【原発ゼロ基本法作成過程における脱原発派と電力総連との妥協形成について】

今月中旬に開催された民進党党大会において、蓮舫代表のリーダーシップにより、民進党が原発ゼロ基本法の作成に取り組んで行くことが決定されました。

蓮舫代表が、民進党のこれまでの政策であった2030年代脱原発を前倒しし、2030年脱原発を強力に打ち出したことが、原発ゼロ基本法の作成という方針につながったと思います。

今後、次期総選挙へ向け、原発ゼロ基本法を作成する過程においては、脱原発を求める国民の多数の声と原発産業の雇用を求める電力総連との「妥協」を実現し、2030年脱原発あるいは即時脱原発を基本法に盛り込んでいくべきであると思います。

民主主義とは妥協の政治です。妥協こそが複雑な利害の対立を調整し、政治・政策を前進させる知恵であり、方策です。

この点、日本においては、妥協はマイナス・イメージでとらえられることが多いようです。日本では、妥協するな、一歩も退くな、ということがよく言われるようです。しかしながら、これは軍事的な考え方であって、民主主義の発想とは異なります。民主主義においては、寛容と協力、そして、妥協の精神が尊ばれます。

また、日本では妥協(COMPROMISE)の意味も間違えてとらえられているようです。妥協とは単に譲り合うことではありません。妥協とは、一見利害が対立するように見える当事者の間で、それぞれの本質的利害を明確にした上で、そのそれぞれの本質的利害が両立するような、新たな「仕組み」を考案し、実行するということを意味します。

日本では、民主主義の歴史が浅く、素晴らしい政治的妥協の具体例が乏しいため、妥協こそが民主主義の本質であるということの理解が一般的ではありませんが、たとえばアメリカでは、合衆国憲法の制定過程において、「大いなる妥協(GREAT COMPROMISE)」が行われ、決裂寸前であった憲法制定会議がまとまったという歴史的偉業が、繰り返し国民に紹介されます。また、西洋政治の源流である、古代共和制ローマの政治も妥協という知恵の宝庫です。

今回の原発ゼロ基本法についても、ぜひ脱原発を求める国民の多数の声と原発産業の雇用を求める電力総連との妥協を実現することが大切であると思います。

その前提として、まず蓮舫代表を始めとする執行部が世論調査を実施し、国民の多数の声が脱原発であるということを明確にすることが重要であると思います。そして、その世論調査を国民のみなさんと電力総連のみなさんにご紹介することが大切であると思います。

さらに、民進党が主導して、脱原発を求める市民のみなさんと電力総連組合員のみなさんとのディスカッションの場を全国各地で設けることが大切であると思います。現在、脱原発と原発産業の雇用の問題は、蓮舫代表と連合の神津会長との間で議論されていますが、1対1の議論では対立が前面に出るばかりであると思います。脱原発を求める市民のみなさんと電力総連組合員のみなさんとの間の本音のディスカッションの場を各地で設けることを通じ、組合員のみなさんに脱原発を求める国民の多数の声を伝えるとともに、国民のみなさんに原発産業従事者の雇用の問題を考えていただくことが大切であると思います。

その上で、原発ゼロ基本法の作成過程において、脱原発と原発産業の雇用維持との妥協策を法案に盛り込んで行くことが考えられます。その際、まず当事者の本質的利害を検討することが大切です。

電力総連の組合員のみなさんの本質的利害は、原発産業そのものの維持というところにあるのではなく、自らの雇用と収入の維持というところにあると思います。言い換えますと、雇用と収入が維持されるならば、原発産業であれ、他の産業であれ、厭わないということであると思います。

であるとすれば、原発ゼロ基本法に、原発産業に従事しているみなさんの雇用と収入をいかに確保するかを盛り込むという作業において、脱原発派のみなさんと電力総連のみなさんとが協力して取り組むことが可能となると思います。

たとえば、原発ゼロ基本法の中に、原発産業に従事しているみなさんの雇用確保のための条項を設け、急速に拡大する廃炉ビジネスや再生可能エネルギー関連ビジネス、水素エネルギー関連ビジネス等の分野で、優先的に雇用枠を設け、雇用を確保することが考えられると思います。民進党が真摯に呼びかければ、様々な企業から雇用枠の提案が得られると思われます。あるいは、手厚い職業訓練・長期間にわたる再雇用支援手当を設けることも考えられるかも知れません。大切なことは、政府・政治家が、政治生命をかけ、「絶対に誰一人として失職させない。」と明言・約束することです。それによって、電力総連、基幹労組、電機連合を説得することです。

