手指の関節痛、こわばりが起こっていたリウマチ疑いの女性 | 大阪弁天町の漢方薬局「廣田漢方堂薬局」のブログ

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手指の関節痛とこわばりが起こり、病院で検査したところ、リウマチ因子などが若干高値となっており、リウマチの疑いがあると言われた女性。

 

ただしそこまで数値が高いわけではないので、積極的に治療するかどうか悩んでいた。

 

しかしながら症状が治まる気配はなく、日常生活に支障を感じたため、知人の紹介で当店に相談に来られた。

 

相談時に手指関節、全身の浮腫みの状態を確認したところ、あきらかに皮下・肌肉層、関節部に湿邪の停滞があり、全身に水の重りを持っているような状況が見受けられた。

 

さらに腰以下の冷え、尿不利など腎陽虚を思わせる所見のオンパレード。

 

リウマチの場合、陰虚型か陽虚型かの判断は非常に重要。誰彼にでもリウマチという病名に従って独活寄生湯製剤を処方するような乱暴な漢方療法は絶対にしてはいけない。

 

大切なことは、湿邪の停滞がどの臓腑由来なのかをしっかりと考え、その問題を起こしている臓腑の寒熱と虚実をきちんと見極めて処置をすることが大切。

 

またリウマチは関節の炎症、免疫疾患ということから、筋を主る肝や骨・免疫を主る腎とのかかわりを重視する傾向があるように思うが、水の上源である肺の動きが悪いと、腎に水がしっかりと下輸しないため、腎の働きが二次的に弱くなることを知っておく必要がある。

 

僕はこれを醤油刺しの法則と呼び、下の穴から醬油がしっかりと出るためには、上の穴がちゃんと開いていないとダメ。つまり肺の通暢水道がしっかりと働かないと腎から水が抜けないということである。

 

こういう理屈を知っていると腎臓疾患に肺経の水の巡りを調節する麻黄製剤が使用される根拠が理解できるようになる。

 

この女性の場合も肺が水湿のために身動き取れない状況があり、それが腎に波及して身体中に水が溢れ、それが肌肉層と関節部に蓄積したため、関節痛やこわばりが出てきたと分析。

 

防已黄耆湯と八味丸を合わせることで、症状は1か月もかからずに雲散霧消。

 

食べ過ぎたりしたときにたまに症状が出る程度になった。

 

病院での血液検査はまだ行っていないが、もうすぐされるそうなのでそこで検査の数値も症状についてきているかどうかが判明する。

 

とにかくリウマチに対応するためには、陰陽・寒熱・虚実・表裏の八綱弁証をベースにそれらを臓腑弁証に落とし込みつつ、気血津液のどのレベルの異常なのかをきちんととらえることが大切。

 

バカの1つ覚えみたいに独活寄生湯製剤使ったり、サプリメント系統で動かそうとしても、治らないものが続発する必須。

 

逆にそれらを時間がかかってもいいので、しっかりと捉えることができると症状の緩解とともにリウマチに関する検査項目(RF、CRP、MMP-3など)の数値も連動して改善するケースが多いように思う。