単なる自己満足ではないか?【日本熊森協会】 | まぁ、こんなもんでえぇんとちゃう?

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【追記;ガジェット通信に掲載されたブログ記事『「クマがかわいそうだから殺さないで」と感じる皆さんへ』は、この記事を読む前に(後でも良いが)必ずお読み頂きたい。】

mixiの「知らなきゃいけないコト」コミュニティーの「クマともりとひと」トピックで拾ったネタ。

日本熊森協会」という団体がある。

団体名称の枕詞として「実践自然保護団体」とある事からして胡散臭さを感じるのだが…。

この団体の行なっている「どんぐり運び」(魚拓)という行動が、団体の意見とは異なり実際には熊の為に成らないものである可能性が極めて高いと自分は判断した。

例えば以下の記述がある。

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【以下上記「どんぐり運び」の頁より引用】

どんぐりを運ぶ
今年のどんぐり運びは、山だけではなく、、現地の方々に教わりながら、クマが集落にでてくる道の奥にも置いています。集落の裏山に置く場合は、簡単ですから、はじめての方でもご参加いただけます。

【引用終了】

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この文章だけでも、この団体の行っている事が如何に迷惑か、判りそうなものだ。
「熊が集落に出てくる道の奥」とは、一体どれほど集落から離れていると言うのか?
「集落の裏山に置く」などとは、言語道断であろう。
熊がそれを食べるとしても、そのために人里に近い場所にまで出現する事になる。
人の匂いにも慣れる事になろう。

実際住民がそのどんぐりに惹かれたと思われる熊との遭遇について、以下の記事もある。

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くまもりのドングリを食べて朝帰りのクマにばったり魚拓)より】

地元の方が、くまもりの運んだドングリをたっぷり食べて朝帰りするクマと、ばったり出会われました。クマはちらっと一瞬、人間のほうを見たそうですが、何も関心ないという感じで通り過ぎていったそうです。住民は、クマの後姿をパチリと撮影することができました。

【引用終了】

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これは一歩間違えれば住民が襲われていた可能性もある。
クマを人里に近づけること自体が間違っていると自分は考える。

因みにこの団体は「どんぐり運び」について、以下の様にその正当性を主張している。

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【以下、「ドングリ運び」の「Q&A」から我楽者が内容を要約】

Q)どんぐりは本当にクマが食べているのか?
A)痕跡と糞から確認済み

Q)実際のクマには焼け石に水では?
A)焼け石に水でもクマを少しでも助けようという精神が大事。

Q)野生動物の個体数に人が介入すべきではないのでは?
A)人間により野生動物に対する豊かな餌を育む森が減少している中で駆除を行なえば絶滅する。

Q)ドングリを拾うと本来その場所で生きる動物の食料を奪うのでは?
A)学校や公園などのドングリとしている。

Q)一言でドングリと言っても実は多種多様であり、実に害虫が付いている事から、他地域から持ち込むべきではないのでは?
A)原生林ではなく人為的な遺伝子かく乱がある地域に置いている。(我楽者注;要するに人里近く)

Q)クマがドングリについた人の匂いに慣れ、人の匂いで餌を得る事を学習するのでは?
A)既に凶作の場合、野生動物は人里近くに出ており、その様な事は既に学習している筈。

【引用終了】

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この様な「日本熊銛協会」の主張に異議を唱えている人も多いようだ。

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野生グマに対する餌付け行為としてのドングリ散布の是非について
~保全生物学的観点から~ 保 科 英 人 福井市自然史博物館研究報告 第51号:57-62(2004)

要 旨
 2004 年,一部の自然保護団体が,エサ不足に苦しむツキノワグマに対し,全国から収集したドン
グリを,山々に散布した.本稿では,このドングリの人為的散布について考察した.保全生物学的見
解に立てば,このようなドングリの散布は,好ましくない行為であると断定できる.自然生態系に対
して,考えられるリスクは,散布されたドングリが発芽し,その地域土着のドングリと交雑すること
による遺伝子撹乱や,ドングリ内部に潜入している昆虫の遺伝子撹乱,さらに一部の種が外来種とな
りうる問題などが挙げられる.ドングリを水に沈めるだけでは,ドングリおよび内部の昆虫類を完全
に殺すことは不可能であることを実証した.さらに,たとえドングリを完全に煮沸して,遺伝子撹乱
および外来種の問題をクリアしたとしても,そもそも野生のツキノワグマに対して,エサを与えるこ
と自体が問題である.著者は,ドングリの人為的散布に強く反対する.

