【政権交代によって平和が確保されるとは限らないことについて】

去る2月18日、民主党・維新両党は、「周辺事態法改正案」を国会に提出しました。

野党は安保法制の廃棄を主張しています。そのため、政権交代が起こった場合、安保法制は廃棄され、それに代わり、この「周辺事態法改正案」に基づき、周辺事態法が改正されることになります。

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ところが、民主・維新両党が提出した「周辺事態法改正案」を見ると、旧周辺事態法のときよりも、後方支援の範囲が増えることとなっています。従来は日本領域内でしか認められていなかった補給、修理・整備、医療等の後方支援が、公海上でも行えるようになっています。

このため、もし仮に台湾が独立を宣言し、中国が独立を阻止するために軍事的に介入、台湾危機が発生した場合、日本が、台湾危機に、より巻き込まれやすい内容となっています。

日本が、台湾あるいはアメリカ軍のため、後方支援を台湾近海の公海上で行えば、それだけ中国軍の攻撃を受けやすくなります。さらに、日本本土にある在日米軍基地や自衛隊基地への攻撃の可能性が高まります。

確かに、政権交代が起こり、安保法制が廃棄されれば、集団的自衛権はなくなり、世界中あらゆるところで自衛隊が後方支援を行うということもなくなります。

しかしながら、こと台湾危機について言えば、旧周辺事態法のときよりも、後方支援の範囲が増えることとなり、日本が戦争に巻き込まれる可能性が増えることになります。

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このため、私は、個人的に、周辺事態法については、補給、修理・整備、医療等の後方支援を、日本領域内でのみ行うということにとどめるとともに、新たに、「外交優先条項」を挿入し、「政府は、中国と台湾の間で軍事的な紛争が起こることを阻止するため、あらゆる外交手段を尽くすものとする。政府は、中国と台湾の関係が平和的に推移するべく、中国政府、台湾政府に働きかけ、あらゆる外交手段を尽くすものとする。」と規定すべきであると思っています。

政権交代が起これば、平和が確保されるとは限りません。歴史を見ると、アメリカのルーズベルト政権やジョンソン政権など、リベラルな政権の時にこそ、戦争はしばしば起こり、拡大しています。国民に選択肢がないからです。

そのため、国民は、政権交代と安保法制廃棄で満足・安心するのでなく、本当に戦争を防ぎ、平和を維持するためには何をするべきなのか、追求し続ける必要があります。


参照資料: 「『領域警備法案』『周辺事態法改正案』『PKO法改正案』を衆院に提出」 民主党、2016年2月18日