フェミニズム批判-内閣府男女共同参画会議の恐るべき戦略 | 「ジェンダーフリー」ブッタギリ

フェミニズム批判-内閣府男女共同参画会議の恐るべき戦略

「ジェンダーフリー」を主張するフェミニスト達には、共産主義を土台とした戦略がある。まず、偏向男女差別論で、男性と女性の対立関係を作り、議論の焦点を常に女VS男の構図に設定する。

これは、「闘争関係」を正当化する為にでたらめな歴史観、哲学、経済論を体系化したマルクス主義のやり方、そのものである。国内では、「ジェンダーフリー」、「過激な性教育」、「男女共同参画会議」などを、マルクス主義(階級闘争歴史観、唯物思想、労働価値説)と重ね合わせて推し進めている。(「ジェンダーフリー虚と実」参照)

国外になるとこれが「従軍慰安婦」問題へと絡んでいく。北よりの日本と韓国のフェミニストが連携して、日韓関係だけでなく日本同様、韓国内の男女関係までも対立構造に仕立て、袋小路に追い詰めようとしているのである。「従軍慰安婦」問題を外交問題でなく、男女問題にも移行して、アジアにおけるフェミニストの活動舞台を増やそうとしているのである。

日本は、過去、60年代、70年代に多くの若者が左翼活動に流れていった。左翼の進め方に対してキチンと理解しておく事が重要であろう。感情論議になると疎外感(虐げられているという意識)を巧みに利用されるので、日本も気をつけたいものである。

日本のフェミニズムは、「ジェンダーフリー」という入口から表舞台に侵入してきた。「ジェンダーフリー=>フェミニズム=>共産主義」という流れを作ろうとしている。問題は、フェミニストが日本国民の全女性の代表のような立場で発言している事である。男女対立構図、家庭崩壊構図を阻止する為にも、フェミニストを女性の代表という立場に立たせない事である。

このコミュでも、フェミニストの問題を継続して取り上げるが、それと平行して、ジェンフリに反対する女性の論文もそのつどのせていきたいと思う。以下は、女性フリーライターの産経に掲載された記事である。

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【論文】フェミニズム批判第二弾【I】
内閣府男女共同参画会議の恐るべき戦略
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目指すは全体主義国家!?


フリーライター 岡本明子




<無視された家族解体への懸念>


道徳や伝統的社会制度・慣習を解体へと導くジェンダーフリー思想が、着々と政策に反映されつつある。税制・年金改正問題もその一つだ。専業主婦やパートで働く主婦を兵糧攻めにして、その存在の抹殺を狙う配偶者控除の縮小・廃止の方針が政府によって打ち出されている。ジェンダーフリー思想を政策として実現する司令塔の役割を担っているのは、内閣府の男女共同参画会議である。彼らの主張を詳しく見ていくと、日本を全体主義国家へと導こうとしているとしか思えない。内閣府の中で堂々と進められている「革命」戦略会議の実態を明らかにしていきたい。

七月十二日付産経新聞は、「配偶者特別控除『割り増し』優遇撤廃へ 4000億円増収目指す」と報じた。首相の諮問機関である政府税制調査会が配偶者特別控除廃止について公聴会などを開いて意見を集約し、秋にも平成十五年度税制改正案としてまとめるという。

これは、経済財政諮問会議、税制調査会などの答申、提案を受けて、政府が六月二十五日に閣議決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」に沿ったものだ。男女共同参画社会実現を重要課題とし、「多様なライフスタイルのために、就労などの選択に歪みを与えないよう」配偶者に関する控除の廃止縮小に加え、社会保障制度や主婦の年金負担の見直しも打ち出している。

配偶者控除・特別控除、第三号年金(扶養配偶者年金)については、内閣府男女共同参画会議の影響専門調査会(会長、大澤真理東京大教授)も平成十三年五月から今年三月まで十回に亙って検討し、四月に「『ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム』に関する中間報告」をまとめている。