1.侵入種に関する問題
<中略>
 
 今回のドングリ散布で言えば,まず想定されるのが,人為的にもたらされたドングリが発芽して成長し,その地域に元々自生しているドングリと交雑することによる遺伝子撹乱である.また,ドングリ内には様々な昆虫類,たとえばコウチュウの仲間であるシギゾウムシ類などが潜入している(Anderson, 2002; 伊藤, 2001).また,キクイムシは,その名の通り,樹木の幹に侵入する林業害虫として著名であるが,ドングリキクイムシなど一部の種がシードボーラーとしてドングリ内部で生活する(Rabaglia, 2002; Ueda, 1997).また,ハマキガの仲間にも,一部の種に幼虫がドングリを利用するものがあるようだ(六浦ほか, 1969)これらの昆虫でも,外部からある地域に持ち込めば,もともと生息していた個体との交雑による遺伝子撹乱が起こりうる
<中略>

 著者は,ドングリを水に漬けた後の発芽能力の有無や,内部の昆虫類の死亡率を調べる実験を行った.方法と発芽率および死亡率の表は,文末に付けた.まず,結果を簡単にまとめると,コナラを水に漬けても,発芽率が下がることはない.水に漬ける処理を1日はもちろん,5日間行っても,発芽能力は失われないことは明らかである(表1).
また,表2 より,発芽実験同様,水に漬けるやり方は,ドングリ内の虫を殺す処理としても,極めて不十分であることがわかった.ドングリ内部で確認された昆虫類全ての死亡率は(ダニも含む),一日水に漬けた足羽山産コナラA では,約10%である.

2.クマに対する餌付け行為の有効性やその影響
<中略>

 ほとんどのクマの専門家や生態学者は,ドングリを散布することが,クマの保全に役立つなどと全く考えていないようだ.大部分の専門家は,散布したドングリは,ネズミかイノシシ,カケスのエサになるだけであると予想している.ネズミのエサとなった場合,ネズミの栄養条件を人為的に押し上げることになり,その結果,冬季越冬成功率を上げ,繁殖力の高いネズミの個体数の増加要因となる可能性がある.農業被害に直結する可能性もゼロではない.
<中略>

 野生グマの個体同士には干渉があり,何百キロのドングリを散布したとしても,多数のクマがそれを
分け合うことはありえない.せいぜい1~数頭のクマの食料となるだけである.「数頭のクマを満腹にする」ことに成功したとしても,決して個体群全体の保全につながり得ない.ドングリ散布による生態的リスクは大きく,「数頭のクマを満腹にする」行為と引き替えにすることは賢明ではないだろう.
<中略>

 さらに,重要な点は,どのようなドングリの散布方法を採るにせよ,人の臭いがしみついたドングリを散布して,クマに食べさせることに万が一成功した場合,結局は人間とクマの適正な距離感を狂わせ,最終的にはクマの保護にとってマイナスとなるクマの射殺を促進しかねない可能性である.NPO 法人日本ツキノワグマ研究所の米田一彦氏は,著者への私信の中で「人間のにおいが染みついたドングリをクマに食べさせることは,結局はクマが射殺される機会を増やしているだけ」と指摘されている.同氏は,その著書(米田,1998)の中で,クマの保全のため,人身被害をもたらす可能性のある里グマをなくして,山奥で生活し,人に無害な山グマにするという活動をされている.これが射殺されるクマの数を減らし,最も理想的なクマ保全策であることは,誰も異論を唱えようがないが,2004年各地で行われたドングリ散布は,こういった努力を妨害するものと言えよう.餌付け行為が,クマ以外の哺乳類社会にも深刻な影響を与えているかは,各地の猿山での問題を見れば,一目瞭然である.また,兵庫県神戸市では,餌付けされ,人に慣れたイノシシが,人身事故を引き起こし,大問題となっている.そのため,神戸市は,平成14年施行の「神戸市いのししの出没及びいのししからの危害の防止に関する条例」(イノシシ条令)を制定し,規制区域での餌付け行為を禁止している.
<中略>

 森林生態系の保全のためには,これ以上のドングリ散布は是が非でも阻止しなければならないが,それにはどうすればよいか.例えば,三重県には「自然環境保全条例」があり,その第25条に「何人も,国内及び国外を問わず人為により移動された動植物で,県内における地域の在来種を圧迫し,生態系に著しく支障を及ぼすおそれのある種をみだりに放ち,又は植栽し,若しくはその種子をまいてはならない」と言う条文がある.今回のドングリ散布は,違法な行為としてこの条例に抵触する可能性がある.今後,関係団体の自粛が期待できないのであれば,各県レベルで三重県に準じた法的な対策を立てるしかない.

