はいどうも!石人です!

春の大会「グランドスラム」に参加し、最終選考にまで残った「King Salmon/鮭イクラ丼(Ver 2.0)」ですが、惜しくも入賞を逃してしまいました。

今回は、その原因となった問題個所である中間ポイント前のクラウンエリアについて、石人さんにお伺いいたしました(自作自演)。


――最終的に「グランドスラム」での入賞は逃してしまいましたが、その辺についても一言。


石人 さすがに発表直前までは「あわよくば入賞」とか期待を抱いたもんだけど、そんなに世の中甘くなかった(笑)


――何故、「鮭イクラ丼」が入賞を逃してしまったのか、石人さんの見解を聞かせて下さい。


石人 さすがに今は5月だからねー。「旬」じゃなかったという事だろう(笑)


――真面目なご意見を(笑)


石人 まぁそれは冗談だとしても、正直、あのコースに関しては「評価されるべき時期を逃してしまった」という無念があった。

 まぁ、2位に入ったコースも去年の12月の作品だからあまり大きな声で言えないんだけど、「鮭イクラ丼」の初版をアップしたのが11月23日だったから、正確なことは分からないけど、多分、全130コースを見渡しても屈指の古さだと思うのよ。

 11月当時は物珍しさで何とかなったような要素も、それから半年経った今年の5月じゃあ、誰もが当たり前にやっているような要素なわけで。サムネにしてもギミックにしても。

(中略)

――「鮭イクラ丼」のコース構成についての反省点についてもお伺いさせて頂きます。
 Miiverseに寄せられたコメントを見る限り、最後のボス戦においてはおおむね高評価だったのに対し、中間前のクッパクラウンを使ったギミックが「わかりづらかった」「先に進めないのでリタイアします」といった否定的な意見が散見されました。


石人 あのエリアはなぁ…。
 鮭のコース中でも一番の悩みどころだったな。プレイヤーだけじゃなくて作者としても(笑)




 あのコースは現在のVer2.0に至るまでに3回もの修正再アップを繰り返しているんだけど、そのうちの2回はクラウンエリアの修正に費やした記憶がある。

 正直、あの場所に関しては、「中間前の山場」という位置づけで、プレイヤーに少し知恵を絞って欲しいと思って設置したんだよな。

 そもそも、鮭という魚自体が西洋では知恵の象徴として扱われているらしいし、海外のゼルダ人気を考慮した場合、俺のコースにそうした要素を入れても面白いんじゃないかと思って挑戦したんだけど…。


――結果は散々でしたね。

石人 ほんと、笑うしかねえよ(笑)

――具体的な反省点について、今現在思う所はありますでしょうか。


石人 まず、あのエリアにおける最大の欠点を二つ述べたいと思っている。

 一つ目は、謎解きエリアなのに一画面に情報を集約させていないこと。
 二つ目は、謎解きを楽しませるはずなのに、ファイアパックンなどの敵を設置してしまったせいで緊張感が増してしまい、謎解きに集中させる配慮を怠ったこと。


 他にもあるんだろうけど、謎解きエリアとしての悪手を二つ踏んでしまっているから、あの場所が大多数のプレイヤーから評価されなかったのは今考えても必然だと思っている。


――「クリア方法が多数ある」というコース内コメントが混乱を招いたという印象も見受けられました。


石人 それはね、前バージョン(Ver1.2)をアップするときに、「あのクラウンエリアを正規以外の方法でクリアされたらたまらない。きちんとギミックを見て貰わないといかん!」と思ってクリア方法をたった一つに絞ってしまった結果、Ver1.1で17%台をキープしていたクリア率が8%切ってしまったことで、「しまった、やり過ぎた」と思って修正したのがきっかけだったんだよね。





――Ver1.1はエリア内の不具合があったせいで簡単に突破できる内容になっていたらしいですね。

石人 不具合込みでクリア率17%台をキープしたところで評価に繋がらないって考えてしまったんだよな。
当時はいいね率5割近い数字を確保してたんだけど、正当な評価じゃないだろうってことであえて更新したという。
 そしたら今度はクリア率もいいね率もガクッと下がってしまった(笑)


――ですが、当初はクリア方法を一つに絞ったVer1.2から更新する予定はなかったみたいですね。


石人 クリア率が下がろうが何だろうが、これが決定版だって思ってアップしたからね。
 生挑戦に投稿したのもVer1.2の方だったし。
 そしたら、クラウンエリアに入る直前で詰みポイントが発覚してしまったから、急いで修正してVer2.0の更新作業に取り掛かったんだよな。
 別に誰かに指摘されたわけじゃなかったけど、これじゃいかんと思って。

 まぁ、そのついでという訳じゃないけど、クラウンエリアのクリア方法を一つに絞った影響でクリア率が10%近く下がってしまったから、何とかあのエリアを突破させてあげたいと思って、クラウンエリアのクリア方法に幅を持たせるようにしたんだよな。



