前回の話
お騒がせ事件簿【異国の住人編】…その23(前編)
翌日、私のホームページ経由である問合せが来た。
部屋を借りたいと言う、画像見てほぼ決めているが、念のため内覧したいとの要望だ。
日本人だ
まさにマーフィーの法則、半年間全く決まらなかった物件が
よりによって決まった直後に、希望者がもう一人現れた
何でもう1日…たった1日だけ早く連絡くれれば
こんな事にはならなかったのに(偶然では済まされない運命を感じる)
しかし、待てよ…
不動産は基本的に早い者勝ちである
そして早いかどうかは申込書の順番だ。
実際はブッチャーの申込書はまだもらっていない
何で昨日、書くのをやめたか理由は分からないが、とりあえず今は手元に無い。
いろんな思案を巡らせて、まずブッチャーに電話した。
…留守電だったので切った。
次にYちゃんに電話した。
「入居希望者がもう1人現れた、もしその人が借りたいって言えば
ブッチャー断ってもいいかな?」
Y「それはダメです、大家さんは彼と契約すると言いました」
「まぁそうですが…」
Y「この国では、例えクチ約束でも契約は成立します」
「確かに…」
彼女は勉強家だから日本の事よく知ってる
Y「それに私、お礼をアテにしてます」
彼女はある宗教にどっぷりはまってる、働いて稼いだお金のほとんどがその宗教に流れる、30歳の女性なのに全く化粧せず着ている服は古着屋で買った激安品だ。彼女の部屋に何度か入ったが余分な家具やおしゃれなものは一切無いすごく質素な生活をしている。
にもかかわらず家賃は一度も滞納しない優等生だ
臨時収入の1万円は彼女にとってはすごく大きなものなのだ。
ブッチャーを断る事は可能だが、Yちゃんの信頼は失う
それだけは避けたい
結局、涙をのんで問合せしてくれた日本人にメールした。
「申し訳ございませんが先約があってその方と現在商談中につき
せっかくの話ではございますが、ご意向に添えません、誠に残念ですがご了承下さいませ」
相手から返事が来た。
「了解しました、そういう事なら仕方ないです、他の部屋探します」
残念だ、本当に残念だ、とてつもなく残念だ
ノドから手が出るほど欲しかった日本人の入居者を自らリリース…
…誰にも分からない強烈な心の痛みだ
●とりあえずいつ申込書持ってくるか分からないのでブッチャーに電話した。
10回呼び出し音した後「おかけになった電話をお呼びしましたがお出になりませんでした」
●30分後
10回呼び出し音した後「おかけになった電話をお呼びしましたがお繋ぎできませんでした」
●さらに30分後
即(呼び出し音なし)「おかけになった電話をお呼びしましたがお繋ぎできませんでした」
…それ以降何回掛けても同じアナウンス
もしかして逃げた?
そしてブッチャーとの連絡が途絶えた
日本人の入居希望者を失い、消えたブラジル人。
持って行き場のない怒りが、心の底からこみ上げる
最悪の結果に打ちひしがれた時、Yちゃんから連絡が来た。
…彼女はとんでもない事を言う…
そしてまた、波乱が起きた
後編に続く
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