「厳格なベジタリアンの育児」に対して有罪判決【食と栄養】 | まぁ、こんなもんでえぇんとちゃう?

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いくつかニュースを拾ったので、挙げておく。


・Couple Guilty Of Assault In Vegan Case New York Times

(厳格なベジタリアンが娘を死に至らしめた例)

 http://www.nytimes.com/2003/04/05/nyregion/couple-guilty-of-assault-in-vegan-case.html?pagewanted=1



・Vegan couple cleared of starving baby, guilty of child neglect CNN.com

 (同じくビーガンが子供に対するネグレクトとして有罪になった例)

 http://www.cnn.com/2005/LAW/11/08/child.starved/index.html



・Strict vegans guilty of murder after their baby starves to death
 (厳格なビーガンが彼らの子供に対する殺人の罪で有罪)
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article1769384.ece


さて、何故以上のような記事を挙げたかと言うと、現在mixiの「マクロビオテック(玄米菜食)」コミュニティーに、「マクロの育児 」というトピックが上がっている為である。


その中で少々衝撃的な文章があったので紹介しておこう。


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【以下、上記コミュニティーの「マクロの育児 」トピック5番のコメント(「ひろ」氏による)より引用】


長野の某所のマクロビ宿に泊まったときのこと。

小学校に上がったばかりのそこの宿の子と仲良くなって遊んでいたのですが、あるとき衝撃の告白を。

このあいだカエル殺して食べちゃった!

過ぎたるは及ばざるがごとしと言いますが、極端になると無意識のうちにバランスを取ろうとするのかもしれませんね。


【中略】

わたし自信は厳格にマクロビにこだわらなくても、日本の伝統的な食生活 (米、雑穀、豆、野菜、魚、その他海産物等) でよいと思っていますが、学校給食は頭の痛い話です。

牛乳、まずくて添加物のいっぱい入ったパン、(抗生物質たっぷりであろう) 普通のお肉・・・。牛乳は戦後、パン食を普及させるために導入されたものと聞きますし、戦後にパン食が導入された理由も考えると、学校給食等も一度あり方を考え直さなければいけないと思いますね。


【引用終了】

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「カエル殺して食べちゃった」という子供の言を、「極端になると無意識のうちにバランスを取ろうとするのかもしれませんね。」とコメントしていると言う事は、マクロビオテックの厳格な食事はバランスを取ろうとするほど極端なものであるとの認識をしているのかもしれない。

であるにもかかわらず、「ひろ」氏はマクロビオテックを辞めるつもりは全く無いようだ。

論理的に齟齬があるようだが【追記;極端とは「マクロビオティックの教えを厳格に実行した食生活」と考えられる。すると「ひろ」氏の主張はその「教え」を厳格に捉えるべきではないという事だろうか?その場合、元の「教え」自体に誤りがあると考えるのが常識的な思考であると思うのだが?】、我楽者の推測によるものなのでこれ以上は追求すまい。


だが後半の文章には些かではない、大きな誤りがあると自分は考える。


・「牛乳」

 戦後の学校給食では当初「脱脂粉乳」であった。これはアメリカからの援助物資による児童の栄養状態改善を図ったものである。尤もまずくて児童には不評であったようだが、それでも栄養学的には彼らの健康に寄与した筈である。決してパン食普及のために導入されたものではない。

 またパンについても、アメリカにおいて援助できたのが「小麦」であったためであり、「米」がアメリカで主食の座を占めていれば、当然米が援助物資としてもたらされ、米食が給食の主役となったであろう。


・「添加物のいっぱい入ったパン」

 この人物は典型的な「食に対する安全信仰」に入信していると思われる。

 およそ人間が口にするもので、絶対確実に「安全」であるものは無く、全てのものは取り過ぎれば毒になる。例えば「水の飲みすぎによる死亡」という事例 もあった。

 そして少なくとも我が国のパンには、公的に認められた食品添加物しか使用されていない。

 食品添加物は、古くから使用されておりその毒性にさしたる問題が無いと思われるもの以外は、厳格な安全性審査を通過しなければ使用許可が下りず、しかもその使用する方法と量についても基準が定められ、これは分析により確認可能であるから、違反例に対しては回収その他のしかるべき処置が取られる。

