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何でも記録しておいてみる




一昨年だったと思いますが、池波正太郎さんのエッセーを集中的に読んでいた時期がありました。
(このフロクでもその時期、書いたように記憶している。)
その中で、池波正太郎さんが、かなりの長期間にわたって(どのくらい長期間であったかは忘れてしまいましたが)自分が何を食べたか記録していると書かれていました。




池波さんが何を食べたか記録していた理由はよくわからんのですが、すくなくともダイエット目的でないことは確かです。
彼によると何を食べたかを記録することによって、その当時何をしていたか、どんな状況だったかを鮮明に思い出すことができるということでした。
つまり、どうやら備忘録的に食べた物を記録していたということでしょうか。




食べ物に限らず、記録しておくということは、生きていく上で有効だと思います。
私はビジネスの世界で生きていく中で、常に効率を意識してきました。
だから、自分の仕事を小分けに切り出して、それぞれにどの程度の時間を要するのかということを計測して、記録したりしたものです。




たとえば、お客様と会食をし、翌朝に御礼のメールを書く。
どのくらいの時間がかかるものか計測してみると、ただ判を押したような、文例集から借りてきたような内容では書く意味がなかろうということで、会食時間中に気づいたことや勉強になったこと、今後の展開への布石となるようなことを熱心に書き綴るわけです。
すると、これではあっさり過ぎるとか、ちょっと嫌味だとか、表現上苦しい部分が出てきたりして、ひとしきり悩んだりすることもあります。
そんな具合だと、あっという間に10分くらい経ってしまう。




その一方、朝一番に先方に電話を入れて、秘書の方につないでもらい、
「昨日は本当にありがとうございました。」
「今後、何々はこうしたい…かくかくしかじか…」
ひとしきり言いたいことを伝え、電話を切るまでに、私の経験だと、せいぜい1分30秒程度です。
自分が想定しているよりも、はるかに短い。




しかも、言いたいことを明確に直接伝えることができる。
メールで御礼を書くということは、前提として、そちらのほうが効率的だということになっているはず。
ところが、現実的な時間効率では電話のほうがはるかに高いというわけです。




さらに、直接電話するほうがはるかに効果的でもあります。
仮に、直接話ができなかったとしても、秘書の方などを通じて御礼の伝言を残すことで、”一言御礼”の用は足りてしまう。
逆に、大量に送られるであろう電子メールの中で”御礼メール”がどこまで読まれるか、実にあてになりません。




これとて、計測し記録してみなければわからぬこと。
いや、実は、計測するまでもなく、電話のほうが効率的だとわかっているのだが、電話一本することが面倒に思えて、メールのほうが効率的と断じることで、その面倒を回避しているということもあります。
ところが、具体的に計測すれば、もはや自分に言い逃れもできないわけで、自然に電話することを選択するようになるものです。




ちなみに、池波正太郎さんに影響を受けて、しばらく食べた物を全部記録することに挑戦していた時期がありました。
その効用については、いずれかの機会で披露させてもらうかも…です。