――しかし、結果的にクリア方法に幅を持たせてしまったのが一部のプレイヤーに嫌われてしまった形となりました。


石人 俺としては、人生と同じように「答えは一つじゃない」というのを表現したくて幅を持たせたつもりだったんだけど、純粋に謎解きとかが好きな層から全く理解を得られなかったのが痛かったんだよな。

 「答えは一つじゃなければいけない」というのがこの世界のルールなんだって気付かされた。
 結果的に、入賞を逃してしまった最大の原因がそれだったんだろうし。

 ついでにもう一つ付け加えておくと、クリア方法に幅を持たせたのは、当時の俺の立ち位置にも理由があったんだよね。


――と言いますと。


石人「鮭イクラ丼」をアップする前の俺は、メダル1枚時代という今考えても地獄としか言いようのなかった苦しい日々を過ごしていたわけだけど、具体的には「自分のコースを最初から最後までプレイしてもらうためにはどうすればいいのか」というのを日々模索していた時期だったんだよな。

 「鮭イクラ丼」の前に、「Deep Sea Fishbones/ししゃも定食」というフィッシュボーンを主体とした水中コースをアップしたんだけど、クリア率を上げるためだけに最後のボス戦の中間ポイントの辺りでわざとファイアフラワーを設置したことが、とある人から「ゴリ押し推奨じゃないのか」という指摘を受けたんだよね。


――とある人、ですか(笑)
まぁ、ぶっちゃけその方は、レベルの高かった今大会でも入賞を果たすほどの実力者ですから、指摘自体は間違いなかったとは思いますよ。

石人 うん。当時の俺もその辺は納得していた。

 本当は自分好みの難易度に仕上げたかったんだよね。「ししゃも定食」も「鮭イクラ丼」も。

 だけど、デビュー作の「Grilled Fish Lunch/炙り秋刀魚の焼魚定食」のいいね数が当時でもたったの4だったし、簡単にしようとして難易度緩めに調整したはずの2作目の「SUKIYAKI」もいいね数たったの1。
さらに簡単、爽快を目指した3作目の「Egg Park (With Yoshi)/玉子焼き定食」に至っては、初版はいいね数0で削除せざるを得ず、コース作成の方向転換を意識せざるを得なかった。

 そうした中で作った「ししゃも定食」は、完全新作としては1か月半ぶりとなるコースだったから、何としても最後までクリアしてほしいと思って、断腸の思いでファイアフラワーを設置したんだよね。

 結局、あのコースは現在でもいいね数57止まりという微妙な結果で終わったから(※2016年5月23日時点)、今の立場で考えれば、中間ポイントすぐにファイアフラワーを設置してゴリ押し推奨したのは間違ってたんだろう。

 だけど、メダル1枚時代の俺にとっては、藁をも掴む思いでいいね数を確保したいという思いがあったから、その為の大前提として「まずは最後までプレイしてもらう」という配慮に徹したわけだ。

 もちろん、簡単なコースを遊ばせたところでいいね数を確保できないという事は2作目の失敗で理解してたから、歯応えのある難易度で最後まで遊ばせるためにそうした措置を取ったんだよね。
否、取らざるを得なかったというか。

 「立場によって提供するコースの趣旨を変えろ」というのは俺が実体験から得たマリメでの主張でもあるし、メダルの少ない時期は、とにかく100マリキッズをはじめとした一般プレイヤーからパスされないことを前提にコースを作らなければ、満足な評価を得られないからね。

 ――つまり、現在の「鮭イクラ丼」のクラウンエリアのクリア方法に幅を持たせたのも、そうした背景があったからなんですね。

石人 その通り。まぁ、結果的にはどっちもどっちだったけどね。
 ただ一つだけ言えるのは、メダルを獲得して顧客を増やし、信頼を得ていった中で、いつのまにか自分の立場が変わってしまったんだなという事を改めて痛感させられた。

――単純にノーミスでクリアさせればいいという訳ではなく、リトライ前提でもいいから純粋に遊び応えのあるコースを作らなければいけなかったという事ですね。


石人 そう。実際に、上位に入ったコースの中には難易度むずかしい認定されたコースも結構あったからね。

――思ったんですが、今大会に応募する前にクラウンエリアをばっさり削除してよりアクション性の強い「鮭イクラ丼」を再投稿していれば、もしかしたら入賞だって狙えたんじゃないですか?


石人 それはない。断言する。そんな単純な話じゃないよ。
 
 あの中間前のクラウンエリアを設置しなかったら、間違いなく「鮭イクラ丼」は入賞はおろか、一次予選を突破することすら叶わなかっただろうな。
 
 客に媚びて確実に結果を得られる保証があるんだったらいざ知らず、もしそうしたクラウンエリアのない「鮭イクラ丼」をグランドスラムに出して、仮に1次予選も突破できなかったとしたら、一体俺はどうしろって言うんだよ?

