バレンシアでの’10シーズン始動から1週間
オフシーズンテスト第2Rが2/10~13の4日間
場所をへレスに移して行われた
参加チームは先週ニューマシンを発表した3チームを加え全10チーム
バレンシアやバルセロナと比較して
低速コーナーが多く近代グランプリサーキットと似た性格をもつ
このへレスでのパフォーマンスが注目される
が・・・日本同様に今週のへレスは悪天候に見舞われ
4日間いずれも全てもしくは一時的に雨の降る
生憎のコンディションとなってしまった
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<フェラーリ>
前半2日をアロンソ、後半2日をマッサが担当
ほぼバレンシア仕様のまま持ち込まれたF10は、信頼性の確認と低速コーナーでのハンドリングセットアップ中心に開発が進められ、雨天だったこともありトップタイムは総合で14、15番手タイムとタイムシートの後半に沈んだものの、トータル450周近いマイレージをノートラブルで稼ぎ絶対的な安定性を見せつけた
フェルナンド・アロンソ (1日目)1分22秒895 / (2日目)1分21秒424
フェリペ・マッサ (3日目)1分21秒603 / (4日目)1分21秒486
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<マクラーレン・メルセデス>
マクラーレンはカーナンバー順に前半がバトン、後半をハミルトンが担当
初日の僅かなドライコンディション下でMP4‐25の空力テストを行った後
レインコンディションになってからはエンジンとギヤボックスのマッピングや
ブレーキ素材の比較テストなどを実施した
そして最終日にはハミルトンがトータルベストとなるタイムを記録
途中、警告灯が点灯したためコース上にマシンを停めて赤旗が提示される場面もあったが大きなトラブルはなく、バトンもシートポジションの調整が終わり感触も上々で、着実にマシンの熟成を進めている
ジェンソン・バトン (1日目)1分24秒947 / (2日目)1分20秒618
ルイス・ハミルトン (3日目)1分23秒985 / (4日目)1分19秒583
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<レッドブル・ルノー>
このへレスのピット上でついにニューマシンRB6を発表したレッドブルは
初日シェイクダウンを含む前半2日をウェーバーが担当し
エースのベッテルは後半3、4日目に新車初ドライブとなった
RB6はいきなりエンジンからのオイル漏れでコース上にストップ
2日目もいくつかの信頼性トラブルが発生したものの
後半はベッテルがセットアップに主眼を置いたロングランテストを敢行し
初期トラブルは何とか回避できたようだが、まだその速さは未知数である
マーク・ウェーバー (1日目)1分26秒502 / (2日目)1分22秒043
セバスチャン・ベッテル (3日目)1分21秒754 / (4日目)1分21秒203
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<BMWザウバー・フェラーリ>
バレンシア最大のサプライズだったBMWザウバー
今回のテストでは可夢偉が初日からステアリングを握る
1日目は生憎の天候で空力やメカニカルなテストを行えず苛立ちを見せるも
2日目午後はドライコンディションの下
精力的にプログラムをこなしてデイリートップタイムを記録
ここでも、ザウバー&可夢偉が存在感を示した
3日目には代わってシートに座ったデ・ラ・ロサがメカニカルトラブルでコース上にマシンを止めるシーンもあったが、修理後にセカンドベストをマークするなどC29のベースポテンシャルはやはり高そうだ
小林可夢偉 (1日目)1分23秒287 / (2日目)1分19秒950
ペドロ・デ・ラ・ロサ (3日目)1分20秒736 / (4日目)1分22秒134
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<ルノー>
ルノーは前半をペトロフ、後半をクビカというスケジュールだったが
天気予報に従い急遽2日目のドライテストにクビカを起用
両ドライバーが1日交代でドライブすることとなった
R30は、「非常にセッティングレンジが広い」 とはクビカの弁だが
これまでのところ大きなトラブルもないがロングランでのタイムも平均値
最終日にトップからコンマ8落ちの4番手タイムを記録するが
周回数的にも燃料搭載量はやや少なめと見るべきだろう
ビタリー・ペドロフ (1日目)1分25秒440 / (3日目)1分22秒000
ロバート・クビサ (2日目)1分22秒003 / (4日目)1分20秒358
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<メルセデスGP>
このオフシーズンの注目度No.1のメルセデスGPは
ロズベルグが奇数(1,3)日、シューマッハが偶数(2,4)日を担当
バレンシアでは外見のアグレッシブさに反して
MGPW01のペースが望んだほどではなかったと
ロス・ブラウンも認めていたが、それでも信頼性は次点レベル
初日のロズべルグのトップタイムは天候のおかげだが
シューマッハは2日間で204周を周回しロングディスタンスでの
マシンセッティングに専念しており素性は問題なさそうだ
しかし、昨年ほどのアドバンテージがない(むしろ追う立場)のは明白で
旧ホンダのエンジニアリング陣がこの先どう開発を進められるか注目である
心配なのはロズベルグの伸びが今ひとつなところだが・・・
ニコ・ロズベルグ (1日目)1分20秒927 / (3日目)1分22秒820
ミハエル・シューマッハ (2日目)1分21秒083 / (4日目)1分20秒613