内容は前述した政府の「基本方針」とほぼ同じであり、この中間報告が政府方針の基礎になったことがうかがえる。しかし、四月二日に行なわれた政府税制調査会基礎問題小委員会では、影響専門調査会の意見を発表した大澤氏に対して、税調委員から次のような指摘、質問が相次いでいた。

「世帯とか家族とかいうものを、こフ参画会議はどのようにとらえているのか。もちろん、女性が社会進出するというのは大いに結構なことでありますし、世界的な潮流ということは私もわかるわけですが、一方で、先進国共通の悩みというか、問題意識として出ているのは、家族というものをどう見るんだということが一方にあるわけです」

「専業主婦というものの位置づけは、いてもいいけれども、いなくなってもいい、という位置づけなのか、いること自体邪魔くさいという位置づけなのか、その辺はどういうふうに考えているのですか」

「少子のほうについて、この提案は矛盾するのか、しないのか、この点はどう考えたらいいのですか」

税調委員の懸念は、家族のあり方に大きな影響を及ぼす制度の変更に、参画会議が余りに強引かつ性急ではないか、ということに向けられている。

これに対して、大澤氏は、現行の日本の社会保障制度は家族配慮に欠けるものであり、家族形成を妨げる原因だと答えている。少子化問題については、諸外国と比較して、二〇代から三〇代の女性の就業率が高く、『ジェンダー開発指数』が高い国ほど出生率も高いと指摘し、その構造障壁を取り除けば、諸外国のような傾向になっていくのではないかと述べた。配偶者控除・特別控除、第三号年金の廃止は、多くの家庭にとって福音となり、且つ、経済を活性化させ少子化問題も解決するという見解なのだ。

「主婦が邪魔くさいのか?」という質問に対して、大澤氏は、「ライフスタイルは個人が自由に選択する問題であって、それに対して、今の制度は歪みがあり、中立ではない、中立的な制度にした時に、結果として、専業主婦が増えるのか、減るのか、それは個人の選択の結果である」と答えている。

しかし、大澤氏らの本音は、女性を基幹労働者に位置付けることが狙いであり、専業主婦優遇制度をなくして主婦を労働者にすることにある。税調の委員たちも、こうした本音はお見通しのようだ。

「男女共同参画社会というのはどういう意味なのかよくわからない。知らない間にささっと出てきて、こういうものだという定義がいつの間にかあるようですが、…一体何を言うのだということを練ったほうがいいのではないか。特に税制とか生活に密着する制度を変えようとする場合、何か一面的な主張だけで制度が引っ張られるというのは、いかがなものかという感じがしております」

「さっき男女共同参画社会論があったけれども、僕も個人的にはあまり納得しないけれども、しかし同時に、これは我が国の時代の風潮であることは歴然たるものなんだ。僕は怖い、怖いと言ったら悪いけど、この議論をやる女性をたくさん知っているんだ。こんなものの前で出てみなさいよ、えらいことだから。僕は納得しないよ。時流に乗ろうかというだけの話だ」

「『女性の社会進出』というのは一体どういうことなのか、ということをしっかりと議論しておかないと議論が一面的になる。…キャリアウーマン的な女性たちを取り上げた議論なのか、あるいは、家計の足しにということでパートでひたむきに働いてらっしゃる一千万人を超える女性たちも含めた議論なのか、そういう人たちは社会進出ではないのか。…とりあえずはパートということで、少ない賃金、限られた労働時間で働く機会が増えている、これも一方の現実なわけであります。そういう中で、配偶者特別控除の廃止だなんていうことを税調として軽々にいえるのかどうか。私は、こういう前提で進むとどんなふうに議論が展開していってしまうのか、危惧を感じる」

 

<フェミニストの詭弁に乗った政府>

 
男女共同参画会議が主導する税制・年金改革に明確な疑念が示されたわけであるが、国家財政の悪化や年金制度問題を抱える政府は男女共同参画の時流に乗り、配偶者特別控除、第三号年金を廃止して、これらの問題を一挙に解決しようと検討に乗り出した。

