10月17日(月)雨 魔法使いのおばあさんと暮らす=『ネコのアリストテレス』

 

絵がすごくかわいい。表情がとても豊かで、人間的。子ねこのアリストテレスをもらったおばあさんは、魔法使いだった。「ねこには9つの命がある」という諺があるそうだ。つまり、長生きというわけ。「ネコの動きのすばやさ、敏感さ、高い所から落ちてもちゃんと立つところなどを見て、昔の人はそう感じたのでしょう」と、訳者は書いている。

 アリストテレスはなんにでも首を突っ込んで興味津々の行動派。魔法使いは心配でならないが、やはりネコはネコ。煙突から落ちて焼けてしまうかとなったり、イヌにかみつかれそうになったり、はては鉄道の列車に轢かれそうになったり…。8回は危うい目に遭って、利口なネコに成長して、おばあさんの役に立つようになる。

 魔法使いの名は、ベラ・ドンナ。イタリア語で「美しい貴婦人」。アリストテレスはベラ・ドンナが付けた名前。おばあさんはほうきに乗って、夜な夜な仕事に出かける。大鍋で作った薬で、病気の子どもたちをそっと治してあげるのだ。そのイラストがカバーに見返しになっているが、表紙側と裏側ではちょっと変化している。「まちがい探し」ではないが、何が、どう違うか、それはなぜか、相談させるのもおもしろい。

 訳文が軽快で、とってもおしゃれ。気持ちがいい。訳者が紹介している英語のことわざを一つ。

 A cat has nine lives and a woman has nine cat’s lives.

(ネコには9つの命があり、女性にはネコ9匹分の命がある。) 

つまり、「女は強し!(長生きだ)」と。ディック・キング=スミス作、ボブ・グラハム絵、石隨じゅん訳(評論社2008)保塚図書館の本。