9月26日(月)曇り ことばあそび⑦積み重ね詩(うた)にも豊かな発想を

=『のみのぴこ』+α

 

マザーグースの「これはジャックのたてた家」を踏まえた、谷川俊太郎さんの『これはのみのぴこ』(サンリード)。3年生の時、森田貢一郎くんは「これは うちの家族」と題して紹介した。

――これは うちの家族

これは うちの家族の

声の大きな 弟のかずひろ

これは うちの家族の

声の大きな 弟のかずひろの

歌の好きな 妹のゆき

…… ――

と続く。この場合、オチが大事。まず、どうラストを結ぶかを考えて、間を綴っていくことだ。

●さて、『お手紙』などで親しまれるアーノルド・ローベルには『わたしの庭のバラの花』(アニタ・ローベル絵、松井るり子訳、セーラー出版)がある。

――これはわたしの庭のバラの花

これはわたしの庭の、

バラの花でねむるハチ。

…… ――

と続くのだが、最後はどんでんがえしとなる。

●谷川さんの訳による『パパがやいたアップルパイ』(ローレン・トンプソン文、ジョナサン・ビーン絵、ほるぷ出版)は、逆の積み重ねとなる。

――これはパパがやいたあまくてあつあつアップルパイです

これはあかくておいしいりんごです

りんごはパパがやいた…・

これはねじれてたくましいりんごのきです

きはあかくておいしいりんごをみのらせて

りんごはパパがやいた…

と、なっていくのです。

そうすると、ラストはどくるか、読んでみたくなるでしょう。

積み重ね詩といっても、ワンパターンではないですね。詩人たちは豊かな発想でオリジナルを生みだしているのですねえ。

 

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廃墟となる原発をイメージできますか?=『発電所のあった町』

 

「もんじゅ」が廃炉を含めた根本検討に付されるという。地元の首長は存続を要請している。原発一般はおよそ40年で廃炉が世界共通の対処だ。マイケル・モーバーゴの『発電所のねむるまち』(杉田七重訳、あかね書房)はこのことを冷静に描いた短編だ。

少年マイケルの町は海岸に沿った静かで自然豊かな町だ。そこに原発設置計画がおりてくる。住民は反対に立ち上がるが、次第に抱き込まれていく。最後まで抵抗していたマイケルやミセス・ぺティグルーの家族は孤立し、故郷を離れる。一時は賑やかな町となったが、40年後、廃炉となった原発はコンクリートの巨大な墓となる。町は寂れ、人々は去り、もうあの豊かな自然はもどらない。ピーター・ペイリーのイラストがその移り変わりを静かに描いている。日本各地にある50基の原発は遠くない日に必ず廃炉を迎える。想像してほしい。いまある原発を包む巨大なコンクリートの墓を。その風景を。そして、その膨大な費用は、国民全体の負担となるのだということを。

物語の舞台はイギリス。

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9月25日(日)曇りときどき晴 ⑥ことばあそび+ワン=原点を学ぶ=『絵でよむ漢文』

 

ことばあそびのテキストになる本はたくさん出ています。こわいのは、技術に走ることです。いわば、子どもだましの手に使うことです。日本語のおもしろさ、不思議さ、奥深さに誘うことが大切です。子どもにそういう話をするということではありません。そういう学習を自分の背景に持つように努力しましょうという意味です。アニマシオンも同じですが、教育技術は「手」先の方法ではなく、その学習がどこへ、どういう「次の世界へ」いざなっているのかをもちたいものだということです。

最近、短歌・俳句や、漢詩・漢文などの名作を朗読、暗唱させることが広がっていますね。その時に、意味・解釈を問わず、丸暗記で覚えさせることがあります。孫を見ていても驚くことがあります。区切りや、アクセント、イントネーションがまったくでたらめなまま、「頭から棒読み、丸暗記」していました。簡単な解釈でいいから、先生がちょっと説明して、朗読・暗唱して、範を示すことが基本です。

漢詩、漢文、そして古文は、今は高校までまったく取り立てた授業として触っていないことが多いのではないでしょうか。私たちの時代までは、高校の授業でも、大学の授業でもありました。私の大学教養(1~2年)時代の漢文の先生は、故・一海知義先生です。この道の権威です。その若き日のころです。

さて、とてもわかりやすく、楽しいガイドブックが、加藤徹『絵でよむ漢文』(朝日出版社2013年 1,300円)です。上から目線で解釈をのたまうのではなく、古き時代の心に真髄をたずね、今日の生き方に生かそうという、共に歩くという姿勢で語っているからです。

例えば、「吾十有五にして学を志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳に順う(したがう)。七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)をこえず。」について、こう語られています。

――「わしは今でこそ『先生』なんて呼ばれておるが、十四まで学問が嫌いで、二十九まで自立できず、三十九まで人生を迷い、四十九まで天命をわきまえず、五十九まで自己主張ばかりで、六十九まで枯れずにギラギラしてた。ま、人生なんてそんなもんさ」

夏目漱石はじめ日本人の作品も紹介されている。短い熟語の背景も学ぶ。声に出して読むと、さらにおもしろい。

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9月24日(土)曇りのち雨 ことばあそび⑤自分のアンソロジーを持とう

