デトロイト到着 | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

成田発4月15日(土)午後4時発の便で、デトロイトに着くとやはり4月15日(土)午後2時30分。機内で飯を食って、ワインをガンガン飲んで寝て起きたら、時間が戻っていた。時差が13時間で、フライト時間が10時間半だからこういうことが起きるのだが、このアメリカ便の“デロリアン感”は何度味わっても不思議に思ってしまう。

シャーロット行きの乗り換え便は午後7時発なので、時間がある。拍子抜けするほど人が少ないので、あっという間に入国審査が終わり、トランジットのバッグをピックアップして、シャーロット行きにドロップして、デトロイト市街地へのショートトリップを敢行。

目的地は、昨年5月11日にBABYMETALが単独ライブをやったThe Filmore Detroitである。

ここで新しく披露されたのが、「ギミチョコ!」のブレイクダウンで、YUI、MOAがチョコレートの銘柄の段ボールを持ってきて、SU-がアメリカ人観客に対して、「Pushin’ Back!Pushin’ Back!」「Sit Down!」と言って座らせたあと、SU-が「Gimmie my Chocolate Chocolate Chocolay!」と言うと、YUI、MOAが「Give me!Give me!」とレスポンスするのを見せ、この「ギミギミ」を観客に言わせるという煽りであった。

そのあとはSU-が「1、2、3」と言うと観客がジャンプし、YUI、MOAは段ボールのチョコレートを投げ上げる。

この煽りが披露された当初、Redditでは、チョコレート会社とタイアップしたのではないかといった意見があったが、もちろんこれは、明らかに1945年、焼け跡の日本各地で進駐軍の米兵が子どもたちにしてくれたことの「お返し」だ。当時食糧不足の中、ジープに乗ったMPが、街頭に「ギブミーチョコレート」「ギブミーチューインガム」と群がる子どもたちに「下がって下がって」「座りなさい」「ワンツースリーで投げるから、ジャンプしてとるんだよ」といいながらチョコレートやガムをばら撒いたことをそっくり真似しているのだ。

「ギブミーチョコレート」という曲名からして、この故事を思わせるが、2016年、本当にアメリカで「進駐軍煽り」をやってしまったのだ。

この一事をとっても、BABYMETALが1945年の焼け跡からスタートした、日米文化交流史、戦後歌謡史、サブカルチャー史を意識していることがわかる。

このあと、シカゴ(IL)、サマーセット(WI)のNorthern Invasionと続いてこの煽りが披露されたが、6月のヨーロッパツアーでは封印され、以降行われていない。

戦後の進駐軍を皮肉ったのが変に誤解されると反米かと思われるので、ちょっとだけ冗談でやってみただけにとどめたのだろう。

だから、デトロイトはBABYMETALにとって、歴史的な思い出の場所なのである。

たまたまデトロイトでトランジットに時間ができただけなのに、このこじつけによって、わざわざタクシーに乗って、行ってきましたよ、The Filmore。

アメリカの自動車産業が縮小しているので、デトロイトの市街地は空き地が目立ち、すさんだ感じはある。残っている建物は老朽化しており、外壁がレンガ風だったりする。街中にはディズニーシーのタワーマンションそっくりのビルもあった。

The Filmoreはタイガースの本拠地Comericaスタジアムの対面にあり、しかもとなりはデトロイト観光名所のひとつFOXシアターである。

The Filmoreも古風な建物で、今日は土曜日だというのに閑散としていた。

 

ここで一年前にBABYMETALがやったんだよなあ。それ見て、戦後に進駐軍に群がった子どもだった老社長に話したら、「そのとおりだった」と言って泣かれたのだったな。

タクシーを待たせておき、写真を何枚か撮って、そのまま空港へ戻った。

今頃、BABYMETALはノースカロライナのローリーで、日本時間午前9時過ぎには3回目のライブですね。顔笑れBABYMETAL!