昨夜のテレビ番組に物申す! | いわクリ日記

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長岡京市 いわきクリニックIC 院長 岩城佳津美(Katsumi Iwaki)がお届けする、なんでもありの勝手気ままなブログです。

昨夜何気なくテレビを見ていたところ、
TBSで「予約殺到!スゴ腕の専門外来SP!」という番組をやっていました。

その中のコーナーで
キズの治りが早く傷痕も残らないというキズ治療法を紹介」とあったので、
「なになに??!」と思って観ていたら・・・

なんのことはない、「湿潤療法」のことでした。
(傷を水道水で洗って、創傷被覆材で密封する治療法)

「湿潤療法」はうまくゆけば、傷の治りが早くて良い治療法ですが
うまくやらないと色々問題点もあります。

それよりも・・・「えっ?!」と思ったのは
「湿潤療法をやれば、どんな傷もアトが残りません!」
「消毒をして、傷を乾かしてカサブタを作ってしまえば、必ずアトが残ります!」
「湿潤療法は絶対に感染は起こしません!」
・・・と
出演していたDrがコメントしておられたこと。

そんなことはあり得ません!!

火傷の程度や、傷の深さ、場所、感染の有無などによっては

どんな治療法をしても残念ながら傷あと(瘢痕)が残ってしまうことがあります。

昨日のテレビで、こんなにキレイに傷が治りました!と紹介されていた症例は、
範囲が広くて、素人目には一見「うわっ!すごい火傷!!」と思ってしまいがちな火傷
ですが、程度としてはどんな治療をしてもキレイに治ってしまう2度浅層の熱傷や、
これまた傷がとてもキレイに治りやすい顔面の擦り傷、縫合しなくてもよい程度の
手の外傷などなど・・・。

あの程度の傷であれば、どんな治療をしても
あるいは乱暴な言い方ですが、放っておいても
キレイに治ってしまうであろう傷ばかりでした。

あの番組を見ると・・・
ケガで傷が残ってしまった方が
ちゃんとした治療をしなかったから「傷アト」が残ってしまったのではないか?とか、

どんなケガをしても、湿潤療法さえすれば傷アトが残らないんじゃないの?と
誤解してしまっても仕方のないような内容でしたね。

もちろん、湿潤療法が悪いわけでもありませんが
あのような極端に偏った内容の番組を流すテレビには疑問を感じずには
おられません
まじで…?

自己流で湿潤療法(キズパワーパッドなど)をして、
感染を起こしてぐちゃぐちゃになって来られる患者様もいらっしゃいます。

傷の正しいケアについてはまたいずれ書きたいと思いますが、
ネットやテレビの情報が必ずしも正しいとは限りませんのでご注意くださいね!