それにしても先日のブログ記事は、気持ちを抑えながら書いたつもりでしたが、改めて、、読み返して見ると我ながら・・・・。

さて、私の母親の現在の状態というか、治療状況は、「エビデンス」「標準治療」の枠を、かなりはみ出しているのではと思います。


確かに、本日、点滴するナベルビン・ジェムザールという組み合わせの抗がん剤は、エビデンス、標準治療に則ったものかもしれませんが、私の母親の場合 は、ブログにて繰り返し書いておりますように、3週連続点滴で1週間の休薬期間を設けるといった「標準投薬」ではなくて、1か月に1度の超変則的な点滴で す(おまけに減薬してです)。

又、イレッサについてもこれまで3回服用して、今は、4回目のイレッサ服用の時期を何時にするのかというのが当面の課題なんですが、「エビデンス」について言わせて貰えば、現在のエビデンスを参考にして服用する時期を探るというよりもむしろ、5年先、10年先の肺がん患者さんの「エビデンスを作る為」の服用といった側面が私の中では強いです。


4年前、右も左も分からない状態で始まった抗がん剤(パクリタキセル・カルボプラチン)で、副作用の「厳しさ」「恐ろしさ」を生れて初めて感じました。

そして、イレッサ(1stイレッサは普通に標準治療かと)には母親に「普通の生活」という病気に罹らなければ恐らく分からなかったであろう大きなプレゼントを貰いました。

今年、2月には、放射線治療の副作用による食道炎の発症で、今まで軽くみていた「食欲不振」の本当の恐ろしさも実感いたしました。


改めて思います。



入院して行う治療は全て、4年前も、今現在も、母親も家族も「命がけ」の行為です。

ナベルビン・ジェムザールは副作用が軽いじゃないか?と仰る方、思われる方もいらっしゃるかと思います。

最初の頃、副作用で白血球値が下がっても、G-CSF皮下注射を2~3回、打って貰えば、簡単に直ぐに値が戻ると思っていました。

しかしながら、ある時、母親が、前任の担当医師に、その旨を訊ねたところ、「20回、30回注射したから効かなくなるということはありません。只、今回、効いたからといって次回も必ず効くという保証はなくて、効かない時には、何本、注射しても全く効きません・・・。だから、我々は、しつこい位に血液検査をして白血球値等を把握しようと努めているんですよ」と。

そう言う訳で、ナベルビン、ジェムザールと云えども、副作用で白血球値が下がる以上、常に万が一という覚悟はしています。。


母親の病気が、医師に委ねて治るという性質のものならば、喜んで、「エビデンス」「標準治療」に疑義を呈することもなく、専門家の意見を100%尊重しますし私だって従います。

しかし、残念ながら、病気の性質上そうも言っておられず・・・・。

私の母親はよく、「抗がん剤が効いてくれてCEAが下がり、腫瘍も小さくなれば、副作用の脱毛、痺れなんかも我慢するし、張り合いもでてくるんだけどねぇ。。」と効かない抗がん剤を点滴していた時は何時も、口癖みたいに弱々しく言っておりました。


「抗がん剤が効かない」時って口では簡単に言えますが、実際は、結構、怖いもんですよ・・・。

「命がけで」頑張ったのに、CEAは上昇し、原発部分は大きくなり、転移が発生し、おまけに副作用で身体は弱る一方・・とても辛くて切ないものです。。これに「激しい痛み」や「苦しみ」まで付け加わったら・・・。一度、経験すれば、どんなものかは、お分かりになるかと思います・・・。

そして、このような状態が、1回、2回、3回と、、「何回も続くと」・・・・一度、わが身に置き換えて想像してみてください・・・。


だからこそ、私は、たとえ、「エビデンス」「標準治療」に則っていても、ベルトコンベアー式に、只、機械的に治療しているのではと思った時には、今まで疑義を呈してきましたし、今回も、振り返りブログという形ではありますが、疑義を呈した次第です。

又、このブログ記事の最初の方で書いたように、私の母親は、既に「エビデンス」「標準治療」の枠外に全部とは言いませんが、かなりの部分がはみ出している状態、つまりは、「卒業式を数日後に控えた」状態なのかなと勝手に思っています。

故に、今回の「エビデンス」「標準治療」といった現在の医療で答えがあるようでないような、神学論争みたいなものに私が今更ながら首を突っ込む必然性は無かったなぁと思いましたが、、、どうしても、、今までの事を思うと、無視することは出来ませんでした・・・。



こういった、私のブログでも平均すると、一ヶ月に4~5通程、知らない方からのメッセージが突然に届きます。

その内容の殆どが、「貴方のお母様の飲んでいる健康食品を直ぐに教えて欲しい」「抗がん剤をしないで免疫療法と健康食品で治療しようと思うのだがどう思うか?」と言った内容です・・・。


私は、時々、週刊誌が取り上げる、「抗がん剤は悪だ」との立場に与するつもりは毛頭ないので、上記のような質問には、全て、「健康食品は、あくまでも精神安定剤として捉えるべきもの(副次的なもの)で、先ずは、医師による適切な診断と治療(抗がん剤の選択)をなされた方が良いのでは?」とお答えすることにしていますが、皆さん、どの方も真剣そのものです。

ある方は、最初のメールで此方が恐縮するくらい、丁寧でキッチリとした内容のメールを送って下さいました。

しかしながら、メッセージでやり取りするうちに、本当に同一人物なのかなと思う位に次第に、文体も内容も、「必死さの余りに」乱れていかれたのが見ていてとても辛かったです。。


「エビデンス」「標準治療」に満足していない人がいるからこそ、現在、「その枠外の治療」・・・たとえば、保険適用を受けていない治療、認可されていない治験、様々な健康食品やら民間療法等にすがる人が多いのではないのかなと本当に実感いたします。。

「6月14日」のブログ記事に書きましたように、「エビデンス」に更なる「確実性」を持たせて欲しい・・・これが、私の願いでもあり結論のような気が致します。

まぁ、もっとも、、その為には、私の母親のような今現在の患者さん達は、「肉体的にも」「精神的にも」我慢せざるをえないんだよなと・・・一種の諦めというか、諦観にも似た気持ちも同時にあります・・・

最後に、今回のこの件で非公開という条件ながらコメントをして下さった方が全部で19人、メッセージを下さった方が全部で15人いらっしゃいました。同 意、不同意の割合は、やり取りを公開していない以上、私が申し上げても全く説得性がないと思うので致しませんが、皆さん、どうも有難うございました。

今日から、再び、母親がナベルビン・ジェムザールの6回目を点滴いたしますので、この、「エビデンス・標準治療」については、今回で誠に勝手ながら終了とさせてください。

皆さまや皆さま方のご家族の治療が、今後とも上手くいきますこと、心より祈っております!

市川