武道具販売〜ネット対リアルの攻防〜 | 井上英昭のひらめきわくわくブログ

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モバイルマーケティングのビートレンド株式会社の社長 井上英昭の絵日記型のブログ。挿絵は毎回自分で描いてます。このブログでは、あまり業界や業務のことは書かないと思いますので、最新情報などはビートレンドのWEBサイトhttp://www.betrend.com/で見てくださいね。

今日は、日本の伝統的な製造・販売品である武道具にも米国や日本の流通業を席巻しているショールーミングなどの「ネット対リアル」の戦いの波が押し寄せているというお話。

今年から、学生時代に四段を最後にやめていた剣道を30年ぶりに再開した。まずは道具を揃えないと何もできないので、剣道具を購入しようと、かねてジョギングの途中に見かけていた結構大きな店構えの武道具屋さんに行ってみた。
忘れていた竹刀の感触、シンプルで安い少年剣道具から高段者向けの手指しの高級な防具、剣道着、袴、いろんな懐かしい物が所狭しと並んでいる。

でも、僕の仕事柄、竹刀が山と立てかけてある棚の陰にかくれて、こっそりスマホで「剣道 防具 格安」とかいろいろ検索してみた。あって欲しくない、いやむしろなくてもよいと思ったネット通販サイトが、「ありゃりゃ、めちゃくちゃ一杯ある。」
一旦はそのお店で買おうと決めた剣道具だったが、結局買うのをやめた。

今度は家に帰って机の前に座り、PCからじっくり検索、吟味してみた。そして、数時間いろんな剣道具通販サイトを比較した結果、「全日本選手権の選手も多数使っている全日本武道具」というところが、一番コストパフォーマンスが良さそうだった。そこで、さらによく見てみると、「製造直販」で「全国で一番売れている」とある。そりゅぁ製造直販なら安いはずだ。でも、全国で一番売れている会社が、今やネット通販の会社であることにも本当に驚く。
しかし、製造メーカーが小売より安くしちゃ、そりゃあかんやろ。日頃、小売店に遠慮してネットでもそれより安い値段がつけられなくて困っているメーカーのみなさんのことを考えると、そりゃあかんやろ。と思う一方で、一消費者としては、この破格な値段は助かる。日本の伝統的な武道にも…ネット化の波が押し寄せているのか。

・剣道防具セット 107,000円がなんと45,000円
・武州正藍染一重 16,250円が6,800円 袴が24,500円が9,800円
・極めつけは、中高校生用の竹刀等は2,750円が980円の大特価セール

一般のお店での価格より、ほんとに半値以下ばかりでものすごく驚いた。

全日本武道具さんhttp://zennihonbudougu.com/
最強!

だいたい欲しい物は、さきの大きなお店で見ていたので、選択の余地なくここのネット通販で、道具を一式購入することに決めた。「剣道具のショールーミングやぁ」と彦摩呂のようなつぶやきをしつつ。

剣道具2

そして、道具が到着した土曜日から毎週、道場に通えるようになった。

ところで、毎週稽古が終わった後に、道場の出入口の脇のところに剣道具屋さん(女性の店長さん)が、ちょこんと座っていらっしゃる。道場の先輩に聞いて見ると、稽古の後すぐに、竹刀とかいろいろ壊れたものや、欲しい物をすぐに頼めるし、翌週には道場に持って来てくれるから便利だよ。とおっしゃる。

そこで、竹刀に付ける革製の鍔(つば)や垂れに付ける「土曜会 井上」というネームを頼んでみた。
その翌々週。雪の積もった土曜日にもかかわらず、稽古の帰りに出入口にいらっしゃるので、納品物を受け取って、少し会話してみた。

名刺をいただいたところ、浦安武道具というお店だそうだ。浦安から千代田区のスポーツセンターまで、毎週出張販売に来られているとのこと。

「先日防具をネットで買ったんですよぉ。意外と安くてびっくりですね。」「そうですかぁ。最近ネットで買う人が多いので、私たちも大変です。」「まー、そうでしょうね。」「でもやはり、お店の方がいろいろ相談できるし、そういう良さはありますよね。」とかいう会話だったが、その会話のあいだ、ひざの上で、私が頼んだ革の鍔を私の竹刀のサイズに合わせてナイフで削ってくれている。
「なるほど。ネット通販に対抗するのはこれなのか」とひらめいた。
ネットで注文して自宅に鍔が届いても、自分の竹刀のサイズに合わせるためには、自分でナイフで削らなくてはならないが、まずどうやったらいいかわからないし、その前に家のどこにナイフがあるのかもよくわからない。

「サービス」が強みなのである。

先輩方いわく、「稽古が終わってから修理を頼んどくと、修繕した物を、自分の防具置き場まで置いといてくれるから助かるよ。」なんと。自宅に届ける通販よりもすごい配送。

ちなみに、購入した垂れネームの値段は先の全日本武道具さんと全く同一価格であった。いや、最後に10円負けてもらったから、こちらの方が安かったか。。

1本目の勝負はネットの勝ち、2本目はリアルの勝ちでこの勝負引き分け。