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<トロ・ロッソ・フェラーリ>
外見はまんま昨年型レッドブルでも中身は一新・・・らしいSTR4
バレンシアでは初期トラブルに泣かされたが
ここではそのベースパフォーマンスの高さを発揮した
初日のブエミのセカンドベストはロズベルグ同様タイミングの結果だが
2日目のドライコンディションでも安定して速く121LAPを周回して
同じく堂々の2番時計
3日目に交代したアルグエルスアリは、午前中のわずかな時間で
そのタイムをさらに上回るこの日のベストタイムを叩き出した
4日間総合でも2、4位のタイムを記録したこのマシンは
序盤戦は要注意な存在になりそうだ・・・
セバスチャン・ブエミ (1日目)1分21秒031 / (2日目)1分20秒026
ハイミ・アルグエルスアリ (3日目)1分19秒919 / (4日目)1分24秒072
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<フォースインディア・メルセデス>
実質このテストがニューマシンVJM03のシェイクダウンとなるフォースインディアは、初日からリウッツィのドライブでトラブルフリーでレースディスタンスを走り切りまずまずの出だしとなった
前半2日間は各部のシステムチェックを重点的に行い
後半2日間はスーティルがロングディスタンステストを敢行
タイムと周回数を考慮すれば、速さはトップチームには及ばないが
昨年は苦手としていた低速コーナーでの挙動の安定性が光った
最終日にはスーティルがセカンドベストを記録している
ビタントニオ・リウッツィ (1日目)1分24秒968 / (2日目)1分20秒754
エイドリアン・スーティル (3日目)1分21秒428 / (4日目)1分20秒180
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<ウィリアムズ・コスワース>
このオフシーズンテストで
最もトラブルに泣かされているのが古豪ウィリアムズ
「FW32のバランスは素晴らしく、速さもある」とドライバー陣は繰り返し
実際トップタイムはそれなりに出てはいるのだが・・・
2日目にハイドロリック系とドライブシャフトにトラブル
3、4日目はギアボックストラブルにスピンアウトと連発
チームの迅速なリカバーでかろうじてマイレージは稼いでいるが
残り2回のテストに向けてまずは信頼性の確保が目標となりそうだ
ニコ・ヒュルケンベルグ (1日目)1分22秒243 / (2日目)1分20秒629
ルーベンス・バリチェロ (3日目)1分23秒217 / (4日目)1分20秒341
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<ヴァージン・レーシング・コスワース>
新規参入チームの先頭を切っての
合同テスト初参加となったヴァージンは波乱の船出
シルバーストンでのシェイクダウン後にアップデートされたニューマシンVR-01だったが、初日は序盤のドライコンディション下で1周もできず、その後もレインコースでのトラブル回避のため5周で終了
やっと天候に恵まれた2日目は
グロックが11周した所でフロントウイングが脱落
スペアパーツがないためこの日もここで走行中止となってしまった
さらに3日目もパーツ到着が遅れたことで
終了間際にディ・グラッシがやっと8周したのみ
最終日になって、やっと63周を消化してそれなりのタイムを残したが
シーズン開幕へ向けてまだまだやるべきことは山積している....
ティモ・グロック (1日目)1分38秒737 / (2日目)1分29秒964
ルーカス・ディ・グラッシ (3日目)1分37秒107 / (4日目)1分22秒912
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■□総評□■
4日間を通じて終日ドライコンディションの日はなく
生憎の天候で多くのチームが評価プログラムの変更を強いられた
今回のヘレステスト
今年からの燃料無給油規定を受け
ロングランでのハンドリングの確認に各チーム時間を費やしていた
そのため、タイムシートの結果を全く鵜呑みにはできないが
この時期に一つの参考となるのが各ドライバーのコメント
黙して語らず速いのはバレンシアでも上位にきた4チームで
中でもフェラーリの信頼性とハンドリング
ロングランでの安定した速さは印象的だ
マクラーレン、メルセデスのシルバー2も着実にマイレージを稼ぎ
イニシャルセッティングながらマシンの総合性能はやはり高い
ザウバーはここでも存在感をアピール
他チームから「燃料が軽いのでは?」との指摘もでるほどのスピードだが
周回数から逆算する限りそれなりの条件で走っており
その実力はホンモノと見てよさそうだ
レッドブルはまだシェイクダウン後のウォーミングアップの段階ながら
満を持して登場した割にはまだ突出したところは見えず
今回発生した初期トラブルは問題ないだろうが
ウェーバーがやたらと口数が多いのが気になる・・・
一方でやたらと御託が多い、強がりNo.1がウィリアムズ
「各チームがどういう状況でテストしてるかわからない」
とバリチェロはうそぶくが、FW32は早くも信頼性に黄信号
ルノー、フォースインディアも似たようなもので
絶対的速さでは一発、ロングラン共に見劣りし
トロ・ロッソを含めたセカンドグループと見てよさそうだ
新規参入のヴァージンに至っては、まずちゃんと走ることが先決
2日目のフロントウイングの脱落は
「コースアウトした際にヒットした」
というのがグロックの弁だが
意地悪なメディアの間では、
「CFDで強度計算を間違えたのでは?」と揶揄されている
各チームが開幕に向けアップデート仕様を持ち込んでくる今週のヘレス第2Rは、コンディションにさえ恵まれれば、最後のバルセロナ以上に今シーズン序盤のパワーバランスを知るいい機会になりそうだ