【東芝救済および脱原発は、再生可能エネルギー普及と水素エネルギー革命のための総合的政策パッケージの中に位置付けられるべきであることについて】

1. 東芝救済および脱原発と総合的政策パッケージの必要性

日本を代表する巨大名門企業・東芝が債務超過に陥っていることは驚くべきことだと思います。

東芝の経営危機は、不正会計・粉飾決算がきっかけとなりましたが、より根本的には、経済的に採算が取れない原発ビジネスに固執したことが要因であると思います。化石燃料・原子力エネルギーから再生可能エネルギーへの流れは、歴史の必然です。それに逆らおうとすれば、どんな企業も持ちこたえられません。

報道によると、民進党の蓮舫代表は、党の公約である「2030年代脱原発」を前倒しし、「2030年脱原発」を党の方針として打ち出すことを検討しているそうです。しかしながら、残念なことに、原子力産業と密接な関わりを持つ電力総連、基幹労組、電機連合の各組合が、脱原発の前倒しに反対しているそうです。

このような状況の下、私は、東芝救済および脱原発は、個々別々の政策として扱われるべきでなく、より包括的な「再生可能エネルギー普及と水素エネルギー革命のための総合的政策パッケージ」の中に位置付けられるべきであると思っています。

2. 再生可能エネルギー法改正と水素エネルギー革命

すなわち、まず再生可能エネルギー法を改正し、ドイツ再生可能エネルギー法のように、再生可能エネルギーによる電力の優先接続・優先買取を法律上義務付けるべきです。それにより、再生可能エネルギーと電力貯蔵に対する巨大な需要が生まれます。

火力発電・原子力発電による電力に対し、再生可能エネルギー電力を優先させ、再生可能エネルギー電力の送電網への優先接続並びに優先買取を法律上義務付ければ、太陽光発電や風力発電を始めとする再生可能エネルギーの普及が加速度的に進みます。と同時に、昼と夜あるいは季節の違いで大きく変動する再生可能エネルギー電力に対応するため、電力大量貯蔵の需要が生じます。それを受け、水素電力貯蔵を一気に実用化することが考えられます。

余剰電力を使い、水を電気分解して水素を生み出し、水素の形で保存しておけば、何ヶ月でも貯蔵が可能です。そして、電気が必要となったとき、いつでも逆反応で電気を取り出すことが出来ます。また、水素を水素自動車の燃料として使うことも可能です。さらに、水素から合成メタンを生成し、燃料として使うことも可能です。合成メタンにすれば、通常の天然ガスと同じ方法で貯蔵出来ます。すでに、要素技術は確立されており、あとは大規模に需要を生み出し、実用化するだけです。

実は、すでに東芝は、この水素電力貯蔵のための要素技術を持っています。そのため、東芝の経営立て直しは、この水素電力貯蔵技術を中核にして行うべきです。政府が水素エネルギー革命のロードマップを示し、政府系金融機関がバックアップすることを明言すれば、東芝への民間銀行の融資が可能となり、さらに社債発行を通じた資金調達が可能となります。東芝は、虎の子の半導体事業も維持すべきです。一方、原子力発電部門については、その大部分を売却し、廃炉ビジネス部門として再編成すべきです。

大切なことは、政府・政治家が水素エネルギー革命を実現するという強い決意を示し、必ずやり抜くと宣言することです。それによって、人、物、金が動きます。

ちなみに、今年1月、自動車メーカーのトヨタやホンダ、ダイムラー、石油会社のシェルやトタル、ガス会社のエア・リキードなどが中心となり、水素社会を実現するための、国際的な協議会「HYDROGEN COUNCIL」が結成されました。今後5年間で、1兆円を超える資金を投入するそうです。水素エネルギー革命は、まさに始まりつつあります。

3. 原子力産業従事者の雇用確保

一方、再生可能エネルギーの普及と水素エネルギー革命の実現にともない、脱原発は前倒しすべきです。変動する再生可能エネルギー電力のバックアップとして、出力調整が可能なガス火力発電所の一部は維持する必要があります。しかしながら、恒常的に一定の出力しか出せない原子力発電は、その性質上、再生可能エネルギーとの共存に不向きです。脱原発の前倒しあるいは即時脱原発を行うべきです。

