何の日 | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「結婚しても」の続きです。>

「あのさ…」

ためらいがちに河原さんが口を開く。

そのとき彼の顔が一瞬、
赤くなるのを見逃さなかった。

どうしたんだろう。

不思議に思っていると、
こんなことを言われた。

「白浜行ったとき、ゆりちゃん
何の日だったか覚えてる?」

  !?  

うっそー。

白浜に行ったことは覚えていたけど、
そんな細かいことは忘れていた。

「えーーー! 生理だったのぉ?
信じられない!

高いお金払ったのに、
なんのために行ったのかわからないね」

一気にまくしたてるわたしに、
彼は笑っていた。



社内恋愛中だった2年目の夏。

「お盆で会社が休みなんだから、
海へ行きたい。

でも白いビーチじゃなくちゃイヤ。

泊まるのはホテルがいい」

そんなわたしのわがままから
決まった2泊3日の旅行。

一番高くて、一番混んでるとき。

旅館や民宿をのけて、
ようやく見つけたホテル。

確かひとり1泊3万円だったような。

高い割には豪華でも何でもなく、
それどこかかなり古びた建物だった。

料理も部屋も平均以下。

当時、20代だった河原さん。

高いお金を払った上に、
大渋滞の中を長距離運転させられて
挙げ句の果てに、

「ごめーん。今日は出来ないわ」

なんて言われたら、
忘れられないのも当たり前かな。



本当に不思議なほど、
彼はいろんなことを覚えていた。

わたしが持って行った
全てのデート写真を記憶していた。

たった一枚だけを除いて。

「これは持ってないな」

彼が差し出したのは
クリスマスの写真だった。

横浜のホテルでフルコースの
ディナーを楽しんだとき、
レストランのサービスとして、
ポラロイドで撮ってもらったもの。

一枚しかないから、
わたしがもらったのだろう。



食事も終わりに近づいた頃、
彼が腕時計に目をやった。

「あ、まずい」

9時半を少しまわったところだった。

「まだ、あたしは大丈夫だよ」

「会社に戻らなくちゃいけないんだ」

「えー? これから?」

「ロケの準備しなくちゃ。って言ったって、
たいしたほどのものじゃないんだけど」



レストランを出て、駅までの道を
途中まで送ってくれた。

「大丈夫。この先はわかるから」

「帰って来たら連絡するね」

「気をつけて行って来てね」



別れた途端、急にさびしさに襲われた。

一緒に過ごした時間は楽しかったのに、
何故だろう。

気がつけばあの言葉を思い出していた。

「奥さんとしようと思えば出来る」

彼の気持ちは一体、どこにあるんだろう。

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