福島旅行記7 大堀相馬焼の窯元を訪ねる | 晴れのち曇り時々Ameブロ

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晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼明月窯の花器

きっかけは・・・
わたくしが相馬焼の存在を知ったのは、皮肉なことにあの東日本大震災、東北各地の伝統工芸品が様々な場所で紹介され、その中のひとつに相馬焼がありました。
新緑をイメージするような鮮やかな緑と青ひび、勇壮な走り駒の絵柄、そして何よりも職人の技「二重焼」にひと目惚れをしてしまいました。
しかしながら、拠点でもあった浪江町は、原発事故により警戒区域となり、20以上の窯元は遠方への避難を余儀なくされ、文字通り幻の名品となってしまったのです。
ところが、最近になって幾つかの窯元により組合が立ち上げられ、二本松市にある仮設の窯で活動を再開しているとの情報を聞きつけたものですから、さっそく訪ねてみることにしました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-東北本線安達駅

訪れたのは、二本松駅の一つ先にある安達駅という小さな駅。
市郊外には、浪江町から避難してきた人たちの仮設住宅も多く、その中に相馬焼の職人さんたちもいたようです。
駅前には、電車の到着に合わせてタクシーも常駐していたのですが、時間もあったことから片道3キロの道のりを景色を眺めながら歩いてみることにしました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼二本松工房

のんびりとした田園風景の中を歩くこと約30分、ようやく着きました。(^_^;)
帰りのことを考えると、やっぱりタクシーを利用したほうがよかったかも?
見ての通り仮設ではありますが、観光バスも数台置けそうな広い駐車場と、仮設の窯と作業場、体験用の教室に直売所など、予想していたよりも立派なものでした。

晴れのち曇り時々Ameブロ-大堀相馬焼

さっそく直売所の中に入ってみると・・・
思っていた以上に広く、窯元ごとに陳列棚が区分けされていることから、其々の個性というのを視覚的に楽しむことができました。
これでしたら、大型バス1台位の観光客は優に受け入れられそうです。
ということで、目に留まった作品を幾つか紹介させてもらいます。

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼春山窯の酒盃

まずは、人気の酒盃2点。
こちらは、春山窯さんのものですね。
酒盃やぐい呑は、気軽に集めやすいことから収集家には人気があるようです。

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼春山窯の茶器セット

ご贈答には、こちらの茶器セットもお薦めだと思いました。
春山窯の作風は、素朴でシンプル、長く使って良さが出てくる感じです。

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼半谷窯のコーヒーカップ

個人的に気に入ったのは、半谷窯さんの器。
椿をはじめ、花の絵柄がとっても綺麗な窯元でした。
とくに女性にはお薦めです。

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼吉峰窯のビアマグ

上の写真、ビアマグ3点は吉峰窯さんの作品。
炎に拘った、窯元ならではの作風です。

晴れのち曇り時々Ameブロ-フクロウの花器(相馬焼)

このフクロウさん・・・どこの窯元でしょうか?(笑
一点ものなので、欲しい方はお早めに!

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼松永窯の作品

こんな可愛らしいお地蔵さんも見かけました。
作ったのは、松永窯さんのようです。

さて、ここのところ色々と頑張ったので、支援と自分へのご褒美を兼ねて何か買って帰ることにしましょう♪
基本的に、いつも自分に対してのご褒美は、買い物をするか市内の温泉会館へ行くことぐらいだったりして。(笑
今回は、せっかくここまで来たので、素敵な抹茶碗を探してみることにしました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼小野田窯の抹茶碗

目に留まったのが、小野田窯さんの抹茶碗、素晴らしい作品だとは思いませんか?
典型的な相馬焼の特徴を兼ね備えながら、細部に至るまでかなり拘った作りになっていました。
作者の頑固な人柄が見て取れます。
欲しかったのですが、ちょっと値段が・・・(^_^;)

