岩手旅行記3 平泉フォト散歩 | 晴れのち曇り時々Ameブロ

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突然ですが、皆様は旅先で撮ったスナップ写真の出来に、何かしらの不満を感じていませんか?
とくに感じていない方はよいのですが、少しでも不満を感じている方のために、今回の散策は「写真」をテーマにして、構図を考えながら皆さんと世界文化遺産『平泉』を歩いてみたいと思います
もちろん、私自身もプロや地元写真家の方々の腕前には遠く及びませんが、少なくとも一般の旅行者よりかは心得ていますので、このテーマにさせてもらいました。
今までの散策記事と比較すると、明らかに手を抜いているようにも見えますが、別に手を抜いたわけではありません。(笑
これは、あくまでもお役立ち情報です。(謎

それでは、これから順を追って写真を見ながら解説していきますが、わたくしが歴史的建造物を撮る際には、普段から以下の4点を注意しながら撮影しています。
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① 建物が一番ハンサムに見える角度を探す
② 広い視野で細かく観察する
③ 傾きと日の丸構図に注意をする
④ マナーを守る
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他にも、露出補正等構図とは別の細かいところにも注意を払っていますが、今回はあくまでも“初心者向け”ということで、構図を中心にお話をしたいと思います。m(__)m

晴れのち曇り時々Ameブロ-大泉ヶ池と池中立岩(毛越寺)

まずは1枚目、こちらの写真は平泉駅に程近い毛越寺境内にある有名な大泉ヶ池と池中立岩です。
一般の方は、こんな感じに撮ってしまうことも多いのではないでしょうか?
構図に傾きはなく、岩がハンサムに見える角度としては悪くないのですが、これだと明らかに日の丸構図になっています。
日の丸構図というのは、日本の国旗をイメージしたもので、被写体を構図の中心に配置してしまうこと。
風景や花を撮る写真家の方々は、必ずこの構図を避けているはずです。
稀に日の丸構図が良い場合もありますが、それが見極められれば、もう構図に於いては上級者と言えます。

晴れのち曇り時々Ameブロ-大泉ヶ池と池中立岩(毛越寺)

そこで、わたくしが撮ったのはこの写真です。
岩がハンサムに見える角度で、日の丸構図を外してみました。
そして、広い視野で細かく観察した結果、氷の張った大泉ヶ池を主役にし、さらには表面の美しい曲線模様を強調してみると、こんな感じの写真になります。
上級テクニックとしては、曲線模様に合わせ構図を少しだけ傾けてみることです。
本来、風景写真に傾きは厳禁なのですが、あえて傾けることで氷表面の曲線模様をさらに強調することができました。
望遠側では、殆ど使うことがないこの技、広角側ではボチボチ使うこともあります。

晴れのち曇り時々Ameブロ-大泉ヶ池と池中立岩(毛越寺)

上の写真も池中立岩なのですが、日の丸構図気味ではあるものの、手前の出島をアクセントにすることで、写真自体はそれほど悪くないと思います。
しかしながら、さらに芸術的な写真にするため、次のような構図にしてみました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-大泉ヶ池と池中立岩(毛越寺)

広い視野で細かく観察するという視点で、雪に着目して主役にしてみると、このような写真になりました。
上級テクニックとしては、手前の出島と池中立岩、奥に見える中島を左曲がりの曲線を描くように配置することで、芸術的な作品に仕上げることができます。
このテクニックは、蓮池でハスの花を撮る際にもよく使う技です。

晴れのち曇り時々Ameブロ-毛越寺本堂

次は、毛越寺の本堂を撮ってみることにしました。
どこの寺院もそうなのですが、本堂というのはカメラマン泣かせのことが多いです。
庭に対して、建物が大きすぎるのです。
建物全体を構図に入れようとすると、広角側になってしまい重厚感が得られません。
そこで、こんなふうに撮ってみました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-毛越寺本堂