 「自然天然」の食材よりも、寧ろ上記のような厳しい試験を通過した食品添加物の方が、よほど安全である。


 例えば畝山智香子氏は著書「ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想 」において、「玉ねぎが食品添加物である」という仮定の下にその使用基準を計算した場合、玉ねぎの持つ毒性から、その使用基準が「カレー一皿当たり16mgとなると計算し、その場合玉ねぎを使用した全てのカレーは「使用基準違反」になると記している。

 またジャガイモ「ソラニン」という毒性物質を含。このソラニンを「農薬の成分として仮定」してその含有量から計算すると、市販のジャガイモの殆どが「基準違反で回収」になると、同書で述べている。

 この様に、「天然自然=安全」という『信仰』は、科学的に誤りである事が判明しているにも拘らず、未だにその様な誤解が続き、次の世代にまで引き継がれている。これはこの様な誤りを信じている「大人」が多い為であり、どこかでこの鎖を断ち切らねば、我が国はいつまでも『多くの人の誤解を利用したインチキ商法の蔓延る国』から脱却できない。


自分も微力ながら何とかしたいと考えてこの様な拙文を記しているのだが、どれだけの人のお役に立てるか、自問自答が続いている。



「まぁ、こんなもんでえぇんとちゃう?」・・・・・・・・・・と、割り切ってみるか?(笑)


【1/25追記 (1)「一介の研究者」氏よりこの記事のコメント欄を用いて提供して頂いた情報を下に移植した。 (2)公開済み本文について、文字を大きく読み易くした他、数箇所について文章の修正を行なった。】


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以下、本記事コメントにおいて「一介の研究者」さんより寄せられた情報を記す。

この内容は大磯敏雄著「混迷の中の飽食」(医歯薬出版 1980年)の内容の一部を「一介の研究者」氏が要約したものとされているが、該当著書が現在絶版となっており自分には検証出来ない。しかしながら内容に具体性が見られることや、此処で事実と(上記出版物の内容と)異なる情報を記す事のメリットは殆ど無いと考えられる事から、情報の信頼性は高いと自分は判断した。

なお以下の情報について確証を得たい方には、国立国会図書館の利用等により、該当書籍の原文と比較する事をお勧めする。


○【本記事コメント4(無題)よりの引用】

牛乳やパン食、学校給食説について、「米国の陰謀」説が流行っていることには、深い悲しみを覚えます。当時パンしか選択肢が無かった、というガラモンさんのご指摘は正しいです。その上で、大変恐縮ですが、補足させてください。

米国の陰謀説を信じている方は、「混迷の中の飽食」という本をぜひ読んで欲しいと思います。国際的に有名な大磯敏雄さんという学者が1980年に書いた本です。

GHQが学校給食を提案したときの、会議の様子がこの本の中に記されていますが、米国の担当者らは、「伝統的な米と味噌の食事を子ども達に提供したい」と述べたそうです。

しかし米国には米も味噌もないから、日本国内で調達しなければならず、敗戦後の混乱期にあった日本では米や味噌を大量に調達する手段がないため、食糧庁が米国の主張に反対したそうです。その結果、しかたなく学校給食はパン食になったということです。


○【本記事コメント8(「混迷のなかの飽食」の抜粋(その1))よりの引用】

そういっていただいて、しごく恐縮です。お言葉に甘えて学校給食がパンと脱脂粉乳になった経緯を記した該当部分(p165~171)をダイジェストで紹介します。

若い読者にはなじみの薄い、古い表現が多い原文を、的確に現代風にまとめるようがんばりましたが、私の文章力の拙さもあるかと思いますので、必要な時は原文にあたっていただければ幸いです。
原文をそのまま引用した部分は『』の中に示します。

