プロジェクトの中を覗いてみると、様々な人が参画しそれぞれの役割に沿った業務をこなしていくことがわかります。
縦の役割を見てみると、プロジェクトマネージャ、プロジェクトリーダー、アプリケーションエンジニア、テクニカルエンジニアと呼び名はいろいろあるにしても、縦の階層でも役割が細かく分かれます。
一方横の役割というと、テクニカルエンジニアという呼び名にしても、専門分野ごとに分かれています。
ネットワーク、データベースやアプリケーション、またプロジェクトリリース後の保守や運用といった切り口でもそれを担当する人が、それを作り上げていくプロジェクトの段階で早期に参加していたりします。
こういったピラミッドの階層の中で、自分の担当はここだというのがはっきり示されており、またその他の領域の役割分担がカチッと決まっているなら、さほど問題はありません。
が、そこまで大きなプロジェクトではない場合、多くの領域を兼任する羽目になることがあります。
「君、チームリーダね」
って言われて周りを見渡したら誰もいない・・・何てこともあるわけで、自分でタスクやスケジュールも管理しつつ、エンジニアがやるべき実作業もあわせてこなすなんてことはよくあります。
先月に、IPAのプロジェクトマネージャ試験を受けてきました が、その中でうたわれているのは、プロジェクトマネージャがすべき業務というのは、プロジェクトの中での制作工程における実作業などではなく、全体のタスクやスケジュール、個々の作業領域における要員や課題の管理だったりします。
氷山の一角なんて言葉がありますけど、その一角だけでも十分に大きいわけで、プロジェクトを氷山にたとえたときにプロマネがやることは、それでも十分に巨大なわけです。
が、先ほどのお話同様に
「君、今回プロマネね。あとは後ろの子と体制組んでプロジェクトを推進してね」
なんていわれて振り返ると、一人だけ新人がポツンと立っていたなんてこともあったりします。
もちろんその子に製造工程の全てのタスクを割り振るなんてことは無理な話です。
中堅クラスの人であればなんとか効率よく業務を遂行する方法を考えうるかもしれませんが、何もわからない新人であれば割り振った瞬間に空中分解するのがオチなわけです。
ということで、プロマネという名のワーカーがそこに誕生を迎えます。
結局のところプロジェクトの理想と現実には激しいギャップがつき物です。
それでも何とかしようと努力してみたりします。
(まともに取り掛かると火を噴くのは明らかなので、始めるにあたって「どうなってもしらねぇからな」ぐらいの捨て台詞は吐いておくことをお勧めします)
で、それでも何とかやりきって終えてみて、報告の際に文句のひとつでも言ってやろうかと思っていたら、
「幅広い分野でとてもよく活躍してくれた。今後も期待している」
なんてほめ言葉をもらったりして、なんか悪い気がしないでもない、でもなんかもやもやとした気持ちになったりします。
が、結局のところその後のプロジェクトも同じ道をたどる訳で、苦労するのは自分+少数のαとなります。
まわせないことをわからせないといけない、でもまわさないと評価につながらないという負のスパイラルが実際の現場では存在します。
縦でも横でも幅広い分野をカバーできるということはその人の能力の敷居をあらわしています。
ネットワークの構築はできるは、ミドルウェアの設定もでき、その上で要件に沿ったアプリケーションも作って動かすことができる、というのは確かにその人が広い分野で活躍でき、優秀な人という評価にはつながります。
そして、そういう多岐にわたる領域を兼任させることで、広い知識と技能を吸収できることもわかります。
が、本人からすれば、プロジェクトという限られたスケジュールの中ではどこかに専念させろという気持ちが沸いて出てきます。
こう考えると理想のプロジェクト推進ってなんだろう、という気持ちに現場の一兵卒としてこみ上げてくるものがあります。
教科書どおりに進められたプロジェクトというほうが数が少ないのではないでしょうか。
まぁ、教科書どおりに進められたとしても「ここは僕の担当ではありません」なんて人が出てきて、それはそれで大変な目にもあったりもするのでしょうが・・・。
※ 自分の中で、少し矛盾したことを書いたかな、と感じたりもしています。
ただ、プロジェクトを離れて冷静に考えた場合の考えと、その中で必死にやっているところとでは、こみ上げてくる感情が
大きく違うものだなと。
納期に余裕がある状況であれば、色々な経験をしたい(させたい)という思いが出てくるんですけどね。
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