ウェブ人間論 | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

ウェブ進化論を書かれた梅田望夫氏と日蝕を書かれた平野啓一郎氏、この異なる分野の2人が対談しできた本が、このウェブ人間論です。


Web2.0 というWebの進化が人間の生活や個にどのような影響が与えるのか、どのような方向に向かっていくのかと言う点をそれぞれの意見をぶつけ合いながら書かれています。

やはり異なる分野と年代であるが故に、意見が180度異なったりする部分もあり、それぞれの考え方に共感をもてながら読めると思います。


私がこの本を読んで考えさせられたのが、Web上で共有される情報について、それらを形成する元になる個にその情報のあり方について任せるのか、それとも人間やシステムによる秩序を保つためのルールなどが整備されるべきなのかと言う点です。

これについては、平野氏が本の中で、「リベラリズム」「コミュニタリアニズム」と言う言葉を使って説明しています。

この2つは、人間の理性を信じ、その理性から一定の秩序と言うものが形成される(リベラリズム)という考えと、人間そのものをあまり信じてなくて、人間に一定の秩序を保たせるにはルールが必要だ(コミュニタリアニズム)という考え方です。


検索結果の嘘、本当 」の最後に書いたWikipediaの創設者の一人が、新しい百科事典サイトを立ち上げ、その内容については専門家の監修が入るという点で、この考え方はあまり人間そのものを信じていない考え方になります。

ただ、この2つのどちらが正しいのかと言うのはまだWebが進化し始めた今では答えがでないところではないでしょうか。

現時点では、ルールを引かないが故に様々な問題や事件がおきたりもしていますが、その数が今後増えていくのか減っていくのかと言うのはまだ判断ができません。

匿名による殺人事件の予告などがあったりもしますが、そういったことに関しても犯人が捕まるというNewsが流れると、匿名とはいえ個人を特定する事は可能なんだなと、システム的なことに詳しくない人も理解できてきます。

そういったことが積み重なると、ある種ルールを形成しなくても理性が働いてきてWeb上ではある程度の悪い情報や利用は減っていくかもしれません。


Webの進化の過渡期にある今だからこそ、こういった議論がとても有効であり、今後のWebのあり方や付き合い方について考えさせられる本でした。


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