日本もブータンのようになろう? ブータン、ネパール、シッキム、選ぶべき3つの未来 | 堕ちる日本

堕ちる日本

民主党政権を早期解体に追い込み、腐敗メディアを追及するblog

先日のブータン国王夫妻の来日により、日本国内はプチブータンブームだそうで。それにしても絵になるお二人ですね。日本人から見た場合、親近感が半端ない。特に国王は日本人そっくりです。調べてみたところ、どうやら人種的にはブータンは男系が北部のチベット族であり、女系は南部のヒンドゥー系とのこと。なるほど、お二人を見るとそのとおりです。

さて、その注目を集めているブータンですが、2005年に行われた国内調査では、なんと国民の96%が「自分は幸せである」と回答したそうです。ちなみに日本で同様な調査を行うと10%程度しか「幸せである」と答える人はいないらしい。

世界的に国力や豊かさを評価する指標として、国民総生産つまりGDPという値がよく使われます。ブータンの場合、このGDPという物差しで見ると、所謂最貧国の一つに当てはまります。しかし、国民の意識としての幸福度では、豊かであるはずの先進諸国を遥かに凌駕している。これがいまブータンが注目されている理由でしょう。特に日本のように疲れている国から見るとね。

こういう事例が話題になると、例によって早速脳内花畑な連中が「ブータン最高!日本もブータンみたいにスローライフでいくべき!」とか言い出すわけですが、当然ながら事はそんなに単純じゃありません。よく似た話だと、おなじみの「北欧諸国の社会保障制度に比べると日本はなんたらかんたら!」とかいうのがありますね。そこで、まず一番最初に考えなければならないのが国家規模の問題です。

ブータンはチベットとインドの狭間、ヒマラヤ山脈にあります。人口は70万、面積は九州よりやや小さい程度です。

この時点ですでに溜息ついて解散したくなりますが。ブータンみたいな生活にいくら憧れても日本の人口を考えたら絶対無理な話。

まあ、そう気を落とさずに。どうせならもう少し観察を続けましょう。

でも、ブータン程度の規模の小国って世界中にあるはず。そして、その多くが貧困に喘いでいたり、紛争などの問題を抱えています。当然そういう国々では幸福度も低いでしょう。ブータンにはそういう問題はないのでしょうか。

この疑問にこそブータンの真の姿、そして国家というものの本質的な意義が隠れています。

ブータンの国家としての特徴として特筆すべきな点は以下の5つ。

1、中国とインドという大国に挟まれ、それ故にかろうじて独立が保たれてきたこと。
2、わずかな農業以外に産業と呼べるものがほとんどない。
3、実はヒマラヤの立地を利用したエネルギー輸出国。
4、ほぼ完全な仏教による単一宗教、そして移民を排除した単一民族(一応)。
5、王政による強力な独裁体制。

まず、1について。簡単に言うとブータンはインドが英領だったころからインドの保護国です。植民地時代の経緯としては、英国相手に戦い、屈服はしましたが支配はほぼ受けず。イギリスとしてはチベットインド間の交易のために押さえる必要がある土地でしたが、わざわざ本気で統治までするほどの価値はなかったということでしょうか。現在でも外交はインドの意思が優先しますし、空軍はインド軍に頼っています。資金的にもインドの援助は重要です。対中国では、歴史的にはブータンとチベットは常に戦争をしてきた間柄であり、中国との関係はその延長線上にあります。これがブータンの国家としての基本的な立ち位置です。

2について。食料自給率100%。国民の9割が農業従事者だそうです。そして実質的に個人に職業選択の自由はありません。更に国内に大規模な工業がないため、農村人口の都市部への流入などが起こりません。しかしながら、実は農業生産効率自体は決して高いものではなく、そう長くはいまのペースでの人口増加に耐えられないでしょう。つまりこのままだと現在の幸福度が高いブータンはいつまでも続かないということです。

3について。水力発電の電気をインドに売っています。なんとブータンは貿易黒字国なんです。近年のブータンの生活水準の向上にはこれが一番貢献しています。ようするに今のブータンはある意味産油国のバブルと同様であるわけです。

4について。さて、ここからが本題。ブータンの南部には19世紀末ごろから大量のネパール系労働者が流入してきました。彼らは言語も宗教も北部ブータン人とは異なります。これに対して戦後ブータン政府が行った政策は、簡単に言えばネパール系住民の追放です。特に80年代末からは徹底した北部ブータン文化の標準化政策を押し進め、南部のネパール系移民は弾圧されネパール領内へと逃れ難民化しました。その数は10万人以上とみられています。今回の来日でも印象的だった日本の着物に似たブータンの民族衣装も、全ての国民に着用が義務づけられているものです。ブータンは人為的にここ最近になって単一宗教(仏教)単一民族(実際は大きく見て2つ)を作り上げた国家なわけです。

5について。ブータン王室の歴史は意外に浅く、まだ100年ほどの歴史しかありません。しかし、国家勢力としてのブータンは17世紀初頭のチベットとの戦争にまで遡れます。1907年にブータン王国が設立されるまでの実質的な支配者は仏教徒勢力でした。また、ブータンの王政が近代的な立憲君主制に移行したのは実は極最近でして、なんと2008年のことです。ブータンの近代から現代にかけての一貫した政策は強力な王権があってこそのものだったわけです。