我が国は確かに少子高齢社会を目前にし、景気は低迷して失業率も高い。しかし、大澤氏の政策は、景気や少子高齢社会の処方箋たり得るのだろうか。

失業率の問題を考えてみよう。大澤氏の言う「ライフスタイルを男女共に自由に選べる」ような優雅な夫婦は、ほんの一握りだ。パート労働者は増え続けており、間もなく全就業者の三人に二人がパート労働者になるという状況下で、増税され年金支払いを迫られ、その末に職を求めても、ほとんどの女性はパートで働くことになるだろう。さらに、それは、一家の為に働くお父さんたちを圧迫し、失業者が就職するチャンスをも減らしてしまうことになる。

次に少子化問題について、大澤氏の指摘の根拠となっているデータを、男女共同参画会議の資料から比較検討してみよう。日本は、国連開発計画が作っているジェンダー開発指数(以下GEM)が三十一位で、二十~二十四歳の女性の就業率【(1)】七三・四%、二十五~三十四歳の就業率【(2)】六二・九%、合計特殊出生率【(3)】一・三八である。以下、資料に掲載されている国の数値を挙げてみる。

スウェーデン GEM三位(1)五九・六% (2)七九・三%(3)一・五二

オランダ GEM七位(1)七八・一%(2)七七・一%(3)一・五九

ドイツ GEM八位(1)六六・九% (2)七四・〇%(3)一・三二

アメリカ GEM十位(1)七二・七% (2)七六・〇%(3)二・〇三

デンマーク GEM十二位(1)七七・八%(2)八三・九%(3)一・七五

などとなっている。

比較してみると、確かに日本だけが、二十~二十四歳よりも二十五~三十四歳の就業率が低くなる所謂M字型であり、合計特殊出生率はドイツに次いで低い。ところが、出生率は、アメリカ以外の国はすべて二以下である。人口を一定に維持する数値、人口置換水準は、合計特殊出生率が二・〇五以上だと言われている。どの国も、その水準には達しておらず、所謂「少子化問題」を解決できてはいない。「就業率やGEMの高い国ほど出生率が高い」と言い切ることは出来ないのである。むしろジェンダー開発指数が高い国、先進国ほど、少子化という病理を抱えているのではないかと反論したい。

前掲した国の中で、アメリカだけが二・〇三という健全に近い出生率を達成している。アメリカの出生率は、実は一九六〇年代から七〇年代にかけて大きく低下し、九〇年代に入って上昇した。出生率の低下はウーマンリブ、フェミニズム運動によるものであり、九〇年代の反転は、母子家庭への福祉を減らし、貧困家庭への結婚奨励の福祉政策を進めた結果であると、アメリカの民主・共和両党のシンクタンクは共に分析している。ジェンダー開発指数とはフェミニズムが目指すジェンダーフリーの達成度を示す数値であり、アメリカの例を見れば、フェミニズムこそが女性を男性と競わせて社会に駆り立て、離婚率を五〇%にまで上げ、社会を少子化へ向かわせた大きな要因だったことが分かるだろう。

男女共同参画会議は、自らの思想的バックボーンであるフェミニズムこそが少子化を招く病理であるにも関わらず、日本の重大な課題である少子化問題について、彼らが進める政策こそが解決に繋がるというレトリックを使って、国民を欺こうとしている。

配偶者特別控除、第三号年金の廃止とワンセットになっているのが、子育ての社会化である。大澤氏らによると、「家族配慮に満ちた社会福祉体制の完備」である。男女共同参画会議の「仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会」は昨年既に最終報告を行い、これに基づいて閣議決定が為された。先般、福田康夫官房長官が国会答弁で不快感を示して話題になった文部科学省の冊子『未来を育てる基本のき』は、仕事と子育ての両立を支援する地域子育てサポーターの為に発行されたものである。冊子は、学術的に是非が定まっていない所謂「三歳児神話」を一方的に否定して母親は乳幼児の傍にいる必要はないと述べ、専業主婦を貶め、子育てに悩む母親には「仕事をしてみたら」と勧めなさいと説き、子供たちにジェンダーフリー教育を施す手ほどきをしている。子育て中の母親、専業主婦を、税金や年金で追い込んで就業を促し、その間、子供たちは子育てサポーターによってジェンダーフリー教育を施されるという仕組みが出来上がりつつある。日本がジェンダーフリー天国、フェミニスト生産工場となる日は近い。

