学研が秀文社にTOB、どうする早稲田アカデミー? | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

12/21、学習研究社(学研:東1、9470)が秀文社(HC、2143)をTOBで買収すると発表しました。


■学研: 株式会社秀文社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

 http://www.gakken.co.jp/company/pdf/071221.pdf


TOBの買付価格は、1株8,860円。

秀文社の21日終値は6,400円でしたから、38.4%のプレミアムが乗った価格です。

学研はTOBにより、秀文社株式の50.1%超を取得するもよう。

(秀文社の発行済株式総数は150,000株、取得予定株数は75,140株となっています。

 75,140株のときの買収総額は6億6,574万円ですが、75,140株未満の応募の場合は応募全株を買い付けず、75,140株以上のときは応募全株を買い付けることとしています。)


先日来、日経の夕刊でも個人株主がTOB条件で翻弄される点を批判する記事が出ていましたし、今回は応募全株を買い付けるパターンで発表されています。


TOB期間は12/26~2/7まで。

秀文社はTOBに賛同しており、学研は全株取得を目指すとしています。



■秀文社: 株式会社学習研究社による当社株券に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ

 http://ir.eol.co.jp/EIR/2143?task=download&download_category=tanshin&id=515960&a=b.pdf



あれれ・・・。

いくらTOBかけられたら、会社のとしての意見表明が必要だといっても、賛同意見でいいのはてなマーク


秀文社は、2007年3月15日に大証ヘラクレスに上場。

今年ですよ、今年。


これじゃぁ、まるで買収されるために公開したみたい・・・。


しかも、大株主に早稲田アカデミー(4718)がいます。


■秀文社: 2007年3月期有価証券報告書(提出会社の状況)

 http://ir.eol.co.jp/EIR/2143?task=download&download_category=yuho&id=1026651&a=b.pdf


早稲アカは、20,000株、13.33%を握る第2位株主です。

ほか、代表取締役社長の小泉喜昭氏が18,420株、12.28%、

小泉澄子氏(大量保有報告書で確認すると、社長の小泉氏と共同保有になっているので、おそらく奥様でしょう)が20,000株、13.33%、

さらに、共同保有者(社長の資産管理会社?)の(有)インターフェースが29,000株、19.33%を保有しています。


(上記の秀文社のIRホームページでは、有価証券報告書の全体像が見づらいので、EDINETで有報のPDFを一括ダウンロードされることをおすすめします。)


■EDINET (秀文社はEDINETコード941971です)

 https://info.edinet.go.jp/EdiHtml/main.htm


とりあえず、上記の賛同意見表明では、(有)インターフェース、小泉喜昭氏、小泉澄子氏が賛同していますので、問題は早稲アカかなはてなマーク


早稲アカ(4718)のIRホームページには、今のところ、何らリリースは出ていません。

自社ホームページには出さずに東証の適時開示にだけ出すパターンもあるかと思い、東証の適時開示情報を検索してみましたが、こちらも皆無。


早稲田アカデミーは、音無しの構えということかな・・・。


まぁねぇ、今年3月に12,000円で売り出した株が、今じゃ6,400円と半減ですから・・・。

ここで、早稲アカがもろ手を挙げて賛成じゃ、秀文社のIPOで取得した個人株主が浮かばれませんわなあせる


ちなみに、早稲アカの売出リリースによれば、取得原価はおそらく5,575円。


■早稲田アカデミー: 株式会社秀文社(当社関連会社)の上場に伴う株式売出し価格決定について

 http://www.waseda-ac.co.jp/ir/pdf/newsrelease20070306.pdf


いちおう、8,860円でTOBに応募すれば、1株3,285円、20,000株で6,570万円の売却益が見込める計算になりますね。


あとは、秀文社が早稲田アカデミーにとって、どんな位置づけの会社か、という点が問題になるでしょう。


早稲アカ株主からしてみれば、確実に売却益が見込めるTOBを蹴ってまで保有し続ける、しかも、秀文社をめぐっては、おそらく学研のほうが上位の株主になるわけですから、塾ビジネスに傾斜しつつある学研とどうのような競合関係を保つのかどうか、説明してくれなければ困るわけです。


さぁ、どうする、早稲田アカデミー!?


というほどのこともないか・・・(笑)

いちおう、EDINETで早稲アカの2007年3月期有報を確認すると(EDINETコード:941301)、P.5 事業の内容で、秀文社は売出しの結果、関連会社ではなくなりました、とだけ説明しており、また、中間決算短信でも、子会社化した野田学園(野田クルゼ)については記述がありますが、秀文社については何ら記載はありませんし・・・。


■早稲田アカデミー: 2008年3月期 中間決算短信

 http://www.waseda-ac.co.jp/ir/pdf/WAC200711Kt.pdf


ま、持分法適用でもない会社についてまで、企業グループ全体の戦略に織り込んで説明する必要はないですしね。


ということは、早稲田アカデミーはいずれTOBに応じる可能性大、というように読むべきでしょうかね・・・。


つまり、秀文社をめぐって、学研と早稲アカの取り合いはなさそう = 秀文社株主にとっては、学研のTOBに応じるのが、現在、もっとも収益最大化になるプラン、ということだと思われます。


秀文社株主にしてみれば、5月の暴落(おそらく2008年3月期予想に失望?)をくらって、じっと耐えていたところかと思われます。

しかし、学研の取得株数いかんによっては、上場廃止基準にひっかかるかも、とちらつかされては、TOBに応募せざるをえない(全部買取りですし・・・)方向に傾くように思われます。


(あくまでも私のみの投資判断であって、秀文社株式の売買を推奨しているわけではありません。株式の売買は自己の投資判断に基づいて、自己責任で行いましょう^^;)


しかし、元村上ファンドのエフィッシモが買い増す学研、だいぶ感化されたのかなはてなマーク

ずいぶんと積極的なしかけをするようになりました。


(学研や早稲田アカデミーのトピックについては、こちらをご覧ください)


■ナガセが早稲田アカデミー株取得、教育セクターに再編機運?

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10048888038.html


■学研(9470)を買い上がる旧・村上ファンド

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10045273627.html


なお、学習研究社(EDINETコード251019)は、エフィッシモから12/10に立て続けに大量保有報告書を提出されており、現在、19.22%を保有されています。

しかも、まるで漁夫の利を得るか、油揚げを狙うトンビかのように、学研にはセーフ・ハーバー・マスター・ファンドというところが、やはり大量保有報告書を出していまして、直前5.34%→4.15%となっています。


なんだか風雲急を告げる学習塾・予備校業界、来年もいろいろありそうです・・・。



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