「戦争は痕跡を残す」
「レイルウェイ 運命の旅路」（オーストラリア・イギリス）116分
コリン・ファース様、ステラン・スカルスガルド様、真田広之様、ジェレミー・アーヴァイン様、
石田淡朗様、ニコール・キッドマン様、泉原豊様他
第二次世界大戦時、日本軍が、タイ・ビルマ間を繋ぐ泰緬鉄道の工事を、
イギリス軍捕虜を酷使して遂行する。
実在の人物のイギリス軍将校エリック・ローマクス様と、日本軍通訳永瀬隆様などの実話が、
ローマクス様の自伝を原作として、映画化されています。
1980年、鉄道での一人旅で、たまたま乗り合わせ、話が弾んだエリックとパトリシア。
鉄道の知識豊富なエリックはパトリシアに、旅のおすすめを色々教える。
別れて帰った後、彼は自分が恋をしたことに気付き、
彼女のとる筈のルートならこの駅で会える！？と、駅に走り、何と再会を遂げる。そして結婚。
新生活が始まると、そこまでの明るいテンポから、一転。
悪夢に異常な程うなされる夫、残忍な絵が描いてある画集やしまい込まれた軍服を見つける妻。
債権回収者に切りつけるなどの奇行もあり、パトリシアは、夫の軍友フィンレイに、
過去の話を聞きに行くが、始め、彼は「戦争は痕跡を残す」と、彼女に事実を語らない。
彼らの「沈黙の掟」など認めないと食い下がる彼女が言い募るのに、遂に答えるフィンレイ。
シンガポールで日本軍捕虜となった、フィンレイを中心とした、技術兵たち。
戦局を知ろうと、手製のラジオを作ったのが発見され、
自分が作ったと名乗り出て、一人罪をかぶったエリックが尋問される。
ありのままを語るエリックだが、これは送信機だ、どうやって何を送信した、と、
当て外れの質問、拷問が続く。そして終戦。生きて帰還できたものの、
戦争の記憶が彼を苛む。「エリックが楽しそうに笑ったのは、君と出会った時だけだ」。
その後、フィンレイは、新聞で通訳の永瀬が生きて、今もタイの「拷問の場」カンブリに居ることを知る。
夫妻にそれを伝えた後、縊死するフィンレイ。
嗚呼、このフィンレイを演じるのが名優ステラン・スカルスガルド様。最高の役者さんです。
・・・しかし、お会いする度に「あ、マルティン・ヴァンゲル」と思ってしまう、「ドラゴンタトゥ症候群」？
エリックはマルティンフィンレイに渡されたナイフを手に、現地に赴く。
自分が話した、ラジオで聞いた事実に、「我が軍が敗北したら私は名誉を守るために死ぬ」と、
お前は言ったじゃないか、なぜ生きている！？激しく問い詰め、無抵抗な永瀬に、
自分がされたと同じ拷問、フィンレイのナイフによる殺害を行おうとするが出来ない。
永瀬は、「通訳」と言い通すことで、戦争犯罪者とされるのを免れ、
その後、鉄道の工事現場跡を辿って、どれだけ無残なことが行われたのかを知る。
戦局にしても、真実を語っていたのは、軍ではなく、あの捕虜の方だった。
現地の軍が知らされていたのは、嘘ばかりだったのだ。
戦後50年を経て、エリックに、そのまま殺されて終わりにさせようとする永瀬。
彼を殺すことなく、ナイフを投げ捨てるエリック。
帰国したエリックに永瀬の手紙が届く。「長い歳月、苦しんできた」。
エリックが旅立った時、もう戻らないのでは、と思ったというパトリシアと共に、
彼は再び、カンブリを訪れる。
「和解に尽力してきたあなたは誰よりも勇気がある。起こったことを忘れはしない。
だが、あなたのことは心から赦そう、憎しみはいつか終わらさなければ」。
永瀬が流すとめどない涙。二人の抱擁。
奥様も含め、皆さま、ご長寿で、その後も亡くなるまで交流が続いたとのこと。
映画撮影時、ぎりぎりエリック様ご存命でらしたので、お写真が残っています。
最後にそれらから何点か。
いや、皆さん、素晴らしい演技でらしたけど、あまりに若い頃と現在の配役のお顔が違う。
これは解りにくかった・・・しかし、エリック・ローマクス様とコリン・ファース様・・・
無駄に似てらっしゃる？？？
そして、原題の「the railway man」・・・邦題のような劇的さ・・・含んではいるとは思いますが、
エリック・ローマクス様、日本で言う「テツ」ってのでは？タイトルもそれ？ひっかけてる？
時刻表や、鉄道の進路、雑学が趣味なんだから。
捕虜になりながら、工事してる鉄道を地図にしてたんじゃあ、
「お前スパイだ」と言われても、「鉄道が好き」って返事では納得されないでしょう？
「テツ」でこんな困った事態になるとは・・・