本堂の重厚感を出すために、望遠を使いながら背景にしてしまう。
主役は手前の常香炉、たまたま旅行者が良いタイミングで入ってきたので、配置に注意しながらシャッターを切ってみました。
見事に、観光用パンフレットに掲載されているような写真に仕上がりました。

ここで、少し人の写りこみ「肖像権」に関して、わたくしの個人的な見解をお話させてもらいます。
一般の方の肖像権というのは、本人に帰属するものであって、撮られた本人以外が苦情を言うものでも無く、顔がハッキリ写っていなければ問題はありません。
しかしながら、観光地などではどうしても人の写りこみは避けられませんので、風景写真として撮られたものであれば、それほど気にする必要は無いと思います。

注意する点は、撮った写真が風景写真レベルなのか、人物写真レベルなのかということが重要になります。
ありがちなのが、他人の子供が遊んでいる姿が印象的に映り、思わずシャッターを切ったら素晴らしい作品になってしまったという例。
そういう場合は、近くに保護者が居ますので、撮らせてもらったということを伝えて、必ず掲載の許可を得るようにしましょう。
わたくしも、過去に何度かそういう場面に遭遇していますが、自分の素性を明らかにしてお願いをすれば、大体OKと言ってくれました。

※上記は、一般常識を考慮にいれながらの個人的な見解ですので、肖像権の取り扱いについては、あくまでも個々の判断で責任を持ってお願いします。

晴れのち曇り時々Ameブロ-毛越寺本堂

ちょっとお堅い話になってしまったので、遊び心のある写真を1枚。
広い視野で細かく観察すると、こんな写真も撮れたりします。(^_^)

晴れのち曇り時々Ameブロ-毛越寺常行堂

続いては、毛越寺の常行堂です。
パンフレット等でもよく見かける構図、一見すると日の丸構図と思われがちですが、実は日の丸ではありません。
この場合は、堂内への入口が建物の中心ですから、それを僅かに下にずらしてやることで日の丸構図は避けられます。

構図上は問題ありませんが、見ての通り工事中でした。
写真を撮るにあたっては、提灯も邪魔な存在になっています。
こういう場合は、記念撮影だけで諦めるしかないのですが、広い視野で細かく観察するという視点で周囲を見渡してみると・・・

晴れのち曇り時々Ameブロ-毛越寺常行堂とお地蔵様

すぐ近くに、こんな方が鎮座されていました。
ということで、常行堂を背景にちょっと温かみのある雰囲気の写真を1枚。
因みに、こちらのお地蔵様は、餓鬼道の能化(仏菩薩)で、地蔵十益・地蔵二十八益というご利益があるそうです。

その後、毛越寺を後にして中尊寺へ向かったのですが、途中に金鶏山という名所を見つけたので立ち寄ってみることにしました。
毛越寺から15分も歩くと、金鶏山の頂上に到着します。
金鶏山は、毛越寺と中尊寺の中間に位置する標高98.6mの山、黄金の鶏を埋蔵したという伝説が残り、頂上には経塚を見ることができます。

晴れのち曇り時々Ameブロ-金鶏山経塚

百聞は一見にしかず、その経塚の写真がこちらです。
構図としては、悪くないです。
むしろ、観光パンフレットに掲載する時は、こういう分かりやすい写真のほうが良いと思われます。
ただ、作品としては物足りないので、こんな感じの構図にしてみることにしました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-金鶏山経塚

広い視野で細かく観察すると、手前にある雪の模様が気になったので、それを強調したら冬らしい作品に仕上がりました。
構図を横から縦に変えていますが、基本的に横位置は「広がりや安定」を表現するのに対して、縦位置は「奥行きや高さ」を表現する際に使うことが多いです。