ただ、同時に特別立法を制定し、原子力産業に従事されているみなさんの雇用を確保することが必要です。急速に拡大する廃炉ビジネスや再生可能エネルギー関連ビジネス、水素エネルギー関連ビジネス等の分野で、優先的に雇用枠を設け、雇用を確保することが考えられます。大切なことは、政府・政治家が、政治生命をかけ、「絶対に誰一人として失職させない。」と明言・約束することです。それによって、電力総連、基幹労組、電機連合を説得すべきです。

4. 再生可能エネルギー普及と水素エネルギー革命における国際的協力

なお、水素エネルギー実用化の過程において、日本の政府資金と中国のAIIBの資金を投入し、日本において確立した技術を中国において、より大規模に実用化することが考えられます。政府とAIIBの資金が投入されれば、それが呼び水となり、国際的な民間資金も投入されることになるでしょう。大切なことは、政治が主導し、法改正と資金投入を起爆剤として、水素エネルギー革命の大きな流れを作り出すことです。

また、台湾が参加することも可能かも知れません。台湾は、すでに2025年までの脱原発を決断しており、再生可能エネルギーの普及と水素エネルギーの活用を必要としているからです。民進党の蓮舫代表は、台湾民進党とのつながりもお持ちです。再生可能エネルギーの分野で、中国ー日本ー台湾の協力を実現する、貴重な橋渡し役を担っていただけるかも知れません。

さらに、ヨーロッパ諸国との協力、そして、カリフォルニア州など再生可能エネルギー普及に熱心なアメリカ各州との協力も大切です。再生可能エネルギー普及と水素エネルギー革命は、人類的な課題だからです。呼びかければ、彼らは必ず応えてくれます。


民進党を始めとする野党は、(1) 中国との良好な外交関係を回復すること、(2) 東アジアの平和を維持するため、北東アジア非核兵器地帯の設置と、台中関係の平和的推移を実現すること、(3) 中東地域安定のための外交的枠組みを構築すること、(4) 各国・各地域と連携しつつ、持続的成長につながる再生可能エネルギー産業や電気・水素自動車関連産業を成長の柱とすること、(5) 拡大する中国消費市場の実需に基づき景気拡大を実現すること、を主張すべきです。

総選挙があれば、与党は必ず議席を減らします。一刻も早く総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。


参照資料:
(1)「東芝が目指す水素社会」東芝

(2)「東芝における 再エネ由来水素の利活用の取組み」、経済産業省・水素・燃料電池戦略協議会、2015年11月11日

(3) プレスリリース「再生可能エネルギーと水素を用いた自立型エネルギー供給システムが運転を開始」、東芝、2015年04月20日

(4) プレスリリース「府中事業所に『水素エネルギー利活用センター』を建設」、東芝、2016年11月28日

(5) "Toshiba seeks hydrogen-powered recovery", Nikkei Asian Review, September 14th 2016

(6) "Toyota, Shell Among Giants Betting $10.7 Billion on Hydrogen", Bloomberg, January 18th 2017

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【日米首脳会談と中東、北朝鮮、南シナ海について】

2年前の訪米の際、安倍首相は、首相として初めてアメリカ連邦議会で演説を行うという厚遇を受けました。その際、安倍首相は、演説の中で、夏までに安保法案を成立させると約束、その後、国会で安保法案を強行採決しました。

今回も、安倍首相は、トランプ大統領との首脳会談に際し、異常なまでの厚遇を受けました。今後、アメリカが、日本に対し、後方支援、あるいは集団的自衛権の行使について、具体的行動を求めてくる可能性は高いと思われます。アメリカが要求すれば、安倍政権は、それを受け入れるでしょう。

三つの地域について、その可能性が考えられると思います。

まず第一に、中東地域における後方支援が考えられます。トランプ政権は、石油・ガス産業の利害を代弁しており、中東地域が不安定化した場合、アメリカ軍を支援するため、日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が、兵站・補給任務に派遣される可能性があります。

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第二に、日本が、日本へ飛来する弾道ミサイルを迎撃するだけでなく、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃すると宣言することが考えられます。集団的自衛権が根拠となります。