 
<有無を言わせぬ強権>

 
さて、男女共同参画会議には幾つかの専門調査会が置かれている。大澤氏の「影響専門調査会」と並んで、男女共同参画社会の形成に大きな役割を持つのが「苦情処理・監視専門調査会」(会長、古橋源六郎ソルト・サイエンス研究財団理事長)である。この専門調査会について、かの樋口恵子氏(男女共同参画会議委員)は、次のように語っている。

「苦情処理・監視専門調査会が立ち上がっておりますことを、大変心強いものと思っております。女子差別撤廃条約にいたしましても、条約そのものの中にフォローアップがしっかり記され、体制が整えられていたことが、国際婦人年以降のさらなる前進の基盤となりました。例えば女子差別撤廃条約には暴力の問題はそうはっきり明文化されていなかったのですが、その後の各政府及びNGOからのさまざまな報告、苦情の受け皿が設置されていたことによって、今に至る非常によく物の見える条約として機能しております。男女共同参画社会政策についても、苦情処理・監視専門調査会におきまして、その役割を担って下さるものと期待しています」

男女共同参画基本法成立の背景には、女子差別撤廃条約の署名批准があったことは周知のことであるが、女子差別撤廃条約の威力は監視体制によって支えられていることを、樋口氏の言葉は伝えている。条約批准国の代表やNGOが国連に訴えることで、各国は常に国連から監視され、勧告を受ける。そしてわが国では同様の監視体制整備が我が国の男女共同参画基本法で明文化され、苦情処理・監視専門調査会が存在しているのだ。

昨年度、苦情処理・監視専門調査会は関係省庁、地方公共団体等から関連制度や取り組みに関するヒアリングと、地方公共団体等において相談業務に携わっている者、有識者からのヒアリングを実施した。議事録を引用しながら、専門調査会が如何なる「監視」を行っているか、見ていきたいと思う。

まず、男女共同参画会議が各省庁に対して持つ権限について、内閣府の松下忠洋副大臣は次のように述べている。

「一府十二省ができて新しい仕組みが始まったわけですが、そのことで内閣府に坂東局長(坂東眞理子男女共同参画局長、筆者註)を誕生させて、このための専門に議論する場ができたわけですけれども、十二省の中にきちんと男女共同参画の部局がそれぞれあるのかどうか。なかったらそれは総理にきちんと申し上げてそういうものをつくっていく必要があると思うんです。…各十二省にそれぞれ男女共同参画評価会議、大臣を筆頭にしてそういうものを全府省横並びで議論したことが実行されるかどうかということをきちんと評価する会を権威づけてつくっておく。そして、そこのコアになる専門の部局がきちんと設置法上確認されて、そこに認められていてあるということが極めて大事だと思うんです」

「今までは大蔵省が上にいて、そして彼らが君臨してやっていたのが、大蔵省が私たちの言うことを聞くことになるわけです。そういう意味で、内閣府の意味が大事だし、総理大臣のリーダーシップと機能権限強化というのができたわけですから、これは一番大事なところなんです。出てこないところがあったら予算を付けなければいいんです。ここで削るわけですから、公共事業でもどこでもこれは全体を通して聖域なき事業の見直しをするわけですから、内閣府は、ではいいよ、君のところはもう切りますよという力を持っているわけです。人事権を持っていることと、おまえのところはつぶすぞという力を持っていることと、言うことを聞かなかったら金を召し上げるぞということをやるのは、これは大変大きな力ですので、ある面では有無を言わさず言って聞かせるということはあっていいと思うんです」

旧総理府の男女共同参画室と違い、内閣府の男女共同参画会議は各省庁横断的に男女共同参画を推し進める極めて強大な力を振るえる機関になっていることに注目して頂きたい。昨年五月末までに、一府十二省すべての中央省庁に男女共同参画推進会議が設置され、男女共同参画会議が各省庁に強力な権限を行使する体制が整ったのである。

