満足度調査と認知的不協和の関係 | マーケティング談話室

満足度調査と認知的不協和の関係

先日、コピーライターの方とランチをしていて、
満足度調査の話になりました。

その方曰く、

「満足度って分からないですよねー」


彼女は化粧品の広告の仕事が多いそうなのですが、

最近は以前にもましてクリエイティブにも
消費者調査の結果が利用されることが多いとのこと。

(消費財ではもともと消費者調査を多用しますが、
 化粧品は消費者調査をほとんどやらないメーカーも結構あります)


たしかに購入者に満足度アンケートをすると、一般に
「満足している」人がほとんどという結果になります。

私が消費財のマーケティング担当をしているときも、
満足度調査ではユーザーは「とても満足」「満足」
という人が8割ぐらいになることが多かったと記憶しています。

(なのでこの結果自体はあまり戦略には活用しませんでしたが、
 対流通パンフレットや広告などには利用しました)


そもそも「気に入った」から買ったワケで
当然といえば当然なのですが、

購入者の満足度が高くなりやすいのは

「認知的不協和」

が働いているともいえます。



この概念を説明したら、そのコピーライターの彼女は
とても面白がってくれましたのでブログでも書こうと思います。


認知的不協和とは、もともと社会心理学用語ですが、
マーケティングでも使われます。

ざっくりと説明すると、

自分にとって不快な自分自身に関する行動や事実を、
何らか別の理由をつけて自分を納得させる、という心理現象です。

(ざっくりしすぎかも知れませんが、詳しくはウィキペディアで)


人間は自分自身の行動を肯定したくなるものなのですね。


たとえば、次のような例。

高いお金を出してマンションを買ったとします。
でも、地価が暴落して値段が大きく下がってしまった。

そんなとき、
マンションを買ったことを後悔すると
自分自身の行動を否定することになるので、

「価格は下がったけど、ここからは富士山が見えるなどのよさがある」
   ↓
「ここに住めたのはあのタイミングだからだ」
   ↓
「このマンションを買ってよかった」


と、自分の行動を肯定します。

ウィキペディアではイソップ物語の
キツネとすっぱい葡萄の例なども上げられていました。


マーケティングの現場では認知的不協和は、

「購入者は自分が買った商品に対しては、 
 基本的にポジティブである」


という前提理解として用いられます。


単純に満足度調査で、

「8割が満足!」

と喜ぶのではなく、その中身が大事ということですね。

逆に言えば、既存顧客の満足度が8割以下だと危ないのかも知れません。


実際に、消費者を観察したり、個別にヒアリング
したりすると色々と課題が見えてくることが多いものです。


マーケティングは本当に万能は方策はなく、
いろいろな理論や手法の組み合わせと、
実地でのトライアンドエラーに尽きると思います。

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