3月某日

 

 

  大切な友達の命日の前夜祭。

 

 

  彼を好きだった女三人で集まって

 

  すき焼きを食べた。

 

  その店は彼の行きつけで

 

  わたしたちはときどきその店に連れて行って貰っていた。

 

  わたしたちの共通点は

 

  「彼にご飯をごちそうになっていたこと」

 

  だけで、

 

  なんだかその事実にすごくほっとする。

 

 

  味覚でも人は人を記憶できるのかもしれないな

 

  なんて思いながら自転車を漕いで

 

  春の雨の中を走った。