中国とインド(かつてはイギリス)という大国間の勢力争いを利用して一種の鎖国状態を作り出し、独自の文化と独立を保ってきた国家、それがブータンです。同様に中国とアメリカという東西の超大国の板挟みの中、米軍の駐留を許しながら完全な自立と閉鎖社会を確立している現代日本。実に興味深い類似性があります。

日本もまた戦後国民が一丸となって画一的な生活様式を追い求めてきました。ブータンの国民総農民制度が、この日本では一億総中流化だったわけです。日本はブータンのような農業国には戻れませんが、鎖国と均質性の確率、そしてそれによって得られる幸福という観点からは多いに学ぶべきものがあると思います。

日本の場合、まずは寄生虫である帰化人を含む在日朝鮮人韓国人の駆逐。更に日本人でありながら反日的な思想を持つ裏切り者の追放とそれを洗脳している煽動装置機関の破壊。そして大胆な移民抑制策と生活様式を一変してでも断行する少子化対策。自由貿易を維持しながら国内産業を強力に保護できる新しい産業構造と制度の確立。徹底した国家意識の教育改革と伝統的価値観への回帰。なによりもモラルの回復と倫理逸脱者への容赦ない厳罰の適用。こういった日本の可能性の未来の一つをブータンの成功は垣間見せてくれます。


さて、ここまではブータンだけを見た話。


日本とブータンの比較をしていくと、そこに興味深いもう2つの対象があることに気がつきます。それはブータンの隣国であるネパール。そして1975年にインドに併合されて滅びたシッキム王国です。

まずはネパール。ネパールはブータン同様インドと中国の緩衝地帯にある小国です。しかし、ネパールは小国といっても人口3000万(これは私も調べて驚いたんですが。ブータンとは比べ物にならないほど大きな国家です。そのネパールはどういう状態か。

一言で言うとネパールのおかれている状態はカオスです。一説によるとこの国は釈迦の生まれた地。古くから様々な人種と宗教が混在し内部での諍いが絶えません。ブータンのような均質性はネパールでは望めない。

ネパールの中国とインドに対する立場は一応中立です。ネパールはブータンよりも遥かに強い国家ですのでそれが可能なんです。グルカ兵も有名ですね。イギリスとの関係も独特です。

しかしその内実は薄氷を踏むような微妙なバランスの上に成り立っています。ちょっとここで説明するには複雑すぎるので概略のみ。ネパールの政治バランスは常に王党派と共産党各派の内紛で成り立っています。共産党ゲリラによる内戦は一応2006年に終結。王政は2008年に廃止されましたが、その後も共産党政権内の派閥争いは続いています。いつまた内戦状態になってもおかしくない状況。王政復古もありえます。

ネパールの現状を見ると、これはおそらく日本が近い将来突入しうる一つの未来なのかもしれません。超大国の狭間でそのどちらの国から攻められるわけでもなく内部から自滅し収拾不可能な混乱へと堕ちていく姿です。

もう一つの選択肢がシッキムです。シッキムはブータンをより小型にしたような国家でした。植民地時代からインドの保護国となる経緯もブータンによく似ています。ただ、英国の影響はブータンよりも大きかったようです。一番の違いは英国統治時代に流入したネパール系の労働者の数です。これにより、実に人口の75%が彼ら新しく居着いたネパール系となってしまいました。

戦後、英国からインドに保護が移り民主化が避けられなくなった時、少数派となった王党派は権力を維持することが出来ませんでした。混乱の末、1975年にはインド軍が介入。その後の国民投票でインドへの併合が決まりました。移民により国が消滅した端的な例です。シッキムの滅亡もまた日本の未来の姿の一つと言えるでしょう。


当然ながら、日本はこれら三国とは国家の規模も力も大きく異なります。しかしまたこの三国が南に見ている大国に比べれば、日本が保護下に置かれているアメリカという超大国の規模も桁違いに大きいのです。であるならば、日本は大国だからこの三国のような心配は無用と考えるのは浅はかではないでしょうか。アメリカの前では日本の存在はせいぜいインドから見たネパールに毛が生えた程度でしかないということです。軍事的には。

もし日本が国家運営の舵取りを誤れば、我々はいつでもネパールのような状態になりうるし、あるいはシッキムのような末路をたどるかもしれないのです。経済的に見れば日本はアメリカでも下手に手が出せない大物です。しかし、政治的には、特に今の民主党政権では、防衛力がほとんど期待できないほど脆い状態にあります。

いたずらに自由貿易を拡大し、平成の壊国などと戯れ言を振りかざして国を売り渡そうとしている政府と経済界はもちろん、ブータンの表面的な部分しか見ずに夢想的社会主義から覚めないサヨクもまた害悪です。ブータンが行ってきたことはそんな基準で計れる程単純ではない。実にしたたかな戦略の成果だと思います。その部分にこそ注目すべきです。

人気ブログランキングへ<<ブログランキング応援クリックお願いします