奇跡の再会 | ITK岩田真太郎の研究奮闘記

ITK岩田真太郎の研究奮闘記

CTO発信の小さなニュースを研究奮闘記として綴ります。

2012年11月26日

 

ハイパージャパン2日目、土曜日の朝。

 

昨年は、本当に時間がなく展示会以外なにもできなかったので、

今回は1回ぐらいアンティークマーケットに行こうと、

早起きしてポートベロマーケット(土曜日のみ開催)に行くことにしました。

 

しかし、ホテルからポートベロまでは電車1本なのですが、「本日工事中」・・・。

「どうする?」、酒井さんと相談です。

「展示会に間に合うように違う路線で往復すると現地には45分ぐらいしか居れんなぁ」

「どうする?」

「せっかくやで、やっぱ行こ!」

 

という事で、電車に乗りポートベロに向かいました。

タイミング良く乗継できポートベロ到着。

 

・・・しかし、冷たい雨が降ってきました。

 

通りに入るとアンティーク雑貨が表に並んでいます。

さらに奥に入るといくつものアンティークショップが並んでいます。

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「さて、適当にみていきますか、あまり時間ないけど」

すべての店を回ろうとすると1日あっても足りないからです。

 

私と酒井研治は時計(アンティーク)好き、酒井さんはロンドンの大学に通っていたので、

2001年の11月に私も2週間ちょっと遊びに来たことがあります。

その時は毎日(ちょっと言いすぎ)のように日が昇る前に朝市に出掛けては

2人で時計を探していました。

 

という事で、2人とも黙って時計を探している訳です。

しかし、ここはポートベロ、当時行っていたような朝市とは違い高価なモノが多い。

 

少し歩くとガラスケースに時計が並んでいました。

とても素敵な時計ですが、やたら綺麗です。

二人で顔を合わせ・・・

「聞いてみる?」

「ん~高そうやでやめよ!」

 

期待せずにちょっと奥にはいります。

 

また時計屋さんがありました。

ガラスケースを覗いてみると、

当時私達が探していたような時計が並んでいます。

 

「おぉ~ここ良いじゃん!」

「汚いで安そうやね!」

 

冗談を言いながら時計を物色していると、酒井さんが叫びました。

 

「有竹さん!!」

 

「はぁ?」と顔おあげてガラスケースの奥を見ると・・・。

 

「有竹さんやー!!」

 

感動です。泣きそうです。有竹さんがいます。

アンティークウォッチ界の重鎮・有竹重治さんです!!

 

実はその11年前、私は「地球の歩き方」を読んで

アンティキュアリアスのマーケット出かけました。

その時に、その中で店を構えていたのが有竹さんだったのです。

話をするうちにアンティークウォッチ界のカリスマだと知り、

朝市で買った時計を見せては「こんなのダメだよ!」といろいろ教えていただきました。

 

ポートベロマーケットに引っ越したとは全く知らず。

11年ぶりの奇跡の再会!!


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酒井さんとは5・6年前まで連絡を取っていたようで

「ひさしぶり、元気してた?」といった感じ。

私が「有竹さん、僕のこと覚えてますか?」と尋ねると・・・。

「・・・覚えてない」

どうやら本当に覚えてないらしい・・・。

 

あんなに時計の事やら何やら話していたのに・・・。

再会とは別の意味で泣きそうです・・・。

 

まぁいいや!←良くないけど。私はどうしても有竹さんに伝えたい事があったのです。

内容はブログには書けませんが、尊敬と感謝の気持ちを伝えました。

 

そして、有竹さんが「僕の店で時計を買うとみんな幸せになる!」と言うので、

「じゃぁ、奇跡の再会記念に1本買って帰ります」と、

私と酒井さんは時計を格安で売っていただき、

月曜日の夜に食事に行く約束をして店を後にしました。

 

2人とも、もう用事は済んだといった感じで買ったばかりの時計を自慢しあいながら

電車に乗って展示会場に向かったのです。

 

月曜日、夜。

有竹さんと駅で待ち合わせをし、3人で食事しました。

相変わらず私は、

「僕のこと思い出しました?」と聞くと有竹さんは、

「なんとなく思い出したよ!」

「ホントですか?」

「ホント、ホント・・・」

 

まぁいいや!←全然良くないけど。11年前、私は有竹さんにひとつお願いしました。

「僕ロンドンにいる間、毎日日記を書いているんですけど、表紙に何か書いてもらえますか?」

すると有竹さんはしばらく考えて、

「ヨシ、わかった!」と言って書いてくれました。

 

チカラ強い字で、

 

をえるも失うも自分次第」

 

この言葉、ずっと忘れていません。本当に良い言葉です。私の座右の言葉になっています。

そして今回も懲りずにお願いしました。

「何か書いてもらえますか?」

有竹さんはしばらく考え、

 

名刺になめらかな字で、

 

「笑おう苦しいこそ」

 

・・・泣きそうになってしまいました。

 

35年、アンティークウォッチを扱ってきた有竹さんがくれる言葉だからこそ、

私にはジーンときます。

本当にありがとうございます。頑張ります!!


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帰国後、たしかここにしまったはずだと、

部屋の引き出しを開けると当時のノートがありました。

汚い字で1日のルートと買ったモノと、日記が書いてありました。

恥ずかしくて読めるモンじゃないと思っていましたが、

存外面白くまとまっていて当時の記憶が蘇りました。

最後の日記だけここに綴ります。

 

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2001年11月20日(TUE)

 

ロンドンをまわるのは、今日で最後みたいなもんだ。

まずはオックスフォードサーカスに行き、プロスターフィギュアなどを買い、

コベントガーデンでまたいろいろお土産を買っていった。

NEROでコーヒーを飲み、

今日もスローンスクウェアの有竹さんのお店に行く事にした。

今日は僕が有竹さんにコーヒーをごちそうする事になり、ピカソにコーヒーを買いに行った。

初めて行ったが、スムーズにTake-awayのコーヒーを買う事が出来て良かった。

有竹さんには今日もいろいろな話を聞かせてもらった。

ロレックスのコレクションの中の1つを£20000で売ってくれと言われて断ったとか、

前の奥さんの話とかミュージアムの話やら。

結局、今日も店を閉めるまでずっと話していた。

有竹さんに「僕のコレクションをこんなに見たのは君が初めてだよ!」と言われ、

半分ジョーダンだと思ったけど、

そういや、たくさん時計見せてもらっとるなぁと、あらためて嬉しく思った。

スローンスクウェアからウォータールーまでバスで1時間かかりケンヂと合流し、

ロンドン最後の夜はメキシカンのチキンで幕を閉じた。

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‘メキシカンのチキン’って何だ(笑)

 

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11年前のノートと、今回の名刺と時計(Tissot)

1940年代 手巻き ボーイズサイズ

ブラックダイアルにゴールドのサークルライン。

ペンシルハンドとスモールセコンド、プラドーム風防の完全オリジナル!

素晴らしいコンディション!メチャクチャ格好いいです!

有竹さんありがとうございました!!

 

やっぱり自分からアクション起こさないとムーブメントは起きませんね!

手巻き時計のように・・・なんちゃって。

 

本日、12月13日は有竹さんと酒井さんの誕生日!←こないだ知ってビックリです。

Many happy returns !