アメリカは、イラク戦争・アフガニスタン戦争で、数兆ドルの戦費を使い、現在、深刻な財政危機にあります。アメリカ国民の間には厭戦気分が広がり、地上軍の海外派兵は難しい状態です。このため、現在、アメリカの国家安全保障政策は、敵国とアメリカの同盟国とを戦わせる戦略(いわゆる「オフショア・バランシング(OFFSHORE BALANCING)戦略」)に移行しつつあります。

もし仮に、日本が、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃すると宣言した場合、日本の安全保障環境は大きく変わることになります。迎撃を嫌う北朝鮮は、弾道ミサイルをアメリカへ向けて発射する際、同時に日本への攻撃を準備することになるでしょう。予め原発などの施設に対し、テロ攻撃を行うかも知れません。

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また、逆に、日本も、予想される北朝鮮の攻撃を防ぐため、北朝鮮の基地に対する先制攻撃を準備するようになるでしょう。北朝鮮と日本が対峙し、いつでも戦争が起こり得る、一触即発の状態が恒常化することになります。

日本国内では、平和運動や反対運動が起こると思われますが、仮に共謀罪法案が成立すれば、平和運動や反対運動は弾圧されるでしょう。

第三に、南シナ海におけるアメリカ海軍と日本の海上自衛隊との共同パトロールが考えられかも知れません。

ただし、アメリカは、オバマ大統領の下、4回の航行の自由作戦を実施したのち、航行の自由作戦を行っておらず、4回目の航行の自由作戦では、アメリカ海軍艦艇は、中国の人工島の12海里内にも入りませんでした。

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他方、1月下旬、フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国に対し、フィリピン南部海域およびマラッカ海峡における海賊対策のため、共同で海上パトロールを実施することを要請しました。フィリピンは、すでにマレーシア、インドネシアと海賊対策で協力しているため、南シナ海において、中国と東南アジア諸国による合同パトロールが実現する可能性があります。中国は、人工島を各国パトロール船の補給基地として使うことも検討しています。

このような状況を受け、アメリカのマティス国防長官は、2月上旬、日本を訪問した際、南シナ海の問題については、外交努力が優先されるべきとコメントしました。さらに、稲田防衛大臣は、日本が航行の自由作戦に参加することはないと発言しました。

中東、北朝鮮、南シナ海の問題は、いずれも、軍事力ではなく、外交によって解決することが可能です。

民進党を始めとする野党は、(1) 中国との良好な外交関係を回復すること、(2) 東アジアの平和を維持するため、北東アジア非核兵器地帯の設置と、台中関係の平和的推移を実現すること、(3) 中東地域安定のための外交的枠組みを構築すること、(4) 各国・各地域と連携しつつ、持続的成長につながる再生可能エネルギー産業や電気・水素自動車関連産業を成長の柱とすること、(5) 拡大する中国消費市場の実需に基づき景気拡大を実現すること、を主張すべきです。

総選挙があれば、与党は必ず議席を減らします。一刻も早く総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。


参照資料:
(1) "The Case for Offshore Balancing ー A Superior U.S. Grand Strategy" by John J. Mearsheimer and Stephen M. Walt, Foreign Affairs, July/August 2016 Issue

(2) "Philippines' Duterte asks China to patrol piracy-plagued waters", Reuters, January 31st 2017

(3) "Beijing should assume leadership role in controlling piracy in Asian waterways", The Global Times, February 3rd 2017

(4) "Mattis: ‘Exhaust All ... Diplomatic Efforts’ in South China Sea", VOA News, February 4th 2017

(5) 「南シナ海、米作戦に参加せず=稲田防衛相」、時事通信、2017年2月5日

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【民進党岡田前代表ブログへのコメント: トランプ政権を抑制するため、EUとアジア諸国が協力すべきであることについて】

民進党岡田克也前代表の1月31日付ブログ記事に、下記コメントを投稿したところ、掲載されましたので、ご紹介させて下さい。ちなみに、岡田克也事務所の秘書の方のお話によると、岡田前代表は、必ずブログに掲載されたコメントを読んでいらっしゃるそうです。

岡田前代表ブログの2017年1月31日付記事「入国禁止の米大統領令─譲れない基本的価値、安倍総理は明確に発信を」は、こちらでご参照いただけます。

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BUSINESS LIBERALISMこと 松崎宣明
2017年2月6日 8:43 AM
岡田前代表がおっしゃられているように、トランプ大統領が発した入国制限に関する大統領令は、イスラム教徒が多数を占める特定国家の出身者を、その理由だけで入国を禁止するというもので、宗教による差別を禁じた合衆国憲法修正第1条に違反し、アメリカ民主主義の伝統に反するものです。ワシントン州司法長官の訴えを受け、連邦地裁が違憲審査のため大統領令の差止めを決定したことは当然の結果です。

