今日はとっても嬉しいニュースがあります
さくらんぼ学習担当の尾崎先生が
さくらんぼを利用しているJ君との
普段のなにげない会話で感じたことを表現した詩が、
平成２８年度人権問題文芸作品「のじぎく文芸賞」の
優秀賞を受賞しました
昨年、修学旅行へ行った中学三年生のJ君。
尾崎先生の
「何が一番思い出に残ってる？」
という問いかけに
「夕焼け」
と答えたJ君。
首里城でも美ら海水族館でもなく
毎日眺められるはずの夕焼けが
一番の思い出というJ君の気持ちを
尾崎先生の言葉で詩に表現しました
「夕焼け」 尾崎順子
思い出は 夕焼け？
修学旅行の思い出だよ
首里城へは 行かなかったの
美ら海水族館は よかっただろう
どこもあんまり覚えていないって？
Ｊ
きみは沖縄へ 夕焼けを見にいったの？
高台のきみの家なら
瀬戸内へ沈む夕陽が よく見えるだろう
なのに
夕焼けが きみの思い出？
わかってるやろう
おれが一人でどこへも行けへんってこと
車椅子に体を縛りつけて
家と 学校と この施設を
来る日も来る日も 行ったり来たり
おれの見てきた夕焼けは
送迎車の遮光ガラスにうつる
いちまいの赤黒い空やったんや
夕焼けが
あんなにでっかくて
あんなに赤かったなんて
知らへんかったよ
真栄田岬のキャンプ場で
おれは夕焼けに
車椅子ごと染まっていったんや
おれは夕焼けに
車椅子ごと吸い込まれていったんや
修学旅行で おれ
ほんまの夕焼け はじめて見た
十五年かけて
最高の夕焼けに 出会ったんや
修学旅行の思い出は 夕焼け
わかったよ J
それは...
きみらしくて いいなぁ
読み終わると、胸が締め付けられました。
毎日当たり前のように見る夕焼けが、
J君にとっては、いまいちな赤黒い空だったなんて。
いつも身近に接しているのに気付かなかったことを悔います。
"当たり前" なことを "当たり前" と思い込まず、
相手に寄り添って考えることが大事なんだと
この詩は教えてくれました。
一人では小さな力でも、大勢の人の意識が変われば大きな力になります。
これからも人の役に立つことをしていき
人として本当に正しい道を選べる人間になりたいと
私自身の人権啓発になりました。
いつも前向きで、ネガティブな発現を一切しないJ君
J君と尾崎先生の強い信頼関係があったからこそ
ここまで踏み込んで書けたのだと思います
そして、もう１つ嬉しいニュース
高校入試を控えていたJ君でしたが、
阪神昆陽高等学校に合格しました
法律改正で合理的配慮の提供が義務付けられました。
※合理的配慮とは•••障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障されるとともに、教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせておこなわれる配慮のこと。
J君は改正後の初めての受験生。
「私なんか、受けたくても受けられなかった」
という車椅子の先輩の重い言葉と、
「私たちの新しい道を切り開いて欲しい」
という車椅子の後輩の想いを背負って
作文をパソコンで入力する練習を繰り返しました。
人一倍努力をして挑んだ受験。
見事合格という結果で本当にすごいです
学校側も初めての試みで、これからもっと大変なことがあると思いますが、
J君ならきっと大丈夫だと信じています
のじぎく文芸賞では、他にも素晴らしい作品がたくさんありますので、
是非ご覧になってみて下さい
では