=『ことばあそび○年生』

 

『ことばあそび○年生』は、現場にいるときにずいぶんお世話になりました。さまざまな分野の楽しい詩、不思議な詩、なぞなぞ風な詩…がいっぱい。刺激に満ちています。

「おもしろい詩も、おかしい詩も、全部みんなが毎日話したり、聞いたりする普通のことばからできています。普通のことばを詩人が作品にすると、魔法のように、いつものことばと意味がちがったり、おなかがよじれるぐらいおかしい作品になります」

「おいしい食べもののように、おもしろかったり、おかしかったりする感じ方に学年は関係ありません。」

「みんなも、こんな楽しい詩を作る子ども詩人になってみませんか」

伊藤英治編、かみやしん絵(理論社2001年、全6巻、1,200円)

さて、ここで、私が呼びかけたいのは、自分の教材詩集を作ることです。少しずつためていけばいいのです。あるいは、仲間組んで、半年、1年とかけて1冊ずつ作っていけばいいのです。私は現役時代にそのようにして、2冊の教材集を作りました。それが、本としてまとまったのが、『子どもたちに詩をいっぱい』(ROJUN1996)です。自分のアンソロジーを持つ…教師の大事な生き方です。

9月23日(金)雨 ことばあそび④川崎洋詩集『だだずんじゃん』

 

私たちの『子どもの心に本をとどける 30のアニマシオン』(かもがわ出版)の「14 でるでる 詩がでる」(根岸由美子)が、この本をネタにした「本歌取り」創作を提案している。

この詩集は、遊べる。「ことばかくれんぼ」は、

――フランスのなかに/ラン

アメリカのなかに/あめ

というような“発見”ゲームだ。

「なぞなぞ」は、

――朝を食べる/たりないのはなーんだ?

山を食べる/たりないのはなーんだ?

というもの。

きわめつけが、「○○づくし」。

例えば、「でるでるづくし」

――でるでるももたろう

ババ川へ洗たくに家をでる

ジジ山へしばかりにでる

ババ川ぎしにでる

川上からモモがまかりでる

という調子。実に面白い。高額姐や中学生にやってきるといい。川崎さんの遊び心は漢字にも及び、アイデアいっぱい。いそっぷ社2001.文庫収録ではなく単行本で入手をお勧めします。

 

“子どもの心に本を届ける”

〜読書のアニマシオン全国交流・研究集会〜

主催:読書のアニマシオン研究会(アニマシオンクラブ)

■日時 2016年10月9日(日) 9:30~17:00

■会場 アカデミー茗台(めいだい)=正式名「文京区役所施設アカデミー茗台」

文京区春日2丁目9-5 区立茗台中学校の併設施設 TEL03-3817-8306

*文京区立茗台中学校の複合施設です。目当ては茗台中学校です。(非常によく似た名前の施設が近隣に3か所あります。シビックホールではありませんのでご注意ください)地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅1番出口を右に出て、春日通りを後楽園側に向かって徒歩7分

■参加費 2,000円(学生500円) ■昼食は各自ご用意願います。

■日程 10月9日(日)

①    9:30~ 10:00 受付

②   10:00~11:00 「憩い・語らい・学びをつくる地域の中の図書館」

・・・・久川文乃(指宿市立山川図書館館長)

③   11:10~12:10 「図書館とアニマシオン」

・・・・種村エイ子(鹿児島アニマシオン倶楽部代表・鹿児島国際大学)

④   12:10~13:00 昼食

⑤   13:00~14:00 「新着!フランスのアニマシオン

-ブルジュ市の〈読書の挑戦〉とフランス国立図書館のアニマシオンー」

 

・・・・辻 由美(翻訳家)

⑥ 14:10~15:10 青森アニマシオンクラブによるワークショップ

⑦ 15:20~16:20 沖縄アニマシオンクラブによるワークショップ

「さがしていますー沖縄戦の遺品の声を聴こう」

⑧ 16:30~17:00 「楽しみ・推理・協同のアニマシオン!」

・・・・岩辺泰吏(アニマシオンクラブ代表)

■問い合わせ・申し込み

お名前、ご住所、電話番号を記載しメールまたはFAXでお願いします。

読書のアニマシオン研究会 事務局 笠井英彦

Email:hidehikok@yahoo.co.jp fax/050-3440-4947

  HP:www.animation-club.net

 

9月22日(木・秋分の日)雨 ことばあそび③谷川俊太郎編『遊びの詩』

 

谷川俊太郎さんには「ことばあそび」の詩がたくさんあって、皆さんもよくつかわれていることと思います。しかし、そうした作品を始めた頃は、理解されなくて苦労されたと、いろいろな機会に語られています。

「はなののののはな/はなのななあに/なずななのはな/なもないのばな」

絵本『もこもこ』…、などがその試みの作品だったそうですね。

さて、その“修行中”のテキストともいうべき『遊びの詩』(筑摩書房1981)をご存知の方は少ないでしょう。まさに古今東西の「ことばあそび」の詩を集めて、一つ一つに解説を付けています。これが、とても興味深いものなので、それと対照しながら読むことをお勧めします。