1コメント1000文字以内の決まりがあるので、「その2」で、ダイジェストを紹介します。


○【本記事コメント9(「混迷のなかの飽食」の抜粋(その2))よりの引用】

昭和21年、元合衆国大統領のフーバーが日本を訪問し、マッカーサーに「日本の復興のために学校給食を導入すべき」と勧告しました。フーバーは第一次世界大戦の敗戦国ドイツへ学校給食を導入し、飢えた子供達の発育状態を正常にし、復興に貢献した人です。マッカーサーは保健衛生及び福祉担当のサムズ大佐に給食開始を指示しました。

 大佐は日本の大蔵・文部・厚生各省次官と農林省食糧庁長官の計4名を会議に招いたが皆乗り気薄で、長官は『国民に渡す食物はカラッポですよ』と言いました。そこで大佐は「学校給食の最初の出発に必要な食料は米軍の食料を立て替えるので農林省が後で返済してほしい」と提案し、長官は研究してみましょうと答えて次回となりました。

次回の冒頭、大佐は語りました。『この戦争の犠牲となって気の毒な生活を続けている日本の学童、ことに大きな都会にいる者に何とか学校で一食を供給してやりたいものだ。それには日本の習慣に従って米のご飯と味噌汁を当てたいが、目下のところ農林省は、どうしてもその物資の都合がつかぬといいつづけてきている』ので、前回の通り提案したが良い返事を待っている、と。
しかし長官は、食糧需給に狂いが生じている苦しい内情を説明し、一時立て替えてもらっても返済のめどが立たないと断りました。大佐はしばらく考え込んで言いました。農林省も種々努力してくれてはきたが、提案に応じられないというので食糧不足の深刻度を理解した。厚生省は次の2点を確認してくれ。戦争終了時に日本軍の保有していた食料の有無を。「ララ委員会(注)」から食料を分けてもらえるかどうかを。

厚生省の調査で旧日本軍の魚の缶詰等が手に入り、委員会は快く小麦粉と脱脂粉乳(牛乳ではありません)を分けてくれました。こうして学校給食が開始しました。

注:第二次世界大戦末、アジアの戦禍に心を痛めた米国人の平和運動に、多数の在米日本人が参加し、感動と共感の輪から百万人以上の草の根運動に発展しました。この中心のキリスト教系ボランティア団体が、援助物資を送るために組織したのがララ(LALA)で、物資の分配組織がララ委員会です。ララにはカナダ・南米の大勢の日系人や在留日本人が参加し、祖国の復興を願い寄付や荷造りなどの奉仕活動で支援しました。(本書p155~165)

○【本記事コメント10(「混迷のなかの飽食」の抜粋(その3))よりの引用】

…………以上です。
学校給食に並んだパンや脱脂粉乳は、
遙か祖国を想う同胞の、汗や善意の賜物だったのに、
「米国政府の陰謀」などと誹謗中傷するのは筋違いだと思います。

長文投稿で大変恐縮しておりますが、
パンを悪者扱いするむごい作り話に耐えられなくて投稿させていただきました

【以上、「一介の研究者」氏よりの提供情報、掲載終了】

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先ずは「一介の研究者」氏に、貴重な情報を提供して頂いた事に対して、謝意を表明させて頂く。

本記事の「牛乳」の項についての自分の意見は「具体的な資料等の裏付け」があった訳ではなく、他のコミュニティーにおいて聞き齧った知識や、終戦後に我が国に対して米国から食糧援助があったという事実、また給食開始前後の我が国における食料事情から類推したものであり、根拠が薄弱なものであった。

しかしながら「一介の研究者」氏より提供された情報が正確なものであるならば(著者が当時の事を正確に記したという前提が先ずあるのだが)、自分の記した考えについての信頼性が、幾分なりとも増したのではないだろうか。