7月21日(木)雨 『小さな本の大きな世界』をちょっと問い直してみた…

明日22~29日まで出かけます。孫のあり君のおといねっぷ美術工芸高校の学園祭です。ブログも30日までお休みします。みなさん、ご健康で!

昨日のアニマシオンクラブ「銀(しろがね)読書会」のテキストは、長田弘『小さな本の大きな世界』(クレヨンハウス)でした。かなり高い本(3,200円+税)ですが、手に取ってみればなっとくです。酒井駒子さんのすてきなイラストがふんだんに入っています。
なにより長田さんの詩人らしい、すてきな言葉に出会えます。もし、赤鉛筆でアンダーラインを引きながら読めば、どの見開きもまっ赤になるでしょう。
夜、長田さんは「小さな本」という表現を使ったのだろうと考えました。長田さんの考えの中には、ほんらい「本」は大きな世界だと思います。子どもの本だからでしょうか?
「小さな(子どもたちの)本」ということかな…? 「小さな」は〈子ども〉に係る。「小さな子どもたち」の本。
「大きな世界」と言うための対比としての「小さな…」だろうとは思う。
「子どもの本」はけっして、「子どもの(ために9もの)ではないと、長田さんはこの本で繰り返している。それは河合隼雄さんも同じだった。
「子どもの本の ゆたかな世界」と言いたかったのではないだろうか…、そのあたりまで考えて眠ってしまった。
夏休み、ぜひ座右の書として開いては読んでみてください。そして、面白いなあと思う本があったら、図書館へ行ってください。
では、しばらくお休みをいただきます。SEE YOU SOON!
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7月20日(水)曇り 「夏休み、だから本を読もう!」

昨年からちょっと面白い仕事のお手伝いをしている。学校関係の保険のジブラルタル生命が、外交用にコンサルタントが挨拶状代わりに配布しているリーフレット「知的・愉しい せんせい応援 なごみペーパー『放課後』」(隔月発行)の読書の小さなコーナーを担当しているのです。季節にふさわしいテーマを設けて、2冊の本をおすっすめするという手法。
現在配布中のリーフは、「夏休み、だから本を読もう!」という特集で、見開き全面が読書になっている。3大テーマが、「食べる」「歩く」「さがす」。小テーマが「“先輩”の教えが懐かしい」「ふるさとを思いだそうか」「もっと、涼しくなりたい!」。それぞれに3冊を用意した。いやあ、大変でした。対象は小~高校の先生方なので、それらしい本を探した。皆さんならどんな本を考えますか?
ちなみに、「歩く」では、岩合光昭『日本のねこみち』(朝日新聞出版)、小林百合子「山と山小屋」(平凡社)、浅田次郎『わが心のジェニファ』(小学館)です。
それが終わって、ほっと一息のうちに、もう次の号のテーマの原稿が迫る。北海道の若い友人が、「岩辺先生のお名前を見つけて,懐かしく拝見しました」と年賀状に書いてくれました。小さなリーフレットですが、全国に配布されているのは、刺激的です。
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7月19日(火)曇り 「高校生直木賞」

少し、「私のブックトーク」から離れます。今月22日から29日までは、ブログも離れます。孫のあり君の高校学園祭の見学に行きます。F.Bだけの記入になります。
「第3回高校生直木賞」の経過が、『オール読物』7月号(文芸春秋)に紹介されている。毎回、本番の直木賞とは異なる作品が選ばれていることに注目が集まっている。今年は、柚木麻子『ナイルパーチの女子会』が選ばれた。その様子は本誌にあたっていただきたいが、読売新聞文化部記者の村田雅幸氏は、
「改めて感じたのは、高校生直木賞の持つ可能性の大きさであり、そもそも本が秘めている力の大きさであった。」
と書いている。
村田さんが話を聞いた生徒は、
「本離れって言われるけれど、まだ好きな本に出会っていない人がたくさんいるっていうことだと思います。きっとこれから好きな本と出会うんです」
という感想を紹介している。
「同じ本を読み、物語から何か大切なものを受け取った者同士が、語り合うことの幸せ。つまり、読書の「先」にある喜びにまで、高校生たちは思いを馳せた。そんな文学賞があるだろうか」と。
高校生直木賞は、フランスにおける「高校生ゴンクール賞」に倣ったものである。辻由美さんの『読書教育―フランスの活気ある現場から』(みすず書房)が詳しい。ここには、子どもが選ぶ文学賞も紹介されていて、私は6年ほど前のツアーで、辻さんの案内である市の低学年児童による選考会を見学したことがある。これも、「読書のアニマシオン」の一環であり、会場は「アニマシオンホール」である。
日本の高校生が社会的発言の機会から遠ざけられていて、関心を持たないようにマスコミや学校教育を通して仕向けられている。しかし、機会さえあれば、彼らが「たいしたものである」ことをやってみせるのだ。