国民の多数の声と少数者の権利の保護のために、有効な妥協策を生み出すこと、そして、そのために汗をかくことこそが、民主主義の下における政治家の最も大切な仕事だと思います。

民進党は、次期総選挙へ向け、脱原発を求める国民の多数の声と原発産業の雇用を求める電力総連との妥協を実現し、2030年脱原発あるいは即時脱原発を原発ゼロ基本法に盛り込むことが必要であると思います。

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【民進党岡田前代表ブログへのコメント: 東アジアへのTHAAD配備と北朝鮮問題の外交的解決について】

民進党岡田克也前代表の2月23日付ブログ記事に、下記コメントを投稿したところ、掲載されましたので、ご紹介させて下さい。ちなみに、岡田克也事務所の秘書の方のお話によると、岡田前代表は、必ずブログに掲載されたコメントを読んでいらっしゃるそうです。

岡田前代表ブログの2017年2月23日付記事「訪韓─日韓協力の必要性は極めて大きい、今から関係再構築の努力を」は、こちらでご参照いただけます。

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BUSINESS LIBERALISMこと 松崎宣明
2017年2月27日 9:00 AM
【東アジアへのTHAAD配備と北朝鮮問題の外交的解決について】

1. THAAD配備と東アジアの安全保障環境

岡田前代表がおっしゃられているように、日韓両国の協力は、アジアの平和、とくに北朝鮮の無謀な行動を抑制するために必要であると思います。

現在、韓国では、憲法裁判所において、朴大統領の弾劾訴追案審理が行われており、その結果によっては、大統領選挙が早期に実施される可能性があります。優勢が伝えられる野党側の大統領候補者は、そのほとんどが、THAAD(高高度防衛ミサイル)の配備に否定的であり、そのため、次期韓国政権は、朴大統領の下で合意したTHAAD配備を白紙に戻す可能性もあると思います。

もし仮にそうなった場合、アメリカは、今度は日本にTHAADを配備しようとするかも知れません。報道によると、すでに自民党内には、THAAD配備に関する検討チームが立ち上げられ、会合が開催されているそうです。

さらに、アメリカは、日本に対し、日本へ飛来する弾道ミサイルを迎撃するだけでなく、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃するよう要求してくるかも知れません。その際、集団的自衛権が根拠とされるでしょう。

photo.JPG

アメリカの要求を受け、もし仮に日本が、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃すると宣言した場合、日本の安全保障環境は大きく変わることになると思います。迎撃を嫌う北朝鮮は、弾道ミサイルをアメリカへ向けて発射する際、同時に日本への攻撃を準備することになるでしょう。予め原発などの施設に対し、テロ攻撃を行うかも知れません。

さらに、THAADは、中国やロシアの核ミサイル迎撃のために使われる可能性もあるため、THAADの配備は、アジアにおける新たな軍拡競争につながる危険性があります。結果として、東アジアの緊張と不安定性が増すことになってしまいます。

2. 外交による問題解決

これらの状況を考えた場合、東アジアの平和と安定を実現するためには、より大局的、長期的に、問題をとらえる必要があると思います。

すなわち、問題の根本的解決のため、長期的目的として、北朝鮮とアメリカとの間の戦争状態を終結させ、両国間の平和友好条約の締結を実現させること、そして、北朝鮮と韓国との平和的な統一を実現させることを設定すべきであると思います。そして、その上で、その実現のため、実効性あるロードマップを作成し、ひとつひとつ着実に実行して行くことが大切であると思います。

そのロードマップの里程において、重要となってくるのが、「北東アジア非核兵器地帯構想」であると思います。単に北朝鮮に対し核開発の中止を求めるのでなく、韓国や日本を含む、北東アジア全体を非核兵器地帯とすることを通じて、東アジアの平和と安定を実現して行くことが大切であると思います。

photo.JPG

北朝鮮の核実験に対する国連安保理の制裁決議に基づき、中国は、先週、北朝鮮からの石炭の輸入を停止しました。北朝鮮は、対中輸出の4割に相当する外貨収入を得ることが出来なくなり、外交姿勢の変化を迫られることになります。そのため、これを梃子(てこ)にして、中国、韓国、日本、アメリカ、ロシアが協力し、6カ国協議の再開と北朝鮮の参加を実現させるべきであると思います。

民進党を始めとする野党は、(1) 中国との良好な外交関係を回復すること、(2) 東アジアの平和を維持するため、北東アジア非核兵器地帯の設置と、台中関係の平和的推移を実現すること、(3) 中東地域安定のための外交的枠組みを構築すること、(4) 各国・各地域と連携しつつ、持続的成長につながる再生可能エネルギー産業や電気・水素自動車関連産業を成長の柱とすること、(5) 拡大する中国消費市場の実需に基づき景気拡大を実現すること、を主張すべきです。