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼俊峰窯の器

そこで、しばらく店内を物色していると、ビビッ!と来たのがありました。
上の写真の真ん中に見える、桐箱にのったあの白い抹茶碗です。

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼俊峰窯の抹茶碗

これ、化粧土というんですよね。
基本白地なのですが、全体に薄っすらと青味を帯びていて、微かにピンクのポッポも見て取れます。
化粧土と美しい貫入模様のコラボ、これは良いものだなと思いました。
何よりも、色形のバランスの良さ!
抹茶の色が凄く映えると思います。
俊峰窯の志賀先生、この抹茶碗はわたくしが手に入れましたので。(笑

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼休閑窯の湯呑み

さらに、今回はもうひとつ。
使いやすい湯呑みが欲しかったので、こちらの花柄二十焼きのものを購入。
典型的な相馬焼の技法を使った湯呑みを選んでみました。
イイでしょ!

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼休閑窯の湯呑み

内底には、ちゃんと走り駒も描かれていました。
この湯呑み、元祖休閑窯さんの陳列棚で見つけました。
ちょっとピンクをあしらった透かし彫りの花柄と、全体的に落ち着いたトーンがとても素敵です。
特徴的なハートの透かしは、桜の花びらをモチーフにしているんですね。
もしかして、この作品をつくったのは、店番をしていた女性の方でしょうか?
会計をしてもらっている時に、ふとそんな気がしたものですから。(^_^)

晴れのち曇り時々Ameブロ-相馬焼二本松工房の窯

今回は、新しい窯も見せてもらうことにしました。
仮設にしては、なかなか立派な窯が二つも。
外見は無骨ですが、内側はしっかりとした煉瓦造り。
ちょうど訪れた時は、絵皿の窯出しが行われたすぐ後で、青ひびの入る貫入音は、まるでクラシック音楽でも聴いているよう♪
美しく上品な響きが、部屋全体を包み込んでいました。

今回、相馬焼の窯元に訪れて感じたこと。
ひとことで相馬焼といっても、そこには20以上の窯元があり、基本を守りながらも其々に趣が異なり、人柄の違いまでも見て取ることができるということでした。
本当に、来てよかったです。
ただ、今展示されているものは、殆どが震災前に作られた在庫のよう。
貴重なものなので、手に入れたい方はお早めに!
もちろん、新しい二本松の窯でも、日々名品が生まれています。
飯坂温泉や土湯温泉をはじめ、近隣の温泉地に来られた際には、ぜひ是非気軽にお立ち寄りください。

晴れのち曇り時々Ameブロ-道の駅「安達」

ちょうど昼時になっていたので、窯元から徒歩で7~8分の場所にある道の駅安達へ行ってみることにしました。
「道の駅安達」は、国道4号福島南バイパス沿いにあり、地元特産品を販売する売店やフードコートなどが揃っています。

晴れのち曇り時々Ameブロ-道の駅「安達」

特色としては、地元野菜が格安の値段で売られていること。
中には、一束100円のものとかも多く見かけました。
このカボチャは、ひとつ250円~300円といったところです。

晴れのち曇り時々Ameブロ-伊太利庵のナポリピザ

そうそう、お昼を食べに来たので、今回はフードコートにある伊太利庵で、ナポリピザを頼んでみることにしました。
サッパリしていて、おやつ代わりに食べるという感じです。
ラーメンや軽食もあるようなので、帰りに立ち寄ってみるのもよいかもしれません。


☆ 旅行会社様へ

現在、二本松市内にある相馬焼の工房では、展示即売はもちろん陶芸教室も行っているようです。
東北方面に行かれる際には、ぜひお立ち寄りください。
国道4号福島南バイパスを二本松市渋川で降りると約1分程で着きます。
目安は、工房のすぐ目の前に「東北江南」という比較的大きな会社がありますので、ナビ等でそこを目指して来てもらえればと思います。
工房までは、二車線の広い道なので、大型バスでも入れます。

○ 問合せ先
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【陶芸の杜 おおぼり二本松工房】
住所:福島県二本松市小沢字原115-25
電話:0243-24-8812
営業時間:10:00~16:00 冬季期間:11:00~15:00
定休日:火曜日と年末年始
※陶芸教室は要予約
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-大堀相馬焼の将来を考える-