 
<従わぬ家族に罰を/人権擁護委員・行政相談員はクビにせよ>



文部科学省のヒアリングでは、次のようなやりとりが行なわれた。

「文部科学省に男女共同参画学習課というのがありますね。…教科書検定のときの問題ですが、家庭科の男女共習に関しては、男女共同参画学習課がわかっていても、検定課の方でわかっていない。今後は両者の連携ができるわけです。その場合に、両者の意見が違ったときは、その省はどこで調整するのですか。権限は」(山口みつ子委員、財団法人市川房枝記念会常務理事)

「文科省の場合は、生涯学習局長が男女共同参画担当官に指名されていますので、そちらで調整していただくということになると思います」(坂東局長)

 これからの社会を担う子供たちが学ぶ教科書は、男女共同参画、ジェンダーフリーの観点から検閲が行なわれるということである。教科を問わず、引用する文章、資料、挿絵に至るまで全てジェンダーチェックが行なわれ、性差別を感じさせるものは排除されるだろう。

 次に農林水産省のヒアリング。

「家族経営協定というものの数値目標をやはり各県ごとに私はつくらせるということが必要なんじゃないか。家族経営協定をどうやって具体的にしていくかという方策として、今は農業者年金受給できる…家族経営協定を結べば利益があるよ、あるいは利益を受けるべき補助金が受けられないというようなシステムをつくっていくということが私は必要なんじゃないかと思うんです」(古橋会長)

「補助事業の採択をするときに、市町村とか農協とかが、この事業が必要というふうに国に要望してきますね。それで、どこの地域の、例えば集出荷施設を採択するかというときに、女性の参画促進に非常に熱心な市町村とか農協から要望のあった施設は、ほかの条件、例えば必要性が全くイコールであれば、女性の参画に熱心なところからの要望には配慮しましょうと、できるだけ優先しましょうというようなものを盛り込んだ、共同参画を進めるための、ポジティブアクションみたいな、そういった仕組みを取り入れた推進指針を、農水省の全部の局長の連名通知で知事あてに出しております」(農林水産省)

 家族(庭)経営協定とは、家族が一緒に作業をし、収入も一家みんなのもの、という暮らしを続けて来た農家に対して、一家の中で契約を交わし、給料制にしろ、ということである。専門調査会は農林水産省に対して、農業者年金基金などで家庭経営協定を結んだ農家を優遇し、結ばない農家を冷遇することで、゛罰″を与えろと指示しているのだ。この政策は、伝統的な態様が比較的保たれている農家の家族関係をバラバラにして、解体する目的をもつものに他ならない。参画会議が考える「男女共同参画」に従わない家族があれば、従わざるを得ない状況に追い込むのである。

 この専門調査会は、「施策についての苦情の処理及び人権侵害における被害者の救済について、行政相談委員を含む行政相談制度、人権擁護委員を含む人権擁護機関等既存の制度の積極的な活用により、その機能の充実を図る」という男女共同参画基本計画に則って、監視活動を行なうことになっている。これまで個人の人権侵害、行政への不満を受け付ける窓口となっていた人権擁護委員・行政相談員が、男女参画の苦情を受ける役目も担うことになる訳であるが、昨年の専門調査会では、これらの担当者が、性差別、ジェンダーフリーの観点から苦情処理を出来るのかということに議論が集中した。それが彼らに重大な意味を持っているからである。

 彼らの理屈はこうだ。国民からのあらゆる場所、場面での「男女差別」の苦情が来なければ、問題は顕在化しない。顕在化しないということは、男女共同参画社会の進展がないということである。苦情や問題が発生することで初めて、国民にジェンダー意識が根付く。従って、苦情を受け付ける人権擁護や行政相談の担当者たちこそが、男女共同参画の進展に重要な役割を担う-。

「私も基本的には人権擁護委員と行政相談委員に頼るいわゆる苦情処理の救済組織というのは無理だと思います。……功成り名を遂げた人たちはやはり保守なんです。だから、その人たちに男女共同参画みたいな革新的なものを理解してもらってやること自体にどうも無理がある。…改めて御破算で一から再構築する必要があるのではないかという感じが私はしているんです。…町の名士であって、要するに行政相談委員の方が偉そうなんですよ」(鹿嶋敬委員、日経新聞社編集委員)