一方、これまで南シナ海の問題等において自由や法の支配を強調してきた安倍首相が、民主国家の基本的価値に反する大統領令に関し、全くコメントしないということは、彼の民主主義に関する発言が、うわべだけのものでしかなかったことの証左であると思います。

その安倍首相は、現在、トランプ大統領から円安誘導政策を批判され、窮地に陥っているようです。日銀の低金利政策を受けて円安が進み、輸出産業を中心に景気が回復するというのがアベノミクスの理屈でしたが、今後、逆に円高になれば、日本に円高不況が押し寄せることになります。円高不況、さらに、トランプ相場のメッキがはげ、株価が下落すれば、株を買い続けてきた日銀の債務超過は拡大、GPIFの損失も増大します。株価下落局面において、日銀もGPIFも株を売却出来ません。もし売却すれば、株価下落を加速させるからです。

それでも安倍首相は、アメリカだけが頼りです。というのも、安倍政権は、安倍首相の祖父が満州国政府の高官、副総裁の高村正彦の父親が特高課長、谷垣禎一前幹事長の義父が中国におけるアヘン売買の秘密工作を行っていた陸軍中将、麻生財務大臣の曾祖父が中国へのアヘン輸出を主な業務としていたイギリス商社の幹部というように、戦前の軍国主義・中国侵略の流れを汲む政治家によって構成されており、もし中国の影響力がアジアや日本で拡大した場合、彼らおよび彼らの一族は政治生命を失う可能性があるからです。

報道によると、安倍首相は、GPIFの年金積立金をアメリカのインフラ整備に使い、アメリカの雇用を増やすことまで検討しているそうです。というのも、トランプ大統領は大規模な国内インフラ整備を約束したものの、実際は、アメリカは財政難で財源がないからです。

今後、トランプ政権は、保護貿易主義に向かうとともに、石油・ガス産業の保護優遇政策を推進すると思われます。エクソンモービル前会長のティラーソン国務長官は、パリ協定からの離脱も検討しています。すでに連邦議会では上院も下院も保守派の共和党が多数を占めていますが、連邦最高裁判事に指名されたゴーサッチ氏が承認されれば、連邦最高裁でも保守派が多数を占め、大統領令に対する違憲審査が効きにくくなっていくでしょう。

このような状況の下、トランプ大統領を抑制するためには、アメリカ国内のリベラル派だけでなく、世界の国民が連携する必要があると思います。EU各国の指導者は、すでにトランプ大統領を、EU統一を脅かす「脅威」とみなし始めています。中国、日本を含むアジア諸国は、EU諸国と協力し、WTOを通じた自由貿易とグローバリゼーションの原則を維持するとともに、再生可能エネルギーの普及拡大および水素エネルギー革命を推し進めるべきです。また、カリフォルニア州を始め温暖化対策に熱心なアメリカ各州との連携を強めるべきです。

民進党を始めとする野党は、(1) 中国との良好な外交関係を回復すること、(2) 東アジアの平和を維持するため、北東アジア非核兵器地帯の設置と、台中関係の平和的推移を実現すること、(3) 中東地域安定のための外交的枠組みを構築すること、(4) 各国・各地域と連携しつつ、持続的成長につながる再生可能エネルギー産業や電気・水素自動車関連産業を成長の柱とすること、(5) 拡大する中国消費市場の実需に基づき景気拡大を実現すること、を主張すべきです。

総選挙があれば、与党は必ず議席を減らします。一刻も早く総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。


参照資料:
(1)「公的年金、米インフラに投資 首脳会談で提案へ 政府、雇用創出へ包括策」2017年2月2日、日本経済新聞

(2) "European Leaders Are Now Describing Trump as a Threat" by Uri Freedman, January 31st 2017, The Atlantic

(3) "China Is Now The De Facto Leader Of Globalization", January 11th 2017, The Huffington Post

(4) "China’s Xi Jinping Seizes Role as Leader on Globalization", January 17th 2017, The Wall Street Journal

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