今回初めて、原発事故から避難して来た人たちとお会いすることができたのですが、正直なかなか細かいことまでは聞くことができませんでした。
そこで、言葉ではなく心の声を読み取ってみると・・・
皆さん帰りたいと言っていますが、どうするんですか?
事故を起こした当事者や、原発を推進してきた人たちは、「補償をする」とか「除染をする」しか言えないと思いますので、あえてわたくしが憎まれ役を買い客観的な話を幾つかさせて貰います。
今後、大堀相馬焼を存続していくにあたり、選択筋というのは2つしかありません。
何十年か後に浪江町に帰り、そこでまた再興をするか、もしくは現在仮設の窯がある二本松市に根を下ろすかのどちらかです。
最初の選択筋だと、いつ帰れるか分かりませんし、もし帰れてもそこの土が使えるかどうかも分からないので、正直なところ現実的ではありません。
わたくしは、できれば後者をお薦めします。

二本松市は、陶芸をやるには申し分の無い土地ですし、仮設の窯がある今の場所は工業団地の中とはいえ、立地的には悪くないと思います。
何よりも、二本松市を拠点にするということは、観光物産を通して周辺地域との連携がとれ、将来的な可能性が広がるメリットがあるということ。
福島県というと、浜通り・中通り・会津地方という主に3つのエリアに区分されますが、観光の要といえば真っ先に思い浮かぶのが会津ですよね。
しかしながら、中通り沿いにも飯坂をはじめ良質の温泉地が幾つも存在しますので、もし相馬焼が二本松の地に根を下ろすということになれば、観光に於いても相当な強みになることは間違えありません。
今まで、菊人形祭り以外目玉の無かった二本松市も、大きな財産を譲り受けることになり、“陶芸の里”として町の活性化を図ることも可能になるはずです。
それどころか、風評被害に悩む福島県全体の観光復興への切り札になるということも十分に考えられます。
あまり気付かれてませんが、この方々はこれから福島が復興していくにあたり、実はとても必要とされている人たちだったりするのですよ。

あくまでも、本人たちの意向を優先してという形ではありますが、折を見て二本松市からも積極的に話をしてみてはいかがでしょうか?
なかなか、本人たちからは言い出せないと思いますので。
もし組合の同意が得られ、二本松に根を下ろすということになれば、遠くに避難している職人さんたちも、何らかの優遇措置を取り呼び寄せるということも必要ですし、仮設ではなく将来を通して使える施設(共同窯)も必要になってくることでしょう。
復興予算は、本来そういうところに使われるべきものではないのでしょうか?
大変な事故を起こしてしまったのですから、それぐらいは出来ますよね!
このままだと、徐々に先細りしてしまい、後継者もなく仕舞いには存続できなくなるということも懸念されます。
何よりも、職人さんたちは皆一緒にいたほうがいいですよ。(^_^)

実際に、こういう状態になってしまうと、事故を起こした当事者や関係者はお決まりのセリフしか言えなくなってしまいますし、周りでサポートしている人たちも、どうしたらよいのか分からないことから妙に遠慮がちになってしまうし、ご本人たちもこれ以上周りに迷惑を掛けられないと何も言い出せなくなってしまうのが現状。
誰かが憎まれ役を買ってでも、もっと具体的に将来の話をしていかないと、江戸の昔から続く日本有数の優れた伝統技術が途絶えてしまうことにもなりかねません。
今回は、二本松市にその役を買ってもらうことになりますが、浪江町の首長さんとも話をして、存続のためにより堅実的な議論を重ねていったほうが良いと思います。
「全国に散ってしまった職人さんたちの帰る場所をつくる」
大切なのは、特定の場所に帰るのではなく、仲間たちともう一度仕事ができる場所をつくるということです。
過去を振り返るというのはとても大切なこと、しかしながら基本は未来を向いていたほうが良いと思います。

晴れのち曇り時々Ameブロ-二本松市内の踏み切りにて



【関連リンク】
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大堀相馬焼共同組合
道の駅「安達」
岳温泉観光協会
二本松市観光協会
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