一昨日このようなニュースが飛び込んだ。「2009年より、難病研究対象、7疾患追加


「厚生労働省は23日、難病の原因解明や治療法の開発に取り組む「難治性疾患克服研究事業」の対象に、2009年度から新たに7種類の疾患を加えることを決めた。より研究が遅れている珍しい難病の調査を進めるため、同事業に新しい制度を創設、実態解明や診断基準の作成に取り組んでいくことも決めた。
 同事業の対象は、患者数が少なく、原因解明や治療法の開発などが遅れている難病。現在は123種類あり、研究班を設けて取り組んでいる。同事業の対象疾患は、過去10年間の合計でも5種類しか増えていない。一度に7種類の疾患が加わるのは異例という。
 舛添要一厚労相は21日に北九州市での講演で、難病研究の09年度予算について「できれば(08年度の約4倍の)100億円ぐらいに引き上げたい」と表明している。(23日 22:01) 」

 新たに指定されるのはHAM(患者約1400人)、魚鱗癬(150~300人)のほか▽下垂体機能低下症(約7000人)▽クッシング病(約1000人)▽先端巨大症(約1万人)▽原発性側索硬化症(約150人)▽有棘(ゆうきょく)赤血球舞踏病(約100人)という。


ここ10年に5疾患しか認定されていないということですから、今回の報告は、一気に7疾患認定されるというから、ある面画期的なことではあります。

ただ、調査研究対象123疾患に追加認定されるのでは患者にとって、医療費などにおける軽減処置がありません。
したがって、医療費助成のある、特定疾患治療研究事業(対象:45疾患)に認定されることが、これらの疾患の次なる目標となるのでしょう。


この一つ一つの疾患については、余り詳しくないので言及できませんが、研究班をつくることに対しては、10歩譲るとしても、ある意味を感ずるものの、医療費助成制度に関しては、あまりにも不公平な制度でると言わざるをえません。


① 研究班にお金ばかりかけて、本当に成果をあげているのか。
   予算ばかりとって、これまで患者のQOL向上にはっきりと貢献できたといえるのか疑問が残る。
   具体的な研究結果、成果をもっと患者に示すべきではないだろうか。
   どうも医者のため、医学研究のための研究班という側面が先行しているように感ずる。


② 希少難病という定義があいまい。
   123疾(+今回の7疾患)以外にも、もっと重篤でありながら患者数が多いことから
   研究対象に入れない疾患が沢山ある事実に目をむけていない。
  
③ 難病といっても、給付が行われる疾患とそうでない疾患が、どのように基準で決められてるのか

   が、はっきりしない。 重篤の度合いできまってるとはとても思えない現状があります。
   すでに、潰瘍性大腸炎などは(医療費助成のうけられる45疾患にはいっている)
   この病気は一部の重篤例をのぞいて、他の難病と比較して軽症の部類に入ると考えられる。
   更に人数も増加傾向にあり、希少難病の枠から反れている感がしてきされている。
   にもかかわらず、今も難病に認定されつづけている。
  

難病の原因究明、患者のQOL向上を考え、更に公平感を配慮するならば、希少などの患者の人数制限は関係なくして、重篤度、原因不明などのを優先させるべきです。


厚生労働省はこの難病指定に関して、福祉事業でなく、研究事業だという、まあ!この言い訳も、わからなくもないですが、患者がまず求めてるのは研究でなく、難病に対する福祉施策です。


さて、肝心の強直性脊椎炎について。
強直性脊椎炎も、難病研究対象、123疾患にエントリーされること一里塚にして、特定疾患治療研究事業(対象:45疾患)に、最終的には加えてもらうということを一つの目標としているようですが、これはどうも合点がいきません。
強直性脊椎炎を難病(特定疾患)に指定を受けることは、いつもここで申し上げている通りで、百害あって一利なしとまで、言うといいすぎになるかもしれませんが、メリットよりデメリットの方が勝っています。


