<「ベイサイドホテルにて1」の続きです。>
「こんな物しかなくてさ」
そう言いながら河原さんが
鞄の中から取り出したのは、
木で出来たピンクの小さな箱だった。
「わたしにくれるの? ありがとう!」
わたしのことを考えながら、
お土産を選んでくれた
その気持ちがうれしかった。
昔は高いもの・ブランドもの嗜好だった。
あの頃、民芸品などもらっても
喜べなかっただろう。
でも今ならどんなものでも
彼がくれたものなら
うれしいと思える。
ソファに坐ったまま、キスを受け入れる。
この間、坐ったままの姿勢ですると
感じると話したことを
覚えていてくれたのだろう。
「シャワーを浴びる前に
少しだけXXさせて」
この間から何回も
同じことを懇願されている。
だからこの日も、きっとまた
お願いされると思っていた。
「やだぁ… だめ」
「少しだけ」
「えー、だめだよぉ。そんなの」
だめと言いながら、強く否定できない
わたしがいた。
彼がしたいことに応えてあげたい
という想いと、恥ずかしさが葛藤する。
「これ、なんていうの?」
「レギンス?」
「とりあえず、これ脱いじゃおう」
「えー」
彼の頭が下へと移動する。
「だめぇ」
かろうじて言葉では拒絶したけれど、
躰は全く逆のことを要求していた。
シャワーを浴びていないのに、
こんなことをされるなんて。
考えただけで、気が遠くなった。
「好きだから……… 出来るんだよ」
一瞬だけ動きを止めて、
脚の間から彼が言った。
でも聞き取れたのは、
最初と最後の言葉だけ。
その言葉に耳を傾けるだけの余裕は
わたしには残されていなかった。
(続く)
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