【引用終了】

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また、以下の様に該当する団体の主張に不審な点がある事を指摘している記事もある。

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【以下、「ならなしとり 宇多田ヒカルさんが熊森に興味を持ってるみたいorz」より】

ギル:問題点を指摘していこうか。まず一つ目。熊森は専門家集団なのかと。
カメ:それについては去年あった乗鞍岳の事件を見てもらうのがわかりやすいでしょう。
ギル:事のあらましを説明すると、去年の9月に乗鞍岳畳平でクマが観光客と接触し、9人が重軽傷を負う事件がありました。
カメ:これに対しての熊森顧問の見解は、人の食べ物に引き寄せられたもので、クマに立ち向かうなど論外と言うものでした。熊森のHPにあったんですが、どういうわけか今は公開されていないようなので、web魚拓をどうぞ。

岐阜県高山市乗鞍山頂近く2700mでクマによる人身事故⇒クマ射殺  熊森見解2009、9、19

ギル:ところがどっこい。現地入りして調査した日本ツキノワグマ研究所の米田氏の報告書によれば、結果的に被害者を助けようとしてクマにかかっていったことが死者を出さなかったことがわかった。また、事件を起こしたクマの解剖の結果、ここ1,2年は残飯などを食べていた形跡もないことがわかっている。

畳平バスターミナルでのクマ襲撃事故の検証(11/5改訂版)

カメ:つまり、熊森顧問の見解は間違っていたわけですが、それに対する謝罪や訂正は今のところありません。管理人が9月に取材に行った時も熊森内ではこの顧問の見解が維持されているようでした。

【引用終了】

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なお上記ブログ作者はこの熊森という団体と直接会話を交わしているので此れも紹介しよう。

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【「突撃取材 そして斜め上」より】

自由時間ということで、熊森などのパネルを見に行きました。そこで、熊森の人と話したわけですが、ま、一言でいえば自説を曲げない人たちでした。
去年の乗鞍岳の事件についても顧問の見解が正しいと疑っていないようですし、遺伝子攪乱などについてもHPのテンプレそのままの回答でした。
ドングリまきについては、不作の年にだけおこない、ドングリを山にまいた後にクマがどれだけ食べているか、どれだけクマの生存などに寄与しているのか調査はしていないとのこと。熊森の人2人から聞いたのでほぼ確実でしょう。クマが食べた云々よりもドングリがいかにどれだけ集まったかを成功として誇っているあたりありゃりゃでした。
以下がほぼ実際にあった会話です。

梨「ドングリをまいた後、クマの生存に与えた影響は調査してないんですか?」

熊森「調査には人手もお金もかかるのでやっていません」

梨「ビデオカメラを設置してクマがどれだけ食べているのか調べないんです?」

熊森「そんなことしてるくらいならドングリをまきます。クマは食べているんです」

【引用終了】

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何をか謂わんや…┐( ̄ヘ ̄)┌


ついでながら、過去日本においてツキノワグマではなくヒグマによる被害ではあるが、以下の様な悲惨な被害もあった。

三毛別羆事件Wikipedia)より

三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん、六線沢熊害事件、苫前羆事件とも)とは、1915年12月9日~12月14日にかけて、北海道留萌苫前村(現:苫前町古丹別)三毛別(現:三渓)六線沢で発生した日本史上最大最悪の獣害(じゅうがい)事件。 冬眠に失敗した空腹の羆が数度にわたり民家を襲い、当時の開拓民7名が死亡、3名の重傷者を出すという被害があった。


我楽者注;
 上記の7名中、5人は殺され、或いはまだ息のあるまま(家の中から咀嚼音と人のうめき声が聴こえた事からの推測)生きたまま食べられている。しかもこの個体は上記事件を起こす前に、既に2人の女性(或いはそれ以上の)を食べて人間の味を覚えた「人食い」であったとされている。
 また上記Wikipedia中には残酷と思われる描写もあるが、それらは野生動物としては「敵を攻撃する」」或いは「餌を捕食する」という、ごく自然の行動を行なっている事をご理解頂きたい。
 獲物を狩り、それを食べる事で生きることは動物にとって全く自然なことであり、その中でありったけの知恵も絞って狩りを行う。
 そして今回は偶々その敵であり餌の対象が「人間」であったというだけの話である。
 人間の弱さと捕食が容易である事を知り、怖れることをしなくなった野生動物の行動として、上記のヒグマは或る意味捕食動物としての当然の行動であったろうと、自分は考えている。
 (以前TV番組で旭川動物園の白熊担当飼育員が、「白熊達は人間を餌と思っている」と話していた。)

【11/14追記】関連ブログ記事追加紹介
・「【動物愛誤】クマの駆除に抗議・嫌がらせしてる連中のmixiがキチガイ過ぎて話題に」http://bit.ly/9KPOpP
・「種を生かすためにすべきことは餌付けではない」 http://bit.ly/c0iDuJ