『ロス:タイム:ライフ 第12節親子篇』のDVDが発売されました。

せっかくなので、『ロス:タイム:ライフ』の生みの親、筧昌也監督に単独インタビューしてみることにしました。

犬飼:一般の人からすると映画監督ってどうやったら成れるのかな?と思っている人もいると思うのですが、筧さんはどんな過程を経て監督になったんですか?

筧監督:その答えの前に自己紹介を(笑)。はじめまして、筧昌也です。監督とかやってます。
詳細は、( http://www.iksite.jp/ )。

犬飼さんとはフジテレビの「ロス:タイム:ライフ」でご一緒して以来、たまに飲んだり
仕事したり、してます。まだ台詞のある役をオファー出来ていないことに一抹の
申し訳なさを感じつつも、あの審判役というサイレント芝居の面白さ、難しさも
今後も追求してゆきたいと思っている次第です。

そんな、僕ですが、いわゆる「自主映画出身」です。
24歳の時に作った『美女缶』という自主映画が色々なインディペンデントの映画祭で
受賞し、その後、フジテレビ「世にも奇妙な物語」でセルフリメイク。
後に「ロス:タイム:ライフ」へと繋がる感じです。
劇場映画の方も準備した後、映画「死神の精度」(08年)の監督をやることになりました。

ただ、映画監督のなり方の「王道」って、現代では皆無だと思います。
みなさん、色々なかたちで監督デビューしてます。
ドラマ出身、助監督出身、CM出身など、非常に色々なパターンがあって、一概に説明できないですね。
この観点から言っても、まだ、日本映画界は一つの「産業」としてはまだ120%完成してないんだと
思います。それだけに、色々な人に門戸が開かれていて、面白い時代だとは思うのですが。

犬飼:監督になって良かったなと思う時、あるいは、しまったと思う時はなんですか?

筧監督:いきなり難しい質問スね。
「なって良かった」のは、そーですねー。監督やることで、社会勉強出来てるかも(笑)
意外な答えかもしれないですけど、俯瞰で見るとこれって結構大事かも、です。

監督になったことで、自分を大人にしてくれてるかも、ですかね。
会社員として映像制作会社に在籍していたこともありますが、それよりも僕の場合、
監督として、原作者(小説家、漫画家)、様々な業界の取材相手、スタッフ、俳優さん等々、
色々な人種に会えます。しかも、「映画監督」たる人間は、決して多くない職業なので、
相手が割と覚えてくれます。そのへんとかラッキーだなーと思います。
とにかく、一年間にものすごい数の人たちと出会えます。

ちなみに、「作品を楽しんでくれた時」なんかは、
あまりにも当たり前すぎる答えなので割愛です(笑)

「しまった!」はあまり言うと、カドが立つので書きづらいですが(笑)
映画は億単位のプロジェクトなので、なかなか仕事として「劇場映画は」成立しづらく、
小説家、漫画家、ミュージシャンなどに比べると、作品本数が、極端に少ないことでしょうか。
劇団を持っている舞台演出家などは、作品数が多く出来ていいなと
仲間がいるのを羨ましく思う事がよくあります。

犬飼:TVドラマの時から人気だった監督の代表作のひとつ『ロスタイムライフ』ですが、とても斬新な切り口のお話ですよね。原案を考える際、着想はどんなところにあったんでしょうか?

筧監督:コレ、書くとすごい長くなります(笑)
詳細は、東京セレソンデラックスの宅間さんのラジオで、過去、語ったので
それを聞いてください(笑)
禁断のMP3へのリンク!お許しを。
http://podcast.tbsradio.jp/takuma/files/20081013.mp3

でも、簡単に書くと…。
『単なる趣味として、サッカー好き』

『もし、死んでも、やり残した事ができたら?』
という発想が、「ロスタイム」というサッカーのルールとパッと繋がった瞬間があって、
そこから一気に出来上がってゆきました。
他の作品もそうですが、こういうオリジナル作品のアイデアって、常に
色々と頭の中でグルグルと考えていて、最後はふとした瞬間に
二つのアイデアがくっついて一本になるパターンが多いです。

後編へ続く…