シベールだった
ジョン・ギラーミン監督作品、アメリカ・フランス
パトリシア・ゴッジ様、メルヴィン・ダグラス様、ディーン・ストックウェル様、
グンネル・リンドブロム様、レスリー・サンズ様他
かもめと会話する毎日を過ごす孤独な少女と、
警察に追われた若き男との純粋でまっすぐな愛情が観る者の胸を打つ。
フランスのブルターニュ地方に元判事の父親、年若い家政婦と共に暮らす
情緒不安定な10代の少女アニネス。家人以外の者との交流を禁じられている
彼女の寂しさを紛らわすのは、古びた人形と海辺に集うかもめたちだけだった。
やがてアニエスは「自分だけの」かかしを作って庭に据え、
そのかかしをまるで恋人であるかのように遇する。
ある嵐の夜、一家の庭に逃げ込みかかしの服を拝借して気を失っていた脱走犯を、
アニエスはかかしの化身だと思い込む……。(Amazonより引用)
殆ど作品情報知らずに、よくこのDVD買ったなあ・・・と思うんですけど、
美しいジャッケット写真に惹かれたんですね。
『タワーリング・インフェルノ』(1974)『キング・コング』(1976)、
『ナイル殺人事件』(1978)のギラーミン監督と確認してませんでした。
いやもう、全くイメージが違う。舞台もブルターニュの田舎。
冒頭、『ゴッドファーザー』か!?なオープニングで、
お姉ちゃんがお嫁に行ってしまう。
図らずも突き飛ばした警官が重傷を負い、その後死亡してしまう、
脱獄囚の男と、子供のままの少女。
海岸線に立つ館、モノクロで捉えられる風景の美しさ。
森と海の違い、飛行機がないこと以外、『シベールの日曜日』と同じ印象、
と思ったら、少女、シベールを演じた方でした。
『シベールの日曜日』が1962年の作品で、多少の年月が流れていて、
そういう時期は成長が早いから、シベールより「女性」に近い少女。
アメリカ、フランス合作ですし、監督は英国。
でも、う~ん、おフランス人はこういう顔付の女性好き?という、
少女が時折見せる、お若い頃のジュリエット・ビノッシュ様似な顔のショット多し。
話の流れもシベールの影響大きかったのかな?という気がしました。
少女が乙女になりつつあるので、二人の間に芽生えたものもあるけれど、
少女は自分で精神病院に入れて!と言ったこともある状態。
普通には暮らせない。ましてや男は終われている身。
少女の状態から、素直な愛情表現のない父。
父崖下に投げて壊れた人形は少女自身?
その父の古着を貰い、案山子を作り着せる少女。
お父ちゃん、手袋もくれてるし、案山子の完成度かなり高い。少女器用!
逃げてきた脱獄犯がその服を着ていることで、案山子に命が宿ったと思う。
少女の、父親への愛の渇望と同時に、恋の芽生えも。
ラストの父が青年に逃げろと叫ぶのも胸に迫ります。