して欲しいこと | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「足フェチ」の続きです。>

「して欲しいことがあったら、
なんでも言って」

そんな彼の言葉に対する返事。

して欲しいことはひとつだけ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
差出人: ゆりな

時間を気にすることなく、
ずーっとふたりだけでいられたら、
それでいい。

あとは一緒に逝って欲しい。

もし逝けそうだったら、
次に逢うときは危険日じゃないから、
そのときは中で出して。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


二回ホテルに行って、どちらも
最後まで逝かなかった彼。

「もう年だから」

「逝くと眠くなるから」

そんな言いわけをされたけど
腑に落ちずにいた。

お願いしてそれでも逝かなかったら
わたしのせいだ。



彼が海外ロケへ旅立つ日。

朝、一本仕事をこなして
それから空港へ向かうと聞いていた。

飛行機の待ち時間を見計らって
メールを入れる。

まわりにはたくさんの
スタッフがいるはず。

だから返事は期待してなかったのに、
ちゃんとが返ってきた。

短いメールを何往復かして、
彼は空の向こうへ旅立って行った。



彼が日本からいなくなるのは、
たったの5日間。

なのにその5日間がとてつもなく
長い時間に思えた。

自分でもバカなことだと思いながら、
小さな賭けをしてみた。

出張先でわたしのことを
思い出してくれるかどうか。

そんなことで彼の気持ちを
計れるわけないのに。



今か今かと待っていたわたしの元へ
彼からの連絡が入ったのは、
出発した翌日の夜。

喜び勇んでメールを開く。

ロケの様子を伝える文章とともに、
添えられた数枚の写真。

雲ひとつない快晴。

真っ青な空。

どこかの田舎町。

ロバをひいた見知らぬおじさん。

元気そうな彼。

そのとなりには俳優さん。

なんだか彼じゃないみたい。

しばらくの間、穴があくほど
それらの写真をながめていた。

でもせっかくもらったメールなのに、
当たり障りのない文章が
どこか物足りない。

これってもしかして
仕事関係の人に出したメールの
コピーじゃないの?

そんなことまで思う始末。

ハートマーク付きのメールに
慣れてしまった証拠だ。



あのときは勘ぐってしまったけど、
今なら素直に受け止められる。

あのメールはわたしのために
書いたものだって。

おそらく仕事モードの合間に
書いてくれたのだろう。

だからどこか素っ気なく感じたのだ。

でもどんな内容だって、
時間を割いて書いてくれたことに
変わりはない。

欲張りだったね、わたし。



数日後。

彼は予定通り、出張から戻ってきた。

その翌日にはデート。

それがその夏、ふたりで過ごす
最後の時間となった。

(続く)

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