Intrepidのブログ

主に、地球温暖化対策と再生可能エネルギーについて、投稿します。


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【国家安全保障政策の形成・決定・遂行におけるリスク並びにコストの分析・情報開示の必要性について】

政府は、7月1日の閣議決定において、武力行使に至らない自衛隊の後方支援活動について、これまでは「非戦闘地域」での支援活動のみに限定していたところ、今後は、より広く、「現に戦闘行為を行っている現場」以外であれば、支援活動が出来ることとしました。

その結果、自衛隊は、より戦闘地域に近い地域での活動を行なうことになり、自衛隊のみなさんが命を失い、負傷されるリスクが高まることになると思います。

しかしながら、7月14日、衆議院予算委員会での集団的自衛権に関する集中審議において、野党委員がこの点に関し、何度質問しても、首相は話をそらし、リスクについて全く答弁しませんでした。

首相は、5月15日の集団的自衛権に関する記者会見においても、 5月28日・29日の集中審議においても、今回の集中審議においても、リスクについて一度も説明していません。

政府が、リスクについての情報開示を拒むことは、国家安全保障の基本を無視した行動だと思います。

1937年から始まった日中戦争において、日本は、リスクを過小評価して軍を派兵。その後、派遣された軍が包囲殲滅されることを恐れ、次々と兵力の投入を続けました。

また、アメリカも、ベトナム戦争(1960年~1975年)において、リスクを過小評価して介入を拡大。最終的に、約58,000人の戦死者と約2,000人の行方不明者という人的損失を被り、南ベトナムから撤収しました。

アメリカでは、ベトナム戦争の反省から、コリン・パウエル統合参謀本部議長が、いわゆるパウエル・ドクトリンをまとめ、アメリカが軍事的行動を検討する際の要件のひとつとして、リスクおよびコストの十分かつ率直な分析を行なうこととしました。

これに対し、日本では、未だに、先の大戦における戦争遂行並びに戦争責任に関し、日本自身がしっかりと総括をして、二度とこういった愚行を繰り返さないと決断する作業が行なわれていません。そのため、同じ過ちが再び繰り返されようとしている気がします。

集団的自衛権に関する、これまでの首相の記者会見や集中審議で明らかとなったことは、現行法制の下でも、与党政権が、その気になれば、いかに情報を開示せず、いかに他党の声に配慮せず、いかに国民の意思を無視して、防衛政策を押し進めることが出来るか、ということでした。言い換えると、現行法制は、情報開示に関し、決定的な不備があると言えると思います。

国家安全保障政策・防衛政策の形成・決定・遂行にあたり、政府に、リスクおよびコストに関する分析と情報開示を義務付け、国民への説明責任を尽くすべきことを、法律で明確に定める必要があると思います。

野党は、今後も、集団的自衛権および自衛隊の後方支援活動に関する議論を続けるとともに、「情報開示をともなう民主的文民統制の確立」の必要性を主張して行く必要があると思います。


参照資料:

(1) "U.S. Forces: Challenges Ahead", Colin L. Powell, Foreign Affairs, Winter 1992/93

http://www.cfr.org/world/us-forces-challenges-ahead/p7508

(2) "Powell Doctrine is Set to Sway Presidents", Michael Lind, New America Foundation, November 7, 2006

http://newamerica.net/node/7806

(3) "Powell Doctrine", Wikipedia as of June 14, 2014

http://en.wikipedia.org/wiki/Powell_Doctrine


アメリカの統合参謀本部議長を務め、その後、国務長官を務めた、コリン・パウエル(COLIN POWELL)は、ベトナム戦争の苦い経験に基づき、アメリカが軍事的行動を検討する際の要件として、パウエル・ドクトリンを定式化しました。同要件は、より一般的に、防衛政策を議論・検討する際の指針としても、有効と思われますので、ご参考まで、ご紹介させて下さい。

「The Powell Doctrine (パウエル・ドクトリンの8要件)」

The Powell Doctrine states that a list of questions all have to be answered affirmatively before military action is taken by the United States:
(国家が軍事的行動を行なう際は、以下の全ての要件を充たすことが、必要である。)

(1) Is a vital national security interest threatened? (きわめて重大な国家安全保障上の利益が脅かされているか?。)

(2) Do we have a clear attainable objective? (明確かつ達成可能な目的が定められているか?。)

