前回の続きです。
今週末にⅠBを受ける人に注意して欲しい点を付け加えます。

既にご存じの方も多いでしょうが、今年のⅠAの教養論文で若干気になる傾向変化がありました。
以下の2点です。

1 資料が5点に増えた

2 問題文に「都が実施している施策に言及した上で」が加わった。


1について

これまで資料は通常3点、多くても4点でした。
今回は、グラフが3点、かなり長い新聞記事が2点というのは、明らかに多い印象です。
本番、慌てた受験生が多かったことと思います。

出題者の意図はおそらくこうです。
そもそも資料型問題を出すようになったのは、現場思考力を試すためです。
しかし、この方式もすっかり定着し、受験生も合理的対処方法を確立して慣れてしまった。
私も塾で答案添削をしていて、みなさん要領よくまとめられる人が年々増えています。
本番の答案もドングリの背比べで評価しにくいでしょう。

そこで、ハードルを上げるとすれば、
出題テーマを難しくするか、資料の情報量を増やすか、いずれかです。
ところが、テーマを難しくすると、大半の受験生が対応できずに、
全体のレベルががた落ちしてしまいます。
そこで資料を増やす方を選んだのだと思います。
資料が増えても、「読む・考える・書く」スピードが速い人は対処できます。
深く考えると言うよりも、事務処理能力で決まるような問題になっています。

では、これはⅠBの今年の試験にも及ぶでしょうか。
ⅠAの試験もⅠBと同じ1時間半なので、ⅠBでも資料が増える可能性があります。
ですが、従来からⅠAはⅠBより資料が多い傾向にあったので、
ⅠBが急にⅠA並になることはないと思います。

それでも、事前に心構えをしましょう。
本番で資料が多かったとき、パニックにならないことです。
今回のⅠAの問題も、資料はそんなに複雑なものではありません。
ただ、2~5の資料がいずれも高齢者介護に関する資料なのに対して、
1のみ待機児童に関する新聞記事を取り上げている点が厄介なくらいです。

高齢者介護の問題を中心に据えつつ、待機児童問題をどう絡ませるかで悩んだ人が多かったでしょう。
そこで時間が足りなくなった受験生、あるいはそれを恐れて資料1を無視した受験生が多かったと推測されます。
まさにそこが出題側の狙いですから、
①時間厳守で必ず1000字を突破すること
②資料1に少しでも触れること
が必須です。

良い内容を書くことよりも、最低限、指示を守れているか、途中で終わっていないか、
を優先しましょう。


2について

問題文は以下の通りでした。

(1)別添の資料から、東京を福祉先進都市とするために、あなたが重要だと考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
(2)(1)で述べたことに対して、都は具体的にどのような取組を進めるべきか、都が実施している施策に言及した上で、あなたの考えを述べよ。



「都が実施している施策に言及した上で」という部分が、読み落としてはならない点です。
受験生は「東京都長期ビジョン」等を読んでいますから、
だれもが都の政策については知っているでしょう。
ただ、自分はしっかり問題文に応えているという姿勢を示すため、書き方に注意しましょう。

オーソドックスな書き方の例は、以下のようになります。

「第1に、○○の取り組みを進めるべきである。
この点、都は、△△を実施している。
今後は、この事業を推進するとともに、
さらに××も導入すべきと考える。」


「都が実施している施策に言及した上で」とあるので、
都の政策紹介だけで終わると良くないです。
そのあとで必ず「+α」の提案を書くべきです。

これは今まで喜治塾で指導してきたとおりなので、塾生さんは焦らなくても大丈夫です。

では、ご健闘をお祈りします!