働くって何だろう? 日本の「働き方と学び方」を考える② | 中野jazz-sweetrainの週末マスターのブログ

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◆幻想として生き残る「終身雇用」と「年功序列賃金」

 アメリカの経営学者であるジェームズ・アベグレン(James Christian Abegglen)が著書「日本の経営」(1958年、ダイヤモンド社)のなかで、日本の経済成長の要因として、「終身雇用」、「年功序列賃金」、「企業別労働組合」の3つを指摘し、これが一般的に日本的雇用慣行の3つの柱とされている。


 

そして、この3つの日本的雇用慣行を支えていたのが「新卒一括採用」という仕組みだと考えられる。


 

 毎年、4月に新卒学生を一定規模で採用し、年功序列賃金と終身雇用を背景に企業への忠誠心を高め、企業別労働組合で労使の協調を図るのが、典型的な日本的な人材活用手法だったと言える。


 

 さて、このような仕組みの現状はどうなっているのだろうか?

「成果主義」や「職能資格給制度」により、「年功序列賃金」は実態としてはかなり崩壊しているように思われる。一方、「終身雇用」については、企業倒産やリストラといった危機を意識しつつも、考え方としては根強く残っているようにも思われる。


 

 日本生産性本部のアンケート調査によると、「今の会社に一生勤めようと思っている」新入社員は、2000年頃は20%程度しかいなかったのに、最近では60%近くを占めるようになっている。また、独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤労生活に関する調査」によると、年功序列賃金についても2000年頃は20歳代の50%程度しかし支持していなかったが、最近では70%もが支持するようになっている。

データでみると、終身雇用は減少している(特に大企業では)し、年功序列賃金も崩壊しつつあるのに、就職する若者の中ではまだ幻想として生きているようである。

 

*終身雇用者の賃金月額の中央値を年齢別にプロットして賃金プロファイルを作成すると、賃金プロファイルの平坦化は年々進行し,とくに大学卒者および大企業に勤務する 高校卒者については40歳代以降になると賃金上昇がほとんど見られなくなっている。

 

データ出所:『賃金構造基本統計調査』(各年版,1989年から2013年まで)。 注:賃金月額の中央値は,「きまって支給する現金給与額」と「昨年一年間の賞与,期末手当等特別給与額」の   12分の1を足し合わせた額に基づいて計算される。大企業は常用労働者数が1000人以上の企業と定義され,   中小・中堅企業は1000人未満の企業と定義される。なお,賃金月額は,消費者物価指数(全国,持ち家の帰属家賃を除く総合)で実質化されている。

 

*過去20年間の終身雇用者比率の変化をデータで確認すると、大企業に勤務する大学卒者のグループでは,25から34歳の年齢階級の終身雇用者比率が2000年以降大きく低下している。しかし、中堅・中小企業ではそれほど大きな変化は見られない。

 

 これをもって、現在の若者は「現状を認識しないで甘えている」と言うことは簡単であるが、新たな魅力的な働き方を提示できない社会にも問題があるのではないかと、私は感じる。

 

さて、みなさんは「終身雇用」、「年功序列賃金」についてどうお考えですか?