(3) Have the risks and costs been fully and frankly analyzed? (軍事的行動にともなう、リスクおよびコストは、十分かつ率直に分析されたか?。)

(4) Have all other non-violent policy means been fully exhausted? (他の全ての非軍事的政策手段は、徹底的に追求されたか?。)

(5) Is there a plausible exit strategy to avoid endless entanglement? (際限のない軍事的関与を避けるための、実行可能な出口戦略は存在するか?。)

(6) Have the consequences of our action been fully considered? (軍事的行動がもたらす結果・影響は、十分に検討されたか?。)

(7) Is the action supported by the American people? (軍事的行動は、国民の支持を得ているか?。)

(8) Do we have genuine broad international support? (軍事的行動は、国際社会の、広範かつ真の支持を得ているか?。)

以上


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。

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I have been staying in Boston for more than three weeks, talking with Harvard professors and faculties to write a paper on Japan's adoption of collective self-defense and a crisis of democracy.

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As I talked with Harvard professors and faculties, I noticed that American views on Japan's adoption of collective self-defense are divided.

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Defense people tend to welcome Japan's adoption of collective self-defense. But, political science and constitution people tend to express concern about the undemocratic way that collective self-defense was adopted and the nationalistic tendencies of the current Japanese government.

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In the eve of 4th of July, I could watch beautiful fireworks in Boston. Independence Day of 4th of July is one of the most important holidays in the United States.

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Thank you.


ボストンにすでに3週間以上滞在し、ハーバード大学の教授・講師のみなさんのご指導を受けながら、日本の集団的自衛権容認と民主主義の危機について論文を書いています。

ハーバード大学のみなさんとお話して気付くのは、アメリカでは、日本の集団的自衛権容認に関し、意見が分かれていることです。

防衛に近い人たちは、日本の集団的自衛権容認を歓迎しているそうです。

一方、政治学部や憲法論の人たちは、日本政府が集団的自衛権を容認した際の非民主主義的手法や現政権の民族主義的傾向に懸念を持っているようです。

独立記念日の前夜祭では、きれいな花火を見ることが出来ました。7月4日の独立記念日は、アメリカでもっとも大切な祝日のひとつです。
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【「外交を優先した国家安全保障政策の推進」「情報開示をともなう民主的文民統制の確立」および集団的自衛権に関する集中審議について】

報道によると、民主党の海江田代表は、15日~17日の日程で、中国を訪問すると伝えられています。北沢俊美元防衛相、中川正春幹事長代行、国会議員や地方議員ら約20人のみなさんが同行するとのことで、民主党が「外交を優先した国家安全保障政策の推進」を行なう表れかも知れません。

予定されている、唐家璇・元中国外相、王家瑞・中国共産党中央対外連絡部長、さらに党序列上位の政治局常務委員との会談においては、棚上げ論を含む尖閣諸島問題の外交的解決の可能性、空と海の危機管理メカニズムの構築など、日中間の対立の解決・解消へ向けた、率直な意見交換・情報交換を行なっていただきたいと思います。また、日本の集団的自衛権容認に対する中国の見解を確認していただきたいと思います。

その集団的自衛権に関しては、7月14日および15日に、衆議院および参議院で、集中審議が予定されていますが、集団的自衛権の3要件の曖昧さの問題、現実の事例に即したリスクとコストの検証など、議論すべき点が非常に多くあると思います。

長期的な国家安全保障政策を練り上げ、主権者である国民のみなさんの理解を得るためには、国会において、様々な観点から、客観的で、オープンな議論を行なうことが必要です。「情報開示をともなう民主的文民統制の確立」が必要です。

14日の衆議院予算委員会集中審議においては、集団的自衛権の3要件の曖昧さの問題、予想される立法の法形式および時期、集団安全保障(多国籍軍への参加)のリスクとコスト、周辺各国との外交関係の重要性、等々について、政府の明確な説明と情報開示を求めていくことが、大切だと思います。


参照資料:

「海江田代表:中国訪問へ 安倍政権との違いアピール」、2014年7月11日、毎日新聞

http://mainichi.jp/select/news/20140712k0000m010049000c.html


註記: 上記の見解は、私個人のものであり、いかなる団体あるいは政党の見解をも反映するものではありません。
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