だれかが風の中で | 大山格のブログ

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おもに歴史について綴っていきます。
実証を重んじます。妄想で歴史を論じようとする人はサヨウナラ。

 私の道楽は写真と釣りです。釣りは漁業と違いますから、魚の売値の何倍も費用を掛けて魚を釣ります。史学と歴史道楽も違うはず。カネも名誉も求めず、探究心のみで史実を調査するような、そんな歴史道楽を愉しむ人を応援する歴史雑誌をつくりたいです。

 趣味の雑誌は誌面作りの約束事があります。たとえば模型雑誌では、塗装や組み方について詳細なレポートがあって、読者がその気になれば模倣できるような記事になっています。釣りの雑誌なら、仕掛けの作り方を載せ、やはり読者が模倣できるのです。釣り雑誌で「仕掛けは秘密」なんて記事が載るなんて、ちょっと考えられません。また、年季の入った漁師じゃないと釣れないマグロの一本釣りなんかは、そっくりそのまま真似してみろという記事にしたって仕方ないわけで、そこからなにか素人釣り師が参考にできることを抽出した記事にしなきゃいけません。

 いまの歴史雑誌は、そうした趣味の雑誌の作法を踏まえていません。先行研究を顧みない俗説がバンバン載るようでは、とうてい教養ともいいがたいのですが、歴史は一般教養だから趣味じゃないということなのでしょう、「とにかく書いてあることを信じろ、後追い調査なんかするな」というわけです。なぜなら、ろくに根拠史料を示さないのですから。

 歴史雑誌からの執筆依頼では先行論文や史料からの引用は少なくして欲しいといわれますし、出典を明示するために註を付けることも嫌われます。これらは書き手の問題ではなく、編集方針の問題です。これは改めた方が良いと思うのですが、出版業界の誰もが耳を貸しません。それを商業誌でやるのは無理だというのです。

 まあ、たしかに俳句だの純文学の専門誌が購読料のみで成り立っているかというと、かなり心許ないです。それでも細々と続いているのは広告料も関係しているのでしょうし、版元の意地で続いているということもあるかと思います。

 ただ、これだけはいえます。

 趣味の雑誌は無理に間口を広げようとしません。無関心な人は眼中にないのです。そこへいくと、昨今の歴史雑誌は歴史に無関心どころか、史実を嫌っている人たちにも迎合しています。流行のゲームや大河ドラマの人気に便乗しようとしています。そうすれば10万部だって夢じゃないなんて思っているのでしょう。しかし、趣味の雑誌は純粋にその道が好きな人のためにあるべきものではないでしょうか?

 どうやったら目指す史料にアクセスできるか、そんな筋道を示しながら、しかも面白く読める記事を満載した歴史雑誌が一つあっても良いでしょう。いや、あって然るべきです。

 アタリマエの雑誌という体裁で書店流通を目指すには、先立つものが必要です。遺憾ながら私には商才がないので、いきなりそこを目指しても失敗は目に見えています。そこで考えたのは、webマガジンを創刊することと、もう一つは予約制のオンデマンド出版です。この二つの方式は、いずれも少額の資金で始めることが出来ますし、商業的に失敗しても個人で負担できる範囲で損失を食いとめることが出来ます。

 まずは実力ある書き手に賛同していただけるかどうかがカギですね。すでに声を掛けさせていただいた人もいますし、これから呼び掛けたい人も何人かいます。どのみち儲かる話ではないので、たいへん心苦しいのですが、当面は無償協力を求めることにならざるを得ません。私自身も大いに不安ですけれど、皆様の関心が高ければ一石を投じるくらいのことは出来るでしょう。どうか、この動きに関心を持っていただきたいものです。

 どこかで、だれかが、きっと待っていてくれる。

 いまは、ただ、そう信じて歩むばかりであります。


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