あったであろう東西南北
今回の貼り紙は・・・・・・
廃・・・
なんてこともなく、普通の公園です。
普通の公園には違いないのだが、トイレの中が廃墟に近いと言うか、過ぎ去りし時間に何の未練もないと言うか、ひどい目にあっているトイレ・・・・・の貼り紙です。
こんなふうに・・・
別に正直者じゃなくても見えないものは見えません。
食べたつもりで貯金はしても腹は減るもの。ないものはない。
ここは公園のトイレの個室内の壁。
かすかに残った切れ端・・・。これで何が書かれていたかを解読出来るほど、私はまだまだトイレの貼り紙のプロフェッショナルではない。あまりに情報が少なすぎる。
ここで何かしらトイレに関してのみ動くプロファイリング力を駆使しても、血液型占いのように大雑把なことしか言えない。人間が四種類に分けられるわけがなかろう。
う~ん、なんて書いてあったのだろう・・・、
「ここはトイレです、お間違いのないように!」
と書かれていなかったことだけは確かだ。
他には、先ほどの手すりのすぐ側に・・・
もうテープ跡しかない。
元に何が書かれていた貼り紙があったか、まったく手がかりなし。
朝、目が覚めるとイカダの上で、周り360度を見渡しても目に入るのは水平線のみといった状態と同じだ。
ただ残されたテープの跡から、かなり前に剥がされた感じが否めない。なのに、なのにここのトイレを管理しておられる方は新しい貼り紙を貼る気がおきなかったようだ。
よっぽど貼り紙が剥がされたのがショックだったのか?
新しく貼る気が失せるほど打ちのめされたのか?
・・・もしくはメンドイだけかもしれない。
さらに壁を見渡せば・・・
う~ん、なぜだか「現場」という言葉が浮かんでしまった。
ついでに私の中ではこのパッケージ が重なってしまった。
端四辺を抑えた赤いテープ跡が痛々しい貼り紙跡。
ここの公園には個室はここしかない。
そこの個室内の壁という壁の貼り紙がこの様。公園という誰でも使用できるトイレ故に、よほど機嫌が悪かったのか不届きな輩も中にはいる。そしてこのような、貼り紙探訪家の私にとって非常に、ひじょーに残念な仕打ちをしてくれちゃったりなんかして、んとに、もうー!。
あったのに見れないなんて、ここにあったはずなのに・・・。
貼り紙があったはずなのに紹介出来ないなんて・・・。
・ペーパードライバーの私がゴールドカード保持者という現実なんて比べ物にならないくらいもったいない。
・宝くじを買ってるのにどうせ当たらないだろうと番号も調べないでいるくらいもったいない。
・ゴキブリかと思って潰したらヘラクレスオオカブトだったというくらいもったいない。
・本は一切読まないけど、家の隣が国立図書館という境遇くらいもったいない。
・女の子にモテモテだけど、実はハードゲイっていうくらいもったいない。
・子供時代という「実は自分はどこかの王国の子供で、事情があって今の家の子として仮住まいをしているだけに違いない。よし、二十歳までの我慢だ。きっと一団が迎えに来てくれるに違いない。」と、現実から逃げ切った想像をフルスロットルにしても許される年頃に、想像力のない子に育つくらいもったいない。
・ビタミン剤を飲んでも、なんだかその後のオシッコの色を見たときにビタミンが流れて行っているみたいに思えてもったいない。
今回の厠貼り紙探訪は、跡地を巡るのみとなってしまうのか?
いくら「●●城跡地」と言われようが、ここで当時の合戦の練習の様子、もしくは「殿!おたわむれを!!」とお殿様のやんちゃぶりを想像したところでちょっと淋しい。こういうときに「思いを馳せる」っていう言葉を使うと何かしら体裁が保てるものだ。
大人としては「想像してる」という言葉より、「思いを馳せる」と声に出した方がちょびっとカッコよく見られるかもしれないぞ。
例:「あの娘の水着姿に思いを馳せる」
このまま狭い個室内で思いを馳せるだけのネバーエンディングストーリーに突入してしまうのかと思った矢先、そこには一筋の光が・・・・・
窓の明かりが・・・
そしてその下にはここのトイレで唯一の貼り紙としての生存者の姿が!!
そのとき筆者は思わず、「大丈夫ですか!?」と声が出そうになったと後に語る。
多少の怪我をしておられるようだが、ご無事のようだ。
「みんなできれいに
急ぐとも西や東・・・
たれかけな南・・・
北ながる。 」
これが虫歯菌に占領された歯なら、「もう抜くけどいいよね?」と歯医者さんに言われそうだ。
無事と言えば、無事。マシと言えば、ここのトイレ内で姿が残っているだけマシ。
マラソンで言えば、「物凄いこと時間経っちゃったけど、ゴール出来たからマシ。でもね、みんな君のおかげで後片付けが進まなくてねえ。いや、気にしなくもいいんだよ。この後で用事があった人もたくさんいたんだけどねえ、いや、いいんだよ、君がゴール出来たんだし、満足だろ?き・み・は満足なんだろう?これで?なあ、来年からは応援の方に力入れてみるのもどうだ?」状態だ(少し違うが)。
う~ん、見事と言っていいのか微妙なちぎられっぷり。この貼り紙の紙が普通のコピー用紙などの紙質ではなく、硬めのダンボール紙を使っているところに、生き残ったキーポイントがあったのかもしれない。どうやら破る不届き者の方が断念したようだ。
ちなみにここに書かれている文章だが、元旦に紹介した記事こと、
「松茸の露」
http://ameblo.jp/iyami-toilet/day-20070101.html
にある
「急ぐとも
心静かに手をそえて
外へもらすな
松茸の露 」
と同じように厠でよく使われる川柳の一句だ。
行ってしまえば厠イヤミ貼り紙の日本トラディショナル版と言った方がいいか?かといって、松尾芭蕉が詠んでるかと言えば詠んでない確率は億千万だ。
例によって、ここにあった貼り紙の欠けたピースを埋めてみれば、
「急ぐとも西や東に
たれかけな南る人が
北ながる。 」
ここの貼り紙は「南・・」の後の文がちょっと違っていそうだが、上の文がよくある一句だ。
「南る人」を「皆見る人」、「北ながる」を「汚ながる」とすれば、どれだけこの一句が東西南北という掛け言葉を織り交ぜてウィットに飛んだ名文かお分かりになられると思う。IQ180の問題だ。
こんな一句をわざわざ選んでトイレの貼り紙に書き写した、ここの人のセンス。
主にメインの利用者は子供なのに、この一句を選んだセンス。
ああ、是非とも他の貼り紙も見たかった。
「今は無き
思いを馳せる
貼り紙に 」
leo丸でした。
ところで紙のちぎられっぷりだが、トイレットペーパーがなかったわけじゃないよね?
これからも厠イヤミ百景を南てね。
●過去関連記事
↓厠(かわや)イヤミ百景も掲載されています↓
・女子マネージャー列伝 (更新予定)
・天が呼ぶ 地が呼ぶ お客様が呼ぶ!消費者言いがかり連絡会 (更新予定)
・猫烏丸OP (『オールナイト!世界の最新ホラー映画セレクション:前編』/更新済み)
「厠イヤミ百景の一景」
四国、某公園にて