~ん…
「キス?」
怖いよスヒョンさ~ん…そんな目で見ないで~
あの日片目を細めてあんな仕草をした彼の顔が鮮明に過る
ダレニモイウナヨ…って言われたのにぃ~
スヒョンさんが射すくめるような目をして あたしの唇に人差し指を突きつけて言った
「されたの?」
あたしはもう誤魔化せなかった… しかたなくコクンとうなずいた
スヒョンさんは小さく溜め息をついてから 笑ってこう言った
「へぇ~ 殿下って… 面白い子だね…」
え?!違うでしょ!全然!
「チェギョンに靴投げつけられた腹いせにキスしちゃうなんて kkk 可笑しい」
え~!
「何言ってんですか!可笑しくないよ!あたしのファーストキス奪って あたしが泣きそうになってるのに 笑ってたんだよ ヒドイヤツじゃない!?」

「あ! わかった~ 許嫁の話 きいてたんじゃない?チェギョンのこと味わってみたんだよきっと!ホントに俺コイツと結婚するのか?どうしよっかな~って キスしてみてなんか感じるか試したとか?」
え゛~!!!ナニそれ!?
「笑ってたんなら合格だったんじゃないの?」
「ば!馬鹿言わないでよ!コッチがお断りなんですってば!」
「う~ん… でもソレは難しいよ? 断るにはそれなりの理由がなくちゃね…
多分 殿下でさえも 言いなりで 結婚するしかないかも… 皇室の仕来りって厳しいみたい」
「そうなの?」
「今ね 皇太子にお見合い写真が二十通も届いてるんだって 殿下とチェギョンがハッキリしない 今のうちにってね… 仮にチェギョンとの結婚が流れたとしても 殿下が来年誰かと結婚するのは確実だろうね…」
え~!うそ~!ホントに!?
「あ 今チェギョン焦ったでしょ~ kkk 可愛いっ」
スヒョンさんはあたしの頬を両手で軽くつまむ
もう!子ども扱いして!子どもに結婚薦めないでよ!
「だけどホントに 僕は皇太子殿下の事 結構好きなんだけどな…なんていうか…放って置けない
チェギョンが守ってあげて欲しいな
家族と幸せな日々を過ごしてきた君なら 彼の救いになれるんじゃないかな…
何度も言うようだけど
この国の皇太子殿下だと意識せずに 幼馴染として 結婚のこと 前向きに考えてみたら?」


あたしは
うちに帰ってお風呂に入っても 宿題をやってても ベッドに潜り込んでも…
ずっと ずっと…
寂しそうな殿下が 来年誰かと結婚するであろう事実が 頭の片隅に引っかかってて
「ホントに…あたしじゃなくても 誰かと 高校在学中に絶対結婚するんだ…」
あたしは起き上がって あの日 美術館でイ・シンくんが拾って追いかけて届けてくれたアルフを手に取る
「イ・シンくん…小さい頃一緒に遊んだシンくん…皇太子イ・シン殿下…」
アルフを胸に抱いて思い出す あの日困ったようなぎこちない笑顔で話した彼
「あたしが…殿下を守ってあげるの?そんなことあたしに出来るの?スヒョンさんったら…ヘンな事いうな…」


「チェギョン?学校遅れるわよ~?!ってどうしたのあんたその顔!」
「え?なに?顔がどうかした?」

オンマに連れられて洗面所で鏡を見てびっくりした ありえないくらい目が腫れていたから


今日もお読み頂き ありがとうございます
あはは
殿下この子ったらさっそく叔父にバラしちゃいましたよ~
なんで目が腫れたのかってう~ん…


にほんブログ村 ←or↑ポチ ちゃるぷったっかむにだ好
くりご ↓ペタ ちゃるぷったっけよろしくです


次のお話は明朝8:18:18 →90.ビデオカメラ ~や…なんか俺…エロくないか?
え?殿下はだまってても充分エロいですけど…もっとエロいんですか?なぜに?