4月19日(水)晴 『ちいさなうさぎのものがたり』

 

 灰褐色というのだろうか単色で描かれたレナード・ワイスガードの絵がとてもやわらく、かわいく、野うさぎのくりくりした目がじっとこちらを見ていて離せなくなります。子ども達もさらにうさぎが大好きになりそうな絵本です。

 野うさぎの巣穴であかちゃんが3匹生まれた。目が開いて動き出すと、母うさぎは「ようじんしなさい」と繰り返します。野うさぎには森は敵ばかり。気を許してはなりません。大きくなって独り立ちしたリトル・ラビットは畑に入ってわなにかかり、農夫に捕まります。そして子どものペットとして大事にされるが、逃げ出して野に戻り、仲間の中に入る。そうして、自分が子育てをする時がやって来る。

「そんなある日、リトル・ラビットは、牧草地のそばに巣あなをほると、だれにもみつからないようにていねいにかくしました。草をその巣にいれ、草のうえには自分のからだからぬいた やわららかくて あたたかな毛を しきつめました。

 そして、もりつぐみが夕暮れのうたをうたったとき、リトル・ラビットは、母さんになりました。牧草地のはずれにある このきもちのよい巣あなで、うまれたばかりの子どもたちに 乳をのませたのでした。」

 とても丁寧に訳されている。響きのよい、やわらかな文章が、子どもと読むときの子守歌となるでしょう。

 保塚図書館で見つけた本。『ちいさなうさぎのものがたり』アルヴィン・トレッセルト文、レナード・ワイスガード絵、安東紀子訳(ロクリン社2017年3月 、1,500円)