 あのエリアを外さなかったのは俺の主張でもあるわけで、大会に参加するにあたって、良い部分も悪い部分も含めて、あえてそのまま投稿することで、今後に向けての課題が見えてくるんじゃないかと思ったんだよね。
 少なくとも、俺自身はあのエリアの姿勢が「有り」だと思ってアップしたわけだから。

 まぁ、これで本当に一次予選も突破できなかったら、俺の考えが間違ってたという事なんだろうけど、なんだかんだ言ったって、事実としてグランドスラムの最終選考まで残ってしまった訳だから。


――でも、事実として入賞は逃した。
もしかしたら、悪い言い方ですが、下から数えた方が順位は早かったかも知れません。


石人 まぁ、俺としては洗練されたコース群の中で数少ない「異物感」を出せたコースだと思っているから、その辺に関してはしてやったりと思った部分はある。

 確かに、入賞を狙うコースとしては「クリア方法が難解」なコースは不向きだなと思ったよ。

例え難易度が高かったとしても、それはあくまでプレイヤーの腕前によるものであり、頑張れば何とかクリアできるという調整だったら、本当に面白いコースを求めているプレイヤーは最後まで付き合うんだよね。よほど高難度でもない限り。

その辺は俺も最終審査に参加した時に痛感した部分でもあったから、他のコースを審査していた頃から「ああ、俺のコースの入賞はないな」って観念した部分はあった。

 ただ、「鮭イクラ丼」というコースを投稿するにあたって、当時の自分がメダル1枚時代を乗り越える為に苦心した部分を投げ捨てたところで、生挑戦に投稿して落選した頃の俺の無念は晴らせなかったと思っている。

 あの当時の自分の思いをそのままぶつけなかったら、そもそも「鮭イクラ丼」を投稿する意義はなかった。

そうした尖ったコースなのにもかかわらず、最終選考にまで残ることが出来たというのは本当に収穫だったし、結果自体には満足しているな。例え入賞を逃したとしても。


―いわば、グランドスラムという大会を私的利用したわけですね。個人の無念を晴らすためだけに。


石人 非公式の大会に投稿するのに公的も私的もないけどな(笑)
そもそも公務でも生業でもないわけだし。

 俺としては、「鮭イクラ丼」の現在のバージョンで何としてもいいね数100を突破したいってずっと思ってたんだけど、4月上旬当時だと、仮にこのまま新作を作り続けたとしても、鮭がいいね数100を突破するのは難しいんじゃないかと思ったんだよな。

 結果的にはいいね数100はおろか、170まで伸ばすことが出来たから、本当に「グランドスラム」様様だよ(笑)


――(笑)


石人 まぁ、話のついでで言っておくけど、本当は3月14日に「麻婆茄子定食」が運営から削除されてなかったら、「鮭イクラ丼」じゃなくてそっちの方を投稿したかったんだよね。

――なんと(笑)



石人 「麻婆茄子」の方はアクション主体のタイムアタックコースとして作成したから、難解な要素のある鮭よりはプレイヤーに伝わる部分が大きかったと思う。
 
 事実として、あのコースは「つくる王」の一次選考を通過したわけだし、俺のコース中では一番大会向きだという自負は今でもある。

 元々、アスレチックとかアクション要素の強いコースは大好きだったから、本当はそうしたコースをもっとたくさん作りたかったんだけど、これがまた不特定多数からは全く評価されなかったんだよな(笑)



 「麻婆茄子」をアップした当時は鮭よりも評価が芳しくなかった。
いいね率も初日で3割切ってしまったし。
俺にはアスレチックはまだ早い、俺が許してもプレイヤーが許さないなって実感した。時期尚早だったって。
 
 だから、今年に入ってからは「おせち料理」「焼き鳥」のような、サムネイル主体のテーマコースを作ることに専念したんだよね。

 自分のやりたい事をやりたかったら、まず人に認知されなければ始まらないから。
 次回作の「サンドイッチ」もそうした認知目的のコースだし。

 だけど、比較的ライト向けのテーマコースで石人というクリエイターを知った人が次のコースを遊ぶときの受け皿として、「麻婆茄子」は鮭以上に大きな役割を果たしていたんだよ。
 海外人気も一番高かったし、実際、もろに影響を受けていたコースもあったからね。

 だからこそ、運営に「麻婆茄子定食」を削除された時は本当に悔しかったし、今大会で俺の存在を知った人たちに一番遊ばせたかったという思いは今でも抱いているよ。

――また作ればいいじゃないですか(笑)


石人 そんなにポンポンと作れたら苦労しねえよ(笑)

 まぁ、タイミングが合えば必ず作るよ。一般的に評価されるかされないかは別として。