RCC元アナ 最高裁逆転無罪判決 もう一人の英雄 | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

昨夜、先日告知した 「私は無実です ~防犯カメラで真実は見えるか~」 が広島で放送された。
関係者以外にはあまり知られていないが、この事件にはもう一人の弁護士が携わっている。
検察出身の弁護士であり、第一審と第二審の弁護に携わった北村明彦弁護士だ。
     

そもそも、最高裁では法律審であり、その意思決定はブラックボックスで窺い知れない。
ただし、審理の過程で、第一審と第二審の精査も併せて行う筈だ。
マサカ、地裁・高裁を一旦リセットして最高裁に臨むわけではあるまい。
おそらく、従前に弁護側がどのような立証を行ったかも審理の対象であろう。
 
その最高裁が、判決を書いたということは、従前の審理で弁護側の瑕疵がなかった事を意味する。
私は仕事柄、結構多くの裁判を見てきているが、法律に関しては所詮、門前の小僧でしかない。
だがその小僧の目から見ても、弁護士のエラーは散見される。
単なるケアレスミスから、事実認定の誤りなど裁判の根幹に関わるものまで様々だ。
素人目から見ても 「あちゃー」 といった感はしょっちゅうである。
仮に、最善の弁論を行ったところで、従前にエラーがあれば棄却されていたかもしれない。
最高裁の意思決定がブラックボックスとはいえ、このことは容易に想像がつく。
    

ところで、最高裁で弁論が開かれるとメディアが報じたとき、北村弁護士の姿はなかった。
また、弁論当日、判決当日の報道にも姿はなかった。
どういった経緯で北村弁護士が最高裁で外れたか、私にはわからない。
一般人の依頼者からすれば第一審と第二審で結果を出せなかった。
そういった観点からすれば、戦犯に見えたのかもしれない。
しかし、目立たないにせよ、緻密な弁護活動を行ってきた事は事実なのだ。
現に、最高裁の弁論では、防犯カメラ映像に対して検察論告で次のように述べている。
 

「犯行を行ったとも、行わなかったとも断定することができない」
 

一審、二審では防犯カメラ映像を犯行の証拠ととして一貫した論告を行ってきた。

検察は、最高裁でこれまで一貫していた論告を変遷させたことになる。

ところで、第二審で、私の鑑定に対する対抗鑑定は出されていない。
先の論告では、科捜研で鑑定不能との結論が出されていたからだ。

検察が、私の鑑定を弾劾する為には、こう言うしかなかったと思われる。
そこまで、検察を追い込めることができたのは、検察出身の北村弁護士だからこそであろう。
    

講談噺にせよ、小説にせよ、派手な結果は取り上げられやすい。
しかし、その派手な結果を出す陰にはコツコツとした努力が往々にして介在しているものだ。
今回の逆転無罪で私は、目立たなくとも地味な努力に光を当てる 「語り部」 となれた。
このことは大きな喜びである。
  

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ところで、この事件で広島の科学捜査研究所が証拠の防犯カメラ映像について解析不能と結論づけた。

しかし、私はこの防犯カメラ映像を鮮明化処理させ、解析に成功している。

なぜ、民間にできて科捜研にできなかったのか・・・・・・・

この件については別の機会に書く。

 

FAL 代表理事 石橋宏典