証券アナリスト協会、2007年ディスクロージャー優良企業を発表 | IR担当者のつぶやき

IR担当者のつぶやき

上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

証券アナリスト協会が、2007年のディスクロージャー優良企業を発表しました。


■証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定(平成19年度)

 http://www.saa.or.jp/research/disclosure_19.pdf



IR表彰のたぐいは、ほかにも東証や日本IR協議会のものがあります。


■東証 上場会社表彰

 http://www.tse.or.jp/rules/award/index.html


■日本IR協議会 IR優良企業賞

 https://www.jira.or.jp//



過去の例を見ていくと、同一の企業が同一年度に複数の賞を受賞するケースも多々あります。

IRサイトや、取組みは一緒ですから、それを複数の目から見て、優れているという評価が集中してしまうのは、ある程度やむをえないことかもしれません。



さて、件のアナリスト協会のディスクロージャー優良企業ですが、リリースがものすごいページ数なんですよね。表紙含めて、なんと115ページビックリマーク


全部読むのは、なかなか困難・・・。

多くの方は、自社の関係するセクターだけ、読まれるのではないでしょうか。


2007年の優良企業に輝いたのは、以下の会社さんですクラッカー


建設・住宅・不動産 三菱地所 (5回目)

食品          アサヒビール (連続5回目)

電気・精密機器   日本電産 (前回4位)

自動車・同部品・タイヤ 日産自動車 (前回2位)

電力・ガス      東京ガス (4回連続)

運輸・倉庫      JR東日本 (2回連続)

通信          KDDI (5回連続)

商社          三菱商事 (12回連続)

小売業        ローソン (2回連続)

銀行          住友信託銀行 (2回連続6回目)

コンピュータソフト  野村総研 (5回連続)

新興市場       ディー・エヌ・エー

             日本マイクロニクス

             SBIイートレード証券

個人投資家向け情報提供

             日本電産 (2回目)

             三菱商事 (3回連続)

             東京ガス


となっています。


証券アナリスト協会の表彰は、セクターの移動が少ないのか、本当にその企業が飛びぬけて優秀なのかわかりませんが、連続が多いですね・・・。


正直、見ててつまらない・・・と思わなくもないです。

ディフェンディング・チャンピオンは、3回連続まで、とか決めたら良いのでははてなマーク(爆)


上記のリリースには、各セクターごとに、どんな評価項目に対してどんな配点をしたかの概観や、評価シートのサンプルなどもついています。


例えば、食品セクターですと・・・。


① 経営陣のIR姿勢・IR部門の機能・IRの基本スタンス・・・5項目 30点

② 説明会、インタビュー、説明資料等における開示および四半期開示・・・13項目 32点

③ フェア・ディスクロージャー・・・7項目 18点

④ コーポレート・ガバナンスに関連する情報の開示・・・2項目 10点

⑤ 各業種の状況に即した自主的な情報開示・・・3項目 10点

 合計 30項目 100点


といった具合です。


食品セクターのノミネート企業は、以下のとおり。


日清製粉グループ本社

山崎製パン

明治乳業

ヤクルト本社

日本ハム

アサヒビール

キリンホールディングス

宝ホールディングス

コカ・コーラウエストホールディングス

伊藤園

キッコーマン

味の素

キューピー

ハウス食品

カゴメ

ニチレイ

東洋水産

日清食品

日本たばこ産業


いずれ劣らぬナショナル・ブランドを有する会社さんばかりです。


結局、こういった会社さんだと、証券アナリストさんもたくさんウォッチしているってことなんだよねー。

アナリストがカバーしていない会社さんは、基本的には、どんなに良いIRしてても、どんなに経営者がIRに積極的でも、網にひっかからないんだろうなぁ・・・。


選評は、わりと抽象的な表現が多いので、実際にはその会社のHPを見るとか、決算短信や決算説明会資料を見る、説明会動画配信などがあれば、経営者の話しっぷりを確認する、といったことを評価することができるでしょう。

しかし、アナリストさんとIR部門のやりとりとか、その取材時に資料がなくて後でアナリストさんに提供する数値とかの反応など、ヒューマンな部分は外部からはわからないですね・・・。



なお、個人投資家向け情報提供部門での評価ポイントは、次のとおりです。


① 個人投資家向け会社説明会等の開催・・・4項目 15点

② ホームページにおける開示等・・・10項目 61点

③ 事業報告書等の内容・・・3項目 24点

 合計 17項目 100点


何だか、ずいぶん少ない評価項目で決まってしまう印象です。


平均点は、①個人向け説明会が39%、②HPが73%、③事業報告書が66%となったそうです。

説明会をやっていない会社は0点になるので、厳しいですね。

HPの評価ポイントは、


・直近の決算説明会資料

・事業報告書

・よくある質問と回答

・HPを通じた質問ができ、回答を受け取ることができるか


といった点になっており、ノミネート企業はどこも高水準の評価になっていたようです。

今日び、これらの点なら、かなり多くの企業でクリアしていますものね。



そんなわけで、本当のところ、どこが他の企業を抑えてトップになった/高得点の評価を獲得したかについての核心は、リリース文を見ていてもよくわからない、という気がしています。


数多くの企業とコンタクトしたり、HPを見ている証券アナリストさんの比較衡量を信頼するしかありませんが、例えば、


トップになった企業のHPなどを画像で貼り付けて、

赤丸とか付けながら、

この部分がセンスがよいとか、

この表記が分かりやすかったとか、


解説してくれると、とても参考になるんだけどなぁ・・・音譜





--

このブログがお役に立ったら、ポチッとクリックしてください。


人気blogランキングへ


ファイブスタイル ブログランキング