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7月18日(月)晴 私のブックトーク8章平和
⑩語り継ぐ沖縄戦=『ウミガメと少年』

野坂昭如・戦争童話集・沖縄編『ウミガメと少年』(徳間書店2008)。野坂さんの静かな語りと、丁寧に描かれた男鹿和雄さんの挿絵がぴったりと合って、深い感動を誘います。ウミガメが産卵に来る沖縄の島々。激しい戦争のさなかにも、ウミガメは産卵に来ました。それを、独りぼっちになった少年が、海辺のガマの中から見ていました。少年は卵を救おうと、帽子に入れて避難させますが、とうとうそれを食べてしまう。その最後の一つが亡くなった時、少年は海の中へ消える。その年の8月15日、ウミガメはやはり同じ場所に産卵にやってくる。
野坂昭如さんは、戦争童話というジャンルを開拓し、語り継ぐべき「童話」を残してきた。これは、吉永小百合さんが朗読している。
「平和」の章をこれで終わり、しばらく考えて第9章を始めようと思います。しばらくはアトランダムに最近読んだ本を紹介して行きます。皆さん、ごきげんよう!

7月16日(土)晴のち曇り 私のブックトーク8章平和
⑨争いの果てに=『この世でいちばんすばらしい馬』

チェン・ジャンホンの『ウェン王子とトラ』は、「男の子の物語」で取り上げました。絵がすごい迫力なんですね。ぐっと迫ってきます。この絵本もそうです。
昔、中国にハン・ガンという貧しい少年がいた。ハン・ガンは絵が大好きだったが、ふだんは衝動の出前をして両親を助けていた。ある日、有名な画家の家に料理を届けた帰り、りっぱな馬がつないであるのを見て、地面に馬の絵を描き始めた。それを見た画家は、神と絵筆と少しのお金をくれた。ハン・ガンは一日中絵を描くようになり、次第に腕をあげ、皇帝の絵師となる。
彼の描く馬は評判となる。ある夜、一人の武将がおとずれ、「この世でいちばん気性がはげしく、ゆうかんで、力の強い馬を描いてくれ」と頼む。ハン・ガンの描いた馬は武将を乗せ、戦場で勇敢に戦った。しかし、武将はどこまでも戦を止めない。
「それでも武将は、まんぞくしませんでした。もっともっと戦うのだ。敵をひとりのこらず、たおすまで! 馬は悲しくなりました。切り落とされた人の首やうで、傷ついた馬たち、殺された馬たち・・・。ふいに馬の目から、おおつぶの涙があふれてきました」
馬は武将を振り落として走り去る。武将が馬を探して、ハン・ガンの家までたどりつくと、馬はハン・ガンの描いた絵の中にいて、「静かに暮らして」いた。
チェン・ジャンホン作・絵、平岡敦訳、徳間書店2008年)
平和をどう語るか、いろいろなアプローチがあるが、「戦わされる馬」の視点から見るのも大事なことだ。戦争では、日本軍は大量の馬を徴収したが、一頭の馬も還ってこなかったのだ。

