静かな元旦を過ごしました門松

 

 

ふと手にした、佐々木団長の評伝

『孤独な祝祭 佐々木忠次』

〜バレエとオペラで世界と闘った日本人〜

(著者:追分日出子さん)

 

大晦日に『ミルピエ』を観て

元旦にこの本が目につくという偶然(必然)

 

佐々木団長率いる東京バレエ団付属の

「東京バレエ学校」でバレエを始め

東京バレエ団に26年間在籍した私にとって

佐々木団長は、近くて遠い存在でした

 

 

でも、本に記されていることで

初めて知る事はとても多く

正直、違和感を感じる部分もありました

 

「そういう方だったんだ…」

 

でもそれは、佐々木さんの多面性でもあり

私の「若さ」が、佐々木さんの一部しか

見ようとしていなかったからなのだと

今は思いますあじさい

 

本にも出てくる仲間と同様に

私も、佐々木さんには闘いを挑むように

バレエ団に在籍していたな…と感じています

 

海外から来る指導者や振付家には

私は評価してもらえるのに

何故か佐々木さんには評価をしてもらえなかった

 

 

私は、舞台でお客様に喜んでいただくために

与えられた役には命をかけて取り組んでいました

「この役は、井脇さんで観たいよね」

「今日のこの役を踊ったダンサー、良かったね」

と言ってもらえるように…

 

これが、私が東京バレエ団に在籍してきた

最も大きな意味でした

 

 

だからいつも「何故私は認めてもらえないのか?」

と佐々木さんに疑問をぶつけていたように思います

 

 

そんな佐々木さんが唯一(と言って良いと思います)

私に笑顔をみせてくださったのは

東京バレエ団のダンサーの人気投票で

私が1位に選ばれた時でした

 

マラーホフさんと吉岡美佳ちゃんが主演した

『眠れる森の美女』の公演の時に

観客の方を対象に行なったアンケートでした

 

「井脇、そんなに人気があるの」とおっしゃいました

 

 

でも今思えば…

私は佐々木さんと

言葉のコミュニケーションを取ろうとしていなかった

 

家でも叱られ

バレエ学校でも怒られ

学校でもほとんど居場所のなかった私は

先生や大人に自分から話しかける事は

「恐怖」でしかなかありませんでした

 

 

電話をかければ

「今の話し方はなに?」

大人の居るところへ行けば

「あの態度は恥ずかしい」

お友達の家に行っては

「あんな事したのはあなただけ」

 

これも、今思えば…ですが

「躾(しつけ)」だったのだと思い感謝はあります

ですが、こんな風に叱り続けなくても

躾というものは身につくと思っています

 

 

バレエの先生も、とにかく「怖い」方で

休む理由を言いに行くくらいなら

我慢してレッスンに行ったほうが良い

…と思っていました

 

 

こんな流れで、私は佐々木さんと

個人的に言葉を交わした事は

「結婚することになりました」

のご報告の時だけだった(2度もですがあせる

 

 

今、私は

Iwaki Ballet Companyを率いています

ゲストと交渉し、舞台を創り

舞台スタッフとも闘う日々

 

と同時に

スタジオの生徒たちの未来にも責任がある

 

この仕事をするようになって

佐々木さんならどうしただろう?

と思うこともあります

 

認めてもらえなかったし

私も慕っていた訳ではなかったけど

彼のしてきたことは

一点の曇もなく尊敬しています

 

当然の事ながら

私は佐々木さんにはなれないけど

佐々木さんがなさってきたこと

成し遂げてきた事を

舞台上で表現してきたのが

我々ダンサー

 

そういう意味では

決して遠い存在ではなかったのだと思います

 

 

昨年30周年のリサイタルで

念願のカルメンを踊りましたが

「佐々木さん、観ててくださいね。

そして私に踊らせてくれなかったこと

ちょっとは後悔してね(半分冗談ですが)」

と、踊る前に佐々木さんに話しかけました

 

 

私も、命を天に返す時がきたら

佐々木さんを見つけ出して

「井脇、うるさいよ」と言われてもいいから

バレエのこと、ダンサーのことなど

たくさん話したい思っていますビックリマーク

 

私も、佐々木さんに育てていただいたダンサーの1人

 

彼の茶目っ気

子供のようにイタズラな目

団員に話をする時の厳しい眼差し

 

これは受け継いでいるような気もしています

 

佐々木さんが天から私を見ていて

「井脇がこっちに来たら少し話してやろう」

と思ってもらえるように…照れ

 

佐々木さんの下に居た者として

誇りを持ち、自分の直観を信じて

6年目を迎えるIBCを

率いていこうと思いました

 

 

もしかしたら2016年の私を見て

「井脇、見てるぞ」と

こうして振り返って

私を見てくれたのかもしれませんねおねがい

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この写真は私も親しくさせていただいています

写真家海田悠さんが撮影されたものです

佐々木さんの照れ屋さんな雰囲気が出ていて

大好きな写真です

 

 

佐々木さん

今更ですが、ありがとうございましたブーケ2

 

どうか、見守っていてください!!