不安について。 | 貞吉なおこの Life Blog

貞吉なおこの Life Blog

横浜58歳あだ名は「サダキチ」または「貞子」です。

 

知人が不安障害で入院してしまった。

 

他の知人とも続けざまだったので少なからずショックを受けた。

 

最近こういったメンタルな病気に苦しんでいる方はとても多い。

 


私にも不安は当然あり、常にそれに首尾よく克って来たとはいえない。

 

不安と一口に言ってもその質は人によって異なる。

 

特定の状況への恐怖的不安、過剰な反芻や仮想の心配事など

 

色々ある。

 

このように深刻で心身に大きなダメージを与える不安もあると知ると、

 

通常私が感じる「普通の不安」とはいったいなんなんだろう?と思う。

 


それは仏教で言うところの「貪欲」にあたるのではないかと思う。

 

いい欲は「向上心」、悪い欲が「貪欲」。

 

貪欲は怒りに似た焦燥を生む。

 

「自分はまだまだこんなものではない」「もっともっと良いものを求めなくては!」と

 

現状に満足しない感情が積み重なっていく。

 

現状という足場を見ずに城を建てることばかり考えているような。

 

 

多くの人が苦しみ求めるこの「悪いほうの欲」は承認欲だと私は思う。

 

認められたい、褒められたい、あなたは素晴らしいと言ってほしい・・

 

こんな人間の業の中の一つの欲。

 

食欲や性欲よりもむしろ大きくて深く厄介な欲。

 

それをこじらせた人は辛い。

 


この貪欲、承認欲に圧倒されてしまうと、

 

人は今の居場所も分からないまま「早く前へ進め!」と自分を駆り立てる。

 

今の居場所がないのだから前も後ろも上もないのに。。

 

安いビジネス書やセミナーにありがちな前のめりポジティブ思考、

 

実態のない"勝ち組"賛美がそれに拍車をかける。
 

 

しかし、この面倒な承認欲を克服することは

 

社会の中で生きていく以上不可能である。

 

 

だとしたらそれとうまく折り合っていくためには

 

自分が自分を十分に承認する必要がある。

 

 

これでいい、と納得できる心、そして今の自分が持っているもの(健康、家族、収入、安らぎなど)を

 

充分なものとして知り、肯定的に認識すること。

 


今の自分に満足せず、更なる高みや向上心を持つことは素晴らしい。

 

そこに夢を持ち、努力するモチベーションがあるのも事実だ。

 

でも「ここは自分の居場所ではない、本当の自分はこんなものではない」と

 

「今、ここ」を否定してはいけない。

 

今の自分ではない何かだけを求めて今を捨てて変わることだけを求めてはいけないのだ。

 


自分が自分を良しとし、今持っている豊かさと価値を強く認識しない限り、

 

人生はどこまでも辛くどこまでも満たされない。

 

 

まずは今ある自分と環境を承認し、

 

正しく評価しなくてはそこからの前進というものはない。
 

 

これには少しの時間が必要ではあるが、

 

今の自分が持っている豊かさ、経験してきた全ての価値を喜び、愛することが

 

ネガティブな欲を克服してくれる唯一の方法だと思う。

 

どうか不安に苦しんでいる人が少しでも穏やかになりますよう。


神よ、私に

変えられるものを変える勇気を、
変えられないものを受け入れる冷静さを、
そしてそれらを見分ける知恵を与えたまえ(ラインホールド・ニーバーの祈り)