「市町村長が推薦するときに、それはみんなのためにならないということが何となく雰囲気として伝われば、勲章のために推薦するということがだんだん減ってくるんじゃないでしょうか」(古橋会長)

今後、行政相談員、人権擁護委員、民生委員等の人たちは、徹底的に男女共同参画の教育を施され、それでも男女共同参画社会形成の役に立たずフェミニストたちの意に沿わなければ、追い込まれて淘汰されてゆかざるを得ない。これも又、彼らの強権的手法である。

こうした意見の交換を経て、従来の制度には限界があり、専門委員として各地の女性センターの女性たちを組み込んで行こうということになって行く。

「男女共同参画の視点でそういう問題にきちんと対応できる人は今のところ余りいない。女性センターの相談窓口のようなところにしかいないので、ほかの窓口へ行ってしまう。これは男女共同参画の問題だと気がつかないままに処理されてしまう。ところが女性センターの窓口などへ行くと相談員の人たちが、それこそフェミニストカウンセリングをする人もいれば、法律の専門家もいれば、いろんなところへつなげられるものだから、これは女性の問題だと気がついていく」(広岡守穂委員、中央大学教授)

「私は行政相談員だとか人権擁護委員が研修を受けてジェンダーセンシティブになってもらわなければ困ると思います。それは前提です。その上で、先ほどおっしゃられたように女性センター、それから男女共同参画会議のこの線をどういうふうに太くしていくかという方向だと思います」(神田道子委員、東洋大学長)

「地方公共団体の女性センターと男女共同参画会議の新しくつくるルートで、これをいかに太くするかということによって苦情処理については具体的に解決するんじゃないか。したがって、ほかのルートは引いてあるけれども、それはだんだんできなければ無視されていって、最後は行政相談員制度というのは男女共同参画の視点からは要らないというようなことまでいくんじゃないかという気がします。それは行政効率の観点からだんだん淘汰される」(古橋会長)

苦情処理・監視専門調査会の昨年四月の第一回会議から今年三月までの議論を総括した「男女共同参画に関する施策についての苦情の処理及び人権侵害における被害者の救済に関する論点整理」では、この新たな体制作り、女性センター関係者・女性センターそのものの登用・活用に関する提言が行なわれている。

女性センターとは、端的に言ってフェミニストの拠点である。提言が実現すれば、女性センターで育てられたフェミニストたちによって、相談者の相談事は、性差別問題として大きく取り上げられるだろうことは想像に難くない。

 

<自治体トップを洗脳せよ>

 
次は、地方自治体に関する議論である。地方自治体は、男女共同参画会議が直接チェックすることの出来ない存在である。昨年のヒアリングでは、男女共同参画的苦情は出ていない。逆に、男女共同参画社会そのものへの疑問や、知事、市町村長らが、「男女共同参画に協力的ではない」ということが問題点として挙げられている。古橋会長は、「苦情がないというところに、日本の政治的民度の低いところだというふうに考えられるんですよね」と、地方自治や国民の意識を批判している。

男女共同参画会議から見れば、地方の「民度の低さ」は矯正してやらなければならず、「相当トップの人に対する洗脳をやらないとだめだと思いますね」という発言まで飛び出している。そのトップとは、知事や市町村長である。東京都が補助金交付を打ち切った東京女性財団の問題が、その端的な例として会議でも焦点の一つになった。

「例えば東京女性財団などで男女平等参画社会形成について、それの拠点としてかつぎ出しているのですが、財政が悪化したと。だから、それを廃止する、そういうことに対しては不服とかそういうこともあると思います。しかし、そういうときに行政委員や人権擁護委員は該当しないのではないか。もう少しそのことが判断できる上級のシステムが必要ではないかと思う。行政相談員や人権擁護委員でやり切れないものも受けとめが必ずできてくると思うんです」(山口委員)