晴れのち曇り時々Ameブロ-金鶏山からの眺め

次は、頂上から下界に向けてシャッターを切った1枚です。
木々がうっそうとしていて、これでは何がなんだかわかりませんよね。(^_^;)
良い作品の多くは、構図を切り詰めてシンプルに撮られているものが多いことから、今回は望遠を使って寄せることで、中心部分を切り取ってみました。
それが、下の写真になります。

晴れのち曇り時々Ameブロ-金鶏山からの眺め

冬枯れの風景、木々の隙間から望む平泉の街並みを撮影することができました。
ここでワンポイント・・・山頂から下界の街並みを撮った際、「何だか迫力のない、遠い景色の写真だな~」と感じたことはありませんか?
人間というのは、展望の開けた場所に立つと広く撮りたくなり、どうしても広角側を使いがちになりますが、望遠を使って少し街並みを寄せることで、逆に高度感が得られ迫力のある写真に仕上がります。
山岳写真で使うテクニックなのですが、キーワードは“寄せて上げる”ですかね?

それでは、これからお待ちかねの中尊寺に入りたいと思います。
まずは、カメラマン泣かせの本堂からです。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺本堂

何の気なしに撮ってしまうと、こんな写真になります。
そこで、毛越寺の時と同じように、本堂を背景にして撮ってみることにしました。
周囲を見渡せば、本堂の前に手洗い場を見つけたので、それを主役にしてみると・・・

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺本堂

観光ガイドに掲載されているような雰囲気のある写真になりました。
観光パンフや旅行雑誌等に掲載されている写真は、プロ写真家の方々が撮られているので、しっかり頭に叩き込む価値は十分ありです。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺薬師堂

そして、次に向かったのは、本堂の近くにある薬師堂です。
正面から何の気なしに撮ってしまうと、平凡な写真になってしまいますが、広い視野で細かく周囲を観察すると、下のような写真を撮ることができます。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺薬師堂

雪道と幟、背景の杉林を入れることで、冬の東北らしい1枚を撮ることができました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺峰薬師堂

さらに峰薬師堂なのですが、何の気なしに正面から撮るとこんな感じです。
しかしながら、上の薬師堂と同じ要領で構図を組み立ててみると・・・

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺峰薬師堂

こちらも、東北らしい雰囲気のある写真に仕上がりました。
ポイントは、お堂の前にある池に目をつけること!

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺鐘楼

次の写真は、鐘楼(梵鐘)です。
例によって、正面から撮るとこんな構図になりますが、建物が一番ハンサムに見える角度を探した上で、経塚(金鶏山)のような要領で撮ると下の写真になりました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺鐘楼

手前に見える雪の模様にポイントを置くことで、こちらも冬の東北らしい「侘び寂び」を表現することができました。

そして、いよいよ金色堂です。
当然ながら、堂内は撮影禁止ですので、覆堂を定番の構図で撮ってみました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺金色堂

普通の立ち位置から撮ると、こんな写真になります。
さすがに金色堂ともなると、観光客もかなり多いですね。
どうしても、静かな雰囲気を撮りたかったので、観光客が途切れる瞬間をひたすら待ってみることにしました。
風景写真は一期一会、シャッターチャンスを狙うため、場合によっては何時間も待つこともあります。
これが、風景写真が「待ちの写真」と言われる所以です。
そこで、30分程待ってみると・・・

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺金色堂

人が途切れる瞬間が数秒間ありました。
チャンスは一瞬ですので、前もって構図や露出を決めておくと良いでしょう。
柵の外側から撮っているように見えますが、手だけを出して液晶で確認しながら撮りました。

ここで、少し撮影する際のマナーについてお話したいと思います。
今回は、平泉ということで、観光地でのマナーについて幾つか挙げてみました。
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① 撮影禁止の場所では、絶対に撮ってはいけない
② 柵の中に、むやみに入ってはいけない
③ 他の観光客の邪魔にならないように撮影する
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当たり前のことですが、お恥ずかしながらカメラマンさんの中には、守っていない方も少なからずいました。
わたくしの持論の中に、「マナーを守る=上達への早道」というのがあります。
わかり易く言うと、マナーを守れるぐらい「気持ちに余裕を持ちましょう!」ということ。
自己中心的になったり、他の観光客にイライラしたり迷惑を掛けながら撮った写真に素晴らしい作品はありません。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺境内

