たくさんの人が来ていましたョ。
亀石峠 編者 宮内卯守
むかし、宇佐美に住んでいた亀の亀雄は、山を越えた田原野に
住んでいた、同じ亀の亀子ととても仲が良くなった。
亀雄は、毎日のように宇佐美の峠を越えて亀子に会いに行き、
楽しい時間を過ごした。
帰る時刻が近づき、後ろ髪をひかれる思いで田原野をあとにした
亀雄は、連日の疲れと、今までにない強い日射しのため、峠を登り
きったところで、悲しいことにとうとう力がつきて、ばったりと倒れて
しまった。
眼の下になつかしい我が家が見える。峠を越えたところだ。
亀雄は最後の力をふりしぼって頭をやっとあげ、
宇佐美をじっとみつめたまま息を引きとってしまった。
家に帰りたいという亀雄の執念が、そのままの姿で石となってしまった。
現在、亀石峠に亀石と呼ばれて、ちょうど、亀が首をもちあげ宇佐美を
見ている形の石がある。
こんな所から、悲しい物語が誕生したのであろう。
観光客の人も地元の人もこの道を通ると思いますが、悲しい亀の亀雄の
物語を思い出し、興味のある方は亀石を探してみてください。
宇佐美の方をちゃんと見ていますョ。
お願いします