この問題をきっかけに、専門調査会は、東京都知事にも圧力をかけられる機関、方策を模索し、苦情処理・監視専門調査会の権限を地方自治体にまで及ぼすことの出来るような上級機関設置について、「論点整理」の中で提言している。

更に、潜在化した男女共同参画的な問題を、顕在化させる、つまり苦情処理の実効性を高め、男女共同参画社会作りを進めるために、苦情を導き出す「ガイドブック」作成も提案されている。いわば、男女共同参画社会完成のための、戦略本である。

「苦情処理の啓蒙ということで、こういう点の苦情処理をするときの観点、具体的なあなた方のところで、こういう問題点がありませんか、あったら苦情処理に出しなさいよということをつくりますか、つくりませんか。各地方公共団体でそれをつくらせる、あるいは国の方で、私の方でつくるということを提言しますか。…ガイドブック。それは一つの方法かもしれません」(古橋会長)

専門調査会では、こうした強圧的な発言が次々に飛び出すのである。議事録の発言の中に、「ジェンダー」「フェミニズム」という言葉があったことに改めて注意して頂きたい。「フェミニズム」は特定のイデオロギーを表す言葉である。このような言葉を当たり前のように使う特定のイデオロギーの持ち主たちによって、内閣府男女共同参画会議が運営されているのだということを、しっかりと認識する必要がある。

彼らは民間のフェミニズム女性団体と連携しながら、国民の細かい生活にまで入り込んで、日本人の意識を変えようとしている。女性センターのメンバーらが自作自演の苦情を申し立てたならば、男女で違いのあるものは、全て告発されてしまうのだ。CMや雑誌も、性差別でどんどん告発されてゆくことだろう。地方の男女共同参画条例に「リ・プロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性の自己決定権)の項目が盛り込まれていれば、「条例で認められている権利なのに、母体保護法のせいで自由に中絶が出来ない」と、国の法律に対する苦情申し立ても可能になる。ひとりの人間が、国や地方自治体、団体、企業、マスメディアに異議を申し立て、告発してゆくことが出来るのだ。

そして専門調査会は、その苦情を受けて、お得意の-やらなければやるように追い込む、不要なものは淘汰する-手法で、問題を゛解決″していくだろう。

中央省庁の役人に圧力を加え、洗脳し、保育・幼稚園・学校教育を手中に収めジェンダーフリー教育を進める。企業や団体には、男女共同参画会議への協力如何によって、公共事業、公的資金援助に手加減を加え、協力の度合いを公表することで締め付けを図り、地方自治体にも力が及ぶような計画を進めている。彼らは、本気で、日本の社会を根底から覆そうとしている。

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」で、「目指すべき経済社会は、『結果の平等』を脱却し、『機会の平等』を重視する社会である」としている。今の制度は、主婦に「我慢して」家にいることを、パートの主婦には「仕方なく」時間調整して働くことを、強制しているというのだ。だから、税制・年金制度を変えれば、女性も男性も好きな職業に就ける「機会の平等」の社会が出来上がるというのである。

こんな「定義」はフィクションでしかない。主婦の大多数は、「余計なお世話だ」と言うに違いない。しかし、この「虚構の定義」こそが、フェミニズムの原点であり、男女共同参画会議は「虚構の定義」を国の方針とすることに成功したわけだ。彼らは全省庁に優越する強大な権力を手中に収め、水も漏らさぬ監視体制を構築して、性別をなくし、家族を解体し、社会の個人単位化を標榜するフェミニズム=ジェンダーフリーというイデオロギーを着々と日本に浸透させている。その社会では、結婚の意味はなくなり、言論も統制され、国民は皆同じ言葉を語らなければならなくなる。その社会に「機会の平等」はなく、結果だけが強制される。それを全体主義国家と呼ばずして、何と呼べるだろう。


岡本明子氏 主婦、フリーライター。神奈川県在住。共著に『ちょっとまって!夫婦別姓』(日本教育新聞社出版局)。平成十三年五月より、『男女共同参画社会・夫婦別姓を慎重に考えるHP』『岡本明子のホームページ(女性のための古事記考/フェミニズム病クリニック)』主宰。