7月15日(金)曇りのち雷雨 私のブックトーク8章平和
⑧センダックは子どもに期待する=『ブルンディバール』

昨日はウンゲラーの平和絵本でした。今日は、モーリス・センダック。文はトニークシュナー。(訳・さくまゆみこ、徳間書店2009)
第二次大戦のチェコで、ナチスはユダヤ人の強制収容所をテレジンに作った。ここでは芸術活動などが盛んにおこなわれ、子どもの様々な学習が支援されたことが記録されている。ガス室は作られなかった。しかし、そこからアウシュビッツ強制収容所などに送られ、生き残った子供は15,000人のうち132人だった。
その子どものオペラが「ブルンディルバール」だ。母親の病気にはミルクがいいと、医者に言われて、兄と妹は遠い町の広場まで出かけるが、お金がないので買えない。音楽を奏でて歌って金を得ているブランディルバールをまねて、歌ってみるが、彼の音楽の方が大きくて誰も振り返ってくれない。
そこで町の小鳥や動物たちが協力して、子どもたちを集める。300人の大合唱で、お金が集まるが、ブランディルバールが持ち去ってしまう。それをみんなで取り返して、ミルクを買って帰るというお話。だから、全員子どもが大人も演じるので、絵本もそのように描かれている。センダックはこのミュージカルの復活を支援し、舞台芸術監督などもしているということだ。子どもへの強い期待を表している。合唱組曲風の朗読劇などもできそうだ。

今日は、昼前後からすごい雷雨になった。おそろしいほど。川崎まで出かけていたが、京浜東北線や東海道線などが次々に運転中止などが出て大変だった。都知事選候補者の皆さんも大変だな。

7月14日(木)晴のち雨 私のブックトーク8章平和
⑦トミー・ウンゲラーの平和論=『あおいくも』

『『すてきな三にんぐみ』のトミー・ウンゲラーは、差別や偏見が大嫌い。ヘビやタコが活躍する絵本もある。『あたらしいともだち』(若松宣子訳、あすなろ書房2008年)では、アメリカ社会でははじきだされがちな(日本でも!)アジア系有色人種で異なる(中東アジア系とベトナム系?)二人の少年、少女の“とんでもない”発想の美術作品をめぐる騒動を描いている。町の大人たちはバカ扱い、警察と役所の人は撤去を指示しますが、あまりのおもしろさに子どもたちはどんどん参加するし、アーティストたちは高く評価する。
成人して少女は最高のファッション・デザイナーに、彼は有名な彫刻家になるというわけ。
そのウンゲラーの『あおいくも』(今江祥智訳、ブロンズ新社2010年)。そらにぽっかりと浮かんだ青い雲。青い雲の中を通り抜けると、鳥は青くなる。飛行機も…。そして、どーんどん 大きくなっていく。
ある日、気がついてみると、地上では争いがおこり、真っ赤に燃えている。白い人間が黒い人間をころしまくり、黒い人間が赤い人間を殺しまわり、赤い人間が黄色い人間をおいかけ、黄色い人間が白い人間をおいかけまわしていた。
そこで、青い雲は青い雨を降らせた。青い雨にあたってみんな青くなった。そして、あらそうのをやめ、なごやかにくらすようになった、そして、青い雲のことを忘れないために、どの建物もすべて青く」ぬられるようになった。単純でスカッとする。文句なしに面白い。

7月13日(水)曇り&雨 私のブックトーク8章平和
⑥語り継ぐこと=『モーツァルトは おことわり』

マイケル・モーバーゴは大好きな作家のひとり。さくまゆみこさんの訳文も好き。マイケル・フォアマンの絵も優しく包み込んでくれる。語り手は駆け出しの新聞記者の女性。上司の事故で、高名なバイオリニストのインタビューを担当することになる。ヴェニスの彼の住まいに行く。けっしてモーツァルトについて話題にしてはならないとダメを言われたので、まずそのことを伝えると、パオロ・レヴィは、初めてその経過を話し出した。2週間前に「決して人前ではモーツァルトを弾かない」と約束してバイオリンの練習を始めた父が亡くなっていたのだった。
父と母は、ユダヤ人で、ナチスの強制収容所で収容されてくる人たちを迎える演奏をさせられていた。その曲目がモーツァルトだったのだ。からくも終戦まで生き延びた二人は、父の故郷のヴェニスで床屋を始めた。もう決して演奏はしないと決めて。
少年だった彼は、ある夜、流れてくるバイオリンの音に魅かれて、演奏するおじいさんの元に座って聴く。そしてバイオリンを教わるようなる。もっと本格的に練習したいと思うようになり、おじいさんを連れて両親の説得に戻ると、三人は20年ぶりの再会を確かめ合った。
そうして、演奏家になったパウロは、三人が収容所で演奏させられたモーツァルトは決して弾かないと決めてきたが、取材に来た彼女にそれを語ってくれたのだった…というストーリー。心にずしりとくる。平和とは、戦争のない状態だろうか。平和とはどういう歴史に支えられて、今あるのだろうか。とても危うい存在であり、日本も薄い氷の上を歩いているような状態だけど、マイケル・モーバーゴは、その問いを常に抱いて、語り継ぐ人である。岩崎書店2010年