――ことばは、抽象的なものではなく、一人の生きた人間の皮膚の温かみとか、声の和やかさとかいうもので、まず他人に伝えるものだということ、だから、こういう(わらべうたなど)原初的な詩は、いつでも一種のスキンシップ、愛情の表現みたいなものだというふうにぼくは考えていて、詩というものもたぶん根本的にそういう他人に対する愛情の表現という面を底に隠しているのではないかな、と思うんです。

どこから読んでもおもしろい。この本の編集が、谷川さんのその後の作品に大きな影響を与える仕事であったことがわかります。谷川さんン50歳の道程標だと思います。

「詩のあくりもの」シリーズ6.まだアマゾンで入手できますよ。

9月21日(水) 「希望の語り方」=原田マハ『本日は、お日柄もよく』

 

主人公「わたし」、二宮こと葉。幼馴染の今川厚志の結婚式で、感動的なスピーチに出会い、伝説の言葉の魔術師=久遠久美(くおんくみ)に弟子入りする。そして、政治家であった父の遺志を継いで立候補した厚志のスピーチライターとなる。時正に、政権党から野党に国民が変化を求める流れの中。国民の心をつかんだ演説が時代を前に押し上げていく力となる。それを描きながら、作家もこの閉塞した時代の変革を呼びかけている。

それぞれの人が、自分の持ち場から参加する。わたしの「希望の語り方」がある。朝井リョウの『世界地図の下書き』にもそれを思った。子ども達への応援歌だ。赤川次郎の『東京零年』はすごい迫力で「日本の暗黒」を告発していた。「あきらめない!」と、19日の国会前行動で参加者は何度もコールした。

――困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。

三時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩きだしている。

どうだい? そんなに難しいことじゃないだろ? だって人間は、そういうふうにできているんだ。

とまらない涙はない。乾かない涙もない。顔は下ばかり向いているわけにもいかない。歩きだすために足があるんだよ。

君のお父さんとお母さんが君に与えてくれた体を、大切に使いなさい。そして心は、君自身が育てていくんだ。おおらかに、あたたかく、正義感に満ちた心に育ててやりなさい。

――「ほんとうに弱っている人には、誰かがただそばにいて抱きしめるだけで、幾千の言葉の代わりになる。そして、ほんとうに歩きだそうとしている人には、誰かにかけてもらった言葉が何よりの励みになるんだな、って」

いい物語にはいい言葉がある。

原田マハ『本日は、お日柄もよく』(徳間文庫2013.6 ,648円 )――えっ、3年前に出ていたんだ。それなのに、今も平積みで並んでいるのは、人は今「希望」をもとめているんだなあ!2016年6月21刷。2010年8月に出ているのだが、もしあと1年後であったら、つまり東北大震災とその後の日本の状況の中で書かれるとしたら…。それが、先日ここでえ取り上げた『生きる、ぼくら』であると思った(2012年9月)

 

 

9月20日(火)ことばあそび①『ことばのこばこ』

 

塀に沿って、彼岸花が咲きました。ブロックを並べて、土を盛ってみたら、昨年より増えて咲きました。どこからやってきたのか、昨年2株咲いて、今年はこれだけになりました。数日前に芽を出して、あれよあれよという間に咲きだしました。縁起が悪いという人もいます。でも、好きです。

今日から5回、ことばあそびの本を並べていきます。日本語の特質を理解するには、ことば遊びがとても大事です。ちょっとした時間を見つけて遊びましょう。これだけで45分やろうとするから、続かないのです。

その1は、定番の『ことばのこばこ』(和田誠、瑞雲舎2006.5、1,748円)。和田誠さんがイラストレーターとして、全体を仕上げているので、しっかり楽しめる絵本となっている。しりとりのちょっと一工夫したリレー物語。回文、箱を埋める、

ひらがなが表音文字として一音一文字で独立している性質を踏まえたさまざまな遊びだ。これ1冊で1年間は使えるのであはないだろうか。

9月18日(日)曇りのち雨 お話を重ねてみよう=『うさぎマンション』

 

再び重い暗い空となった。そこに、28才の若い美術作家による楽しい絵本が届いた。5階建て、24室のうさぎマンションに、あたらしい家族がひっこしてくる。ここには、さまざまなうさぎが暮らしている。大工うさぎ、作曲家うさぎ、恐竜と暮らしているウサギ、魔女うさぎ……。それぞれの暮らしを考えるだけでも楽しい。

この物語は引っ越してきたうさぎファミリーの視点で綴られているが、魔女うさぎに視点を置けば、また新しい物語が生まれる。24通りの物語が輻輳してうさぎマンションという世界(社会)の物語が織り上げられていく。

あるいは、「くまマンション」とか、「ことりマンション」を設定してもいい。ファンタジーの創作入門だ。

そして、屋上で歓迎パーティが開かれる。にぎやかで、あたたかなうさぎマンション。いいなあ。のはなはるか『うさぎマンション』(くもん出版2016.9、1,400円)