総選挙があれば、与党は必ず議席を減らします。一刻も早く総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。


参照資料:
(1)「韓国大統領選 文氏トップ、革新系が軸 構図固まる」、毎日新聞、2017年2月7日

(2)「新迎撃ミサイル導入が焦点=自民検討チーム、23日初会合」、時事通信、2017年2月22日

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【東アジアへのTHAAD配備と北朝鮮問題の外交的解決について】

1. THAAD配備と東アジアの安全保障環境

現在、韓国では、憲法裁判所において、朴大統領の弾劾訴追案審理が行われており、その結果によっては、大統領選挙が早期に実施される可能性があります。優勢が伝えられる野党側の大統領候補者は、そのほとんどが、THAAD(高高度防衛ミサイル)の配備に否定的であり、そのため、次期韓国政権は、朴大統領の下で合意したTHAAD配備を白紙に戻す可能性もあると思います。

もし仮にそうなった場合、アメリカは、今度は日本にTHAADを配備しようとするかも知れません。報道によると、すでに自民党内には、THAAD配備に関する検討チームが立ち上げられ、会合が開催されているそうです。

さらに、アメリカは、日本に対し、日本へ飛来する弾道ミサイルを迎撃するだけでなく、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃するよう要求してくるかも知れません。その際、集団的自衛権が根拠とされるでしょう。

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アメリカの要求を受け、もし仮に日本が、北朝鮮からアメリカへ向けて発射された弾道ミサイルも迎撃すると宣言した場合、日本の安全保障環境は大きく変わることになると思います。迎撃を嫌う北朝鮮は、弾道ミサイルをアメリカへ向けて発射する際、同時に日本への攻撃を準備することになるでしょう。予め原発などの施設に対し、テロ攻撃を行うかも知れません。

さらに、THAADは、中国やロシアの核ミサイル迎撃のために使われる可能性もあるため、THAADの配備は、アジアにおける新たな軍拡競争につながる危険性があります。結果として、東アジアの緊張と不安定性が増すことになってしまいます。

2. 外交による問題解決

これらの状況を考えた場合、東アジアの平和と安定を実現するためには、より大局的、長期的に、問題をとらえる必要があると思います。

すなわち、問題の根本的解決のため、長期的目的として、北朝鮮とアメリカとの間の戦争状態を終結させ、両国間の平和友好条約の締結を実現させること、そして、北朝鮮と韓国との平和的な統一を実現させることを設定すべきであると思います。そして、その上で、その実現のため、実効性あるロードマップを作成し、ひとつひとつ着実に実行して行くことが大切であると思います。

そのロードマップの里程において、重要となってくるのが、「北東アジア非核兵器地帯構想」であると思います。単に北朝鮮に対し核開発の中止を求めるのでなく、韓国や日本を含む、北東アジア全体を非核兵器地帯とすることを通じて、東アジアの平和と安定を実現して行くことが大切であると思います。

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北朝鮮の核実験に対する国連安保理の制裁決議に基づき、中国は、先週、北朝鮮からの石炭の輸入を停止しました。北朝鮮は、対中輸出の4割に相当する外貨収入を得ることが出来なくなり、外交姿勢の変化を迫られることになります。そのため、これを梃子(てこ)にして、中国、韓国、日本、アメリカ、ロシアが協力し、6カ国協議の再開と北朝鮮の参加を実現させるべきであると思います。

民進党を始めとする野党は、(1) 中国との良好な外交関係を回復すること、(2) 東アジアの平和を維持するため、北東アジア非核兵器地帯の設置と、台中関係の平和的推移を実現すること、(3) 中東地域安定のための外交的枠組みを構築すること、(4) 各国・各地域と連携しつつ、持続的成長につながる再生可能エネルギー産業や電気・水素自動車関連産業を成長の柱とすること、(5) 拡大する中国消費市場の実需に基づき景気拡大を実現すること、を主張すべきです。

総選挙があれば、与党は必ず議席を減らします。一刻も早く総選挙を実施して政権を交代すべきです。平和主義と民主主義に立脚した新しい政権を樹立すべきです。


参照資料:
(1)「韓国大統領選 文氏トップ、革新系が軸 構図固まる」、毎日新聞、2017年2月7日

(2)「新迎撃ミサイル導入が焦点=自民検討チーム、23日初会合」、時事通信、2017年2月22日

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