⑤沖縄戦の遺品の声を聴こう=『さがしています』

永六輔さんが亡くなられた。どんな人にも…、とは言わないけれど、多くの人に親しまれた方だった。「語り芸人」と言えた。私は、15年ほど前、永六輔市民大学講座(ちょっと不確か)が数年間、半年ずつ行われたことがあって、永さん、中山千夏さん、小沢昭一さんなどの講座が月に1回ずつあった。そのほとんどを受講した。昨年までは年末に紀伊国屋ホールで新宿寄席という催しも永さんが主宰していて、ずっと通ってきた。
永さんは開演の15分前には舞台に立って「前座」として話し始める。サービス精神旺盛な人だった。そして、前と同じことは話さない。必要なメモは用意していたが、ほとんどは頭の中にできている。本来の意味のおしゃれで、カッコよくて、正義感、社会的公正、人権、平和への主張をまっすぐにされていた。合掌。

詩人のアーサー・ビナードさんが、広島原爆資料館の遺品(写真・岡倉禎志)に、その持ち主を語りかける詩を添えた『さがしています』(童心社2012年)は深い感銘を受ける一冊だ。
その手法を、沖縄アニマシオンクラブのメンバーが応用して、沖縄戦で残された万年筆の「声」を聴こうというアニマシオンを、中学生に行った。4月に出した『子どもの心に本をとどける 30のアニマシオン』(かもがわ出版)の「ファイル㉙」で紹介している。
――私は万年筆です。戦争で亡くなった朽方精さんを探しています。朽方さんは、いつも私をつかってくれました。優しくにぎってくれました。とっても優しく温かかったです。土にうまっていた70年間、ずっと探しています。もう一度朽方さんに握って書いてほしいです。
などの「声」を、沖縄の中学生たちが書いている。
10月9日の「読書のアニマシオン全国交流研修集会」で沖縄のクラブがワークショップをしてくれます。準備中ですので、アニマシオンクラブのホームページで確認してください。



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7月10日(日)晴 読み聞かせデビュー「おはなしポップコーン」

昨日は、葛飾区立青戸小学校で読み聞かせ活動。明治学院大ボランティア「おはなしポップコーン」の今年度2回目の活動だ。1年生にとっては今日がデビューというメンバー。(5人並んだ真ん中3人。昨日の参加者は10名ほど)笑顔がいい。
2年生のリーダーO君(なっとうじゃんけんをしている男子)が、一生懸命働きかけて、1年生を10名ほど獲得。先週の藤沢・湘南学園小学校の活動と昨日の活動に分かれて初体験。「1年生と3年生では反応がまったく違うことがわかった」「次回は発達を考えて本を準備したい」などの反省。それでも、集中して聴いてくれた子どもたちの姿には感銘を受けたようだ。
もう期末の試験準備とレポート作成などに追われているなかで、参加してくれたのはうれしい。教師となる希望を持っているので、現場に出るまえに、読み聞かせ活動で子どもの笑顔にいっぱいであっておいてほしい。
夏、8月26~27日には毎年恒例になった福島県相馬市での被災地支援活動としての読み聞かせと被災地の視察、夜は現在の状況についての現地皆さんのお話を聞く。参加希望の若者(高校生、学生等)はありや? 今週中なら受け付けられます。岩辺まで
ただし、自己負担費用あり。ボランティア活動ですので。コ年度で廃校になる小学校訪問、2名だけの児童と交流する活動もあります。