強直性脊椎炎は、リウマチ性疾患の一つですが、この疾患の親玉である関節リウマチは、難病であるにもかかわらず123疾患にも認定されていません。希少難病という分類から外れているということから、という理屈でしょうか。関節リウマチは、未だ解明された疾患でなく、治療方法もまだまだというところにあります。
確かに、その仲間である「悪性関節リウマチ」は、特定疾患治療研究事業(対象:45疾患)通常の「関節リウマチ」でも重篤な例は認めるべきであると思います。

強直性脊椎炎、悪性関節リウマチ、SELなどの治療法確立のためにも、核になる「関節リウマチ」の治療研究はもっとやらなければなりませんし、リウマチ膠原病という枠の中で必要な研究もあるはずです。


《桝添厚生労働大臣は、難病研究の09年度予算について「できれば(08年度の約4倍の)100億円ぐらいに引き上げたい」と表明している。》


いずれにしても、現在の難病施策は、これほど不完全な医者、医学研究者のほうばかりををむいて、患者側をまったくみていないのです。予算が増える、病気の認定の数が増えるといって、研究費をお手盛りしいてる施策である可能性も考えられます。
ある医者によると、特定疾患の研究班に属することは、研究者として、これ以上、ありがたいことはないとまでいっています。まして班長になれれば、将来が約束されているともいえるかもしれません。


医学者のための研究費獲得と福祉施策をごっちゃにしているということは、ある面で納得できない部分でもあります。これでは、道路行政と似ていると揶揄されてもしかたありません。

予算が増えれば、各患者会は、われこそはといって、難病認定に乗り出すでしょう。
ここでも競争がうまれ、認定されるものとされないものの格差が生まれます。
(もっとも強直性脊椎炎のような疾患は、認定されないほうがいいのですが)
重鎮の医学者と組めば、患者会も認定が早いかもしれません。
このような、パワーゲームのようなことは、難病施策にもちこむことは、残念なことです。
本当に必要なところに、必要な福祉や必要な研究費が届けられるのか多くの疑問が残ります


難病対策は、本当の患者のためになる施策でなければなりません。
それぞれの病名の利権、それにまつわる医者の道具になれば、その目的を果たすことはできません。

難病の病名で、どちらがエントリーされるかなどと争うこと自体が、ナンセンスです。
どんな病気にでも、重篤か軽症かという問題はつきものです。
病名による難病施策は、そろそろ矛盾の限界達しています。

今後の難病対策は、患者に対する福祉と研究事業をしっかり分けるということが懸命なんだろうと考えます。


強直性脊椎炎は、繰り返しなりますが、東京都の難病指定から、外すのが先決です。
レミケード、エンブレル、ヒューミラ、アクテムラなどの超高額医療を、東京都の強直性脊椎炎の患者だけが安く受けられている矛盾を正さなければなりません。


仮に、強直性脊椎炎が、特定疾患治療研究事業(対象:45疾患)に認定されたとして医療助成をうけたとすると、どうなるでしょうか。
関節リウマチの重篤例に生物製剤の助成ができないことになります。
生物製剤の出現により、難病間による、この矛盾は益々大きなものになります。
強直性脊椎炎おいて、現在使用されてる薬は、すべて関節リウマチ用に開発されてものであり、その治療が、強直性脊椎炎患者のみが低額で使えるなんて矛盾が許されるはずないのです。


そろそろ、強直性脊椎炎の患者会も、この辺の矛盾を真摯に受け止めなければならない時期がきているのです。大枠でみれば、強直性脊椎炎もリウマチ性疾患の一つあることをもっと理解するべきだし、アピールするべきだと考えます。
リウマチ膠原病疾患として、強直性脊椎炎及び血清反応陰性脊椎関節炎をとらえるとき、それほど、この病態が他のリウマチ性疾患とくらべて特殊なものではないはずです。


更に、大きな問題があります。

強直性脊椎炎の治療に、レミケード、エンブレル、ヒューミラ、アクテムラなどの生物製剤の治療は、まず必要ないのです。このことを繰り返し主張したいとおもいます。