前回までのあらすじ:
藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で10年働くサラリーマン。
先輩の高橋の紹介で繁盛しているカフェの店長から
貴重な話を聞けた本田は自社である人物に呼び出されていました。
第40話:現状把握して自分のポジションを知る
本田承太郎は部下の前田と共に
人事部部長「倉持」に呼び出されていました。
前回、倉持の元に話を聞きに来た時に約束していた
「特別授業」を受ける日が今日だったのでした。
倉持は早速本題に入り講義を開始しました。
「今回受けてもらう授業は、第1章:現状把握と意識改革
という事をテーマにやっていきます」
まず、リーダーになるためには
「現状把握と意識改革」が必要だと倉持は言います。
自己分析から始め、自分を「振り返る」為に
ノートに自分で箇条書きにして見るよう命じました。
内容は自分が飲食店で働くとすれば
どのレベルのポジションなのか
自分の持っている能力や経験はどんなものか、
自分の強みや足りてないスキルは何なのか
イメージしているお店の強みとは?
これは、己を振り返らせ客観的にどれだけ自分と
向き合えているのかを自分自身が知るためだと倉持は言います。
書かれたノートを見て倉持は言います。
「都合の良い事しか書いてない」
自分の弱点、不利な点も理解しているのか
自分の強さはどこにあるのかを把握していないと
人に対して自信を持てないと言います。
倉持はこう話します。
「例えば私が、
本田くんの印象を人材育成に強いと感じていても
ここに書かれている事が真逆の事だったらどうなる?」
「実際には能力があっても自信が無いので成果が半減します」
「そうよね、自信を持って意見を打ち出すことも
行動を起こすことも消極的になってしまうかもしれないわね。
では、前田さん。逆の場合ならどうかしら?」
「自信があっても能力が低いと成果が出ないという事でしょうか?」
「そうね、己を客観視出来ずに過信してしまうということよね」
こういう事を常に自分に問かけて己を振り返り、
現状を把握していないと足元を掬われる結果になると倉持は言います。
倉持は次にこう質問します。
「前田さん、新入社員とはどう言う能力を持っているでしょうか?」
「え?何も・・持ってないでしょうか」
「そうね、個人差はあっても入ったばかりで何も知らなくて当然ですよね」
「では、入社1年経った先輩社員ならどうかしら?」
「はい、仕事のやり方を覚えていて後輩に教えていく立場でしょうか?」
「そうね、では例としてそういう風に考えて飲食店での階級で
細かく分類してこのように振り分けてみます。」
1アルバイト
2新入平社員
3バイトリーダー
4一般社員
5中級社員
6リーダー社員
7ビギナー店長
8中堅店長
9上級店長
【アルバイト】
出来る事:なんの経験もスキルもない
出来ない事:
【新入平社員】
出来る事:なんの経験もスキルもない
出来ない事:アルバイトに指示する権限がある
【バイトリーダー】
出来る事:経験と作業スキルがある
出来ない事:社員以上の仕事
【一般社員】
出来る事:一定の経験・スキルを持っている
出来ない事:教える事を学び始めた段階
【中級社員】
出来る事:スキルや経験に加え、教える事が出来る状態
出来ない事:リーダーシップ、店長補佐
【リーダー社員】
出来る事:全体をまとめたり、店長補佐を出来る状態
出来ない事:責任の掛かる仕事や後始末
【ビギナー店長】
出来る事::能力はリーダーと同じ・責任の掛かる仕事
出来ない事:問題発見や改善
【中堅店長】
出来る事:問題発見や計画を立てられる状態
出来ない事:常に成果を上げられる事
【上級店長】
出来る事:スタッフをやる気にさせられる・結果を出せる状態
「飲食店でなくても良いので、
このように自分の仕事での段階を細分化して確認すると、
どの程度のところに居るのかが把握しやすいのよね」
倉持が言うように
注意して欲しいのはそれぞれに、
出来る事と出来ない事があるところです。
よく、雇われ店長が役職をもらうと
勘違いしてしまうのが
「自分は店長という立場だから何でも出来るようになった」
と、錯覚してしまう事なのです。
「リーダー社員の仕事を全うできるようになったので
試しに店長の役職を与えてみよう」
実際には、会社としてはこのように判断したに過ぎません。
つまり、
役職をあたえられてその能力を認められたわけではなく、
次の役職に上がって初めて、それまでのポジションの
能力を認められた事になるというう事を理解しないといけないのです。
倉持が言いたかった事はそのポジションに甘んじていては
それ以下の仕事しか出来ていないのと同じことだと言うことでした。
つづく