交通事故とフロントガラス | 事件鑑定人のブログ@鑑定人イシバシ

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私が事件鑑定人としてこれまで経験したことを書きます。
特定を避けるため、一部、ぼかしたりフェイクもありますが、概ね実体験です。

スポーツカーと衝突し自転車の男性死亡 車は大破
テレビ朝日系(ANN) 2/14(火) 10:31配信
 名古屋市で車と自転車が衝突し、自転車に乗っていた高齢の男性が死亡、車を運転していた男性がけがをしました。
 14日午前4時半ごろ、名古屋市中村区で男性と自転車が道路に倒れ、車が壊れて止まっているのを近所の人が発見し、119番通報しました。自転車の男性は70歳から80歳ぐらいで、病院に運ばれましたが死亡しました。また、車を運転していた20歳ぐらいの男性はけがをして病院で手当てを受けています。警察は、車が自転車と衝突した後、道路脇の柵にぶつかった可能性もあるとみて調べています。
 
 
名古屋で自転車と車両が衝突し、自転車の高齢者が死亡している
この事故で特徴的なことは、フロントガラスが裂けている点だ。
人体と車両フロントガラスが衝突すると蜘蛛の巣状のひび割れが生じる。
自動車のフロントガラスは二枚のガラス板に樹脂を挟んだ合わせガラス構造だ。
このため、滅多なことでガラス自体が裂けることはない。
概ね、70~80km/h以上の速度で衝突した際に部論とガラスが裂ける。
合わせガラスの破損状況は速度を推し量る指標だ。 
 
 
 
余談であるが、フロントガラスの強度にまつわる逸話がある。
昔、暴力団抗争時に手榴弾が車内で暴発する事故があった。
この時ですら、フロントガラスは窓枠から離脱したが裂けていない。(前掲画像)
勿論、破片型手榴弾の爆風と人体との衝撃は性質が異なるものだ。
しかしながら、フロントガラスの素材が如何に、裂けにくい構造であることがわかる。
今回、フロントガラスが大きく裂けた事実は事故の衝撃の大きさを物語るものだ。
危険運転を視野に入れた厳重な捜査で臨むべきであろう。 
   
  
  

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末尾になりましたが、このたびの事故によって亡くなられた方、
ご遺族、関係者の皆様に、衷心よりお悔やみ申し上げます。
また、負傷をされた方々には、一刻も早い回復をお祈りいたします。

 

FAL 代表理事 石橋宏典