こちらは、金色堂の奥にある小さな祠です。
正面から撮るとこんな感じですが、薬師堂の時と似た構図にしてみると・・・

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺境内

木の根っこと雪の小道、屋根に薄っすらと積もった雪が北国らしい風情を醸し出してくれました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺旧覆堂

次に紹介するのは、こちらの金色堂覆堂(旧覆堂)です。
現在、金色堂を覆っている新覆堂が建築されたのが昭和38年のこと、こちらはそれ以前まで金色堂を守っていた建物です。
正面から撮ると、後ろにスペースが無いので、こんな感じになってしまいます。
そこで、この建物が一番ハンサムに見える角度を探してみると、下のような写真になりました。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺旧覆堂

普段は不釣合いなアスファルトも、雪が積もるとそれなりに風情が出てきますよね。
道端に見えるのは、松尾芭蕉の銅像です。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺大長寿院

こちらは大長寿院で、正面から撮ると上の写真のように平凡な感じになります。
ちょっと微妙ですよね。(^_^;)

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺大長寿院

表門から撮ると、本堂はこんなふうに奥に見えます。
そこで、ちょっと遊び心を加えて構図を切り詰めていくと・・・

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺大長寿院

即席の木製フォトフレームが完成しました!(笑
京都などで、座敷から日本庭園を撮影した写真の中に、これに近い構図をよく見かけるかと思います。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺弁財天堂

そして、今回最後に訪れた建物が、こちらの弁財天堂です。
正面から普通に撮ると、平凡な写真になってしまいました。
しかしながら、写真に於いては正面が必ずしも正面とは限りません。
そこで、わたくしが冒頭で記した撮影時の注意点をもう一度復習してみましょう。
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① 建物が一番ハンサムに見える角度を探す
② 広い視野で細かく観察する
③ 傾きと日の丸構図に注意をする
④ マナーを守る
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その4点を考えながら撮った写真が下になります。

晴れのち曇り時々Ameブロ-中尊寺弁財天堂

実はこの建物、写真に於いては正面が裏側で裏側が正面だったのです。
あえて付け加えると、どうしてもこういう場面に出くわすと、ついつい池に近寄って撮りたくなってしまいますが、マナーを守り柵の中に入らなかったことが功を奏し、手前の雪景色も含めより東北らしい作品に仕上がりました。

さて、ここまで写真を順に見て来ましたが、皆さん何か気付いた点はありませんか?
何の気なしに正面から撮った写真には、表情がありません。
「どこを切っても金太郎」、どれも同じような建物に見えてしまいます。
しかしながら、上記の注意点を考慮に入れながら撮った写真には、其々に表情があり趣が感じられますよね。
ここで分かったことは、寺院などの歴史的建造物は、庭園なども含め周りの状況と一体になって造られているということです。

もし、今回の記事を見て構図について少しでも理解したのであれば、必ず皆さんの写真力もステップアップしているはずです。
本当の東北らしさを感じるには、雪の積もる今の時期が一番良いと思いますので、是非コンパクトデジカメ片手に出掛けてみてください。
そこには、世界遺産の素晴らしい景色が待っていますよ。(^_^)

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-撮影データ-
Camera: キャノンパワーショットG11
露出: 絞り優先オート
絞り値: 広角側 F3.5~F4 望遠側 F5~F5.6
WB: オート ISO: 100
その他: 露出補正有り
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※露出補正が付いていないカメラやプログラムモードで撮影した場合は、後で画像ソフトを使い明暗を調整すれば良いと思います。

晴れのち曇り時々Ameブロ-東北本線一ノ関駅にて


